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第46話

 ロレッタに案内されるがまま校舎付近にあった薄暗い階段をしばらく下り続けると、高い天井から星空の如く無数の小さな魔道具が光を照らしていて、四方の壁はその星を一切反射せずただただ艶やかに黒光りしているという音楽室ほどの広さの謎部屋へと辿りついた。


 真昼間から急に夜になった感じで体内時計が狂いそうになるが、ここは一体どこなのかと言うと。


「ホプキンス校自慢の魔法訓練所ー! ここなら周りの影響も気にせず、好きなように魔法を使う事が出来るのー!」


 何か聞く前にロレッタが説明してくれたが、この空間はそういうところらしかった。恐らく音を吸収する吸音材のように壁が魔力を吸収する類いの特殊な材質で作られていて、周囲への影響を考える事なく自由に魔法がぶっ放せる場所なのだろう。


 ただ一つ、問題がある。


「本当に好きなように使っていいのか? ウェンディが全力で魔法使うと俺もどうなるのかわからないぞ」

「ここでたくさんの子が好き放題魔法使ってきたけど、今までここが壊れた事は無いんだよ? だから大丈夫っしょ!」

「大丈夫っしょって、もし大丈夫じゃなかったらどうすんだよ」

「そのときはそのとき考えよ!」

「無責任すぎだろ!?」

「じゃあロレが責任取りまーす! これでいいっしょ!?」

「その言い方が無責任――ん?」


 投げやりになったロレッタに呆れているとウェリカが俺の袖を引っ張ってきたので彼女に顔を向ける。


「なんか……知らない人がいっぱい来てるんだけど……」


 薄暗い部屋かつロレッタに目が行っていたせいであまり周りが見えていなかったが、改めて周囲を見ると部屋の中に観客さながら関係の無い人が大勢集まっていた。なんて思っている間にも人が人を呼ぶのか、続々と生徒らしき人が部屋に入ってくる。


「こらー! キミたち何しに来たのー!」


 本気なのかもわからないが、ロレッタがぐるぐる周りを見ながらあんまり怖くない怒り方で生徒たちに言った。


「逆に俺たちが聞きたいっすよ。ここで何しようとしてるんすか」

「緑髪で眼鏡の子、見た事無い制服着てますけどもしかして転校生すか?」

「僕にはわかります。彼女は非凡だ」

「よ、よければお名前を教えて下さ……でへっへへ……お兄さん……」


 最後のちょっと気持ち悪い女子生徒の声は置いておく事にして、周囲の生徒が我慢ならないと言わんばかりに口を開いた。まるで朝に喧しく鳴く小鳥の群れだ。


「この子の魔法を見たいの! すっごい才能なんだって!」

「すごい才能なんて……そんな……」

「今更謙遜すんな。お前は紛うことなき天才だよ」


 いつものように俺がウェリカに言うと、どこからともなく部屋がざわめきだした。それを聞いたウェリカが俺の肩をぺちりと叩くとさらにざわめきが増した。ウェリカが俺の服を握り締めた。


「周りも何も気にしなくていい。派手にやれ」


 パチパチパチパチと高級肉でも焼いてんのかってくらい色んな意味で部屋がうるさくなった。


「つってもやりにくいよな……。やっぱ」

「……やるわよ。やってみせますわ」


 やりにくそうだった。

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