第20話
「どうよ! この美しい水の剣は!」
休日の二人きりの校庭でウェリカが水の剣をウキウキで発動して俺に見せつけてきた。
「よく出来てると思うぞ」
実際、大きさも形も申し分なく綺麗だったので素直に感想を述べた。
「そ、そう? うぇへへへ……」
俺の称賛に変な笑い声を上げたウェリカが剣をプルプル震わせたかと思うと、ものすごい速度で校舎よりも長く伸ばし、天まで届かせるかの如く巨大化させた。
「わっ、ちょ、わあ!」
「あぶなっ!」
ウェリカが剣の重さに耐えきれずバランスを崩してよろける。剣が俺の頭上に振り落とされそうになったので慌てて避ける。
「魔力注入を止めろ!」
「あ、う、うん!」
俺が言うとみるみるうちに剣が縮小し始め、まもなく消滅した。すると間髪入れずに俺とウェリカの頭上に小雨のような残滓が降り注いだ。
「使いこなせるようになるにはまだまだ時間が掛かりそうだな」
「むぅ……。ままならないものね……」
「だが、少しの間だけでも使えるようになったのは上出来だ」
やっぱりこいつにはこういう魔法が向いているのかもしれない。魔力の注入もすぐに止められるようになっているし、着実に成長はしている。
「そうよね! このままいけばすぐにあんたよりも強くなれるか――きゃああ! なに!? なに!?」
俺は無言でウェリカの周りを囲うように地面から水を噴出させた。突然の事態にウェリカがあたふたしたところで魔法の発動をやめ、ウェリカの目の前に立つ。
「俺に勝つつもりならこれぐらいは出来るようになれ」
「わ、わかったわよ!」
腰が抜けたかのように地面に尻もちをついているウェリカを起こしてやる。
「せいぜい首を洗って待ってなさい! いつかあんたに尻もちつかせてやるんだから!」
「気長に待ってるよ」
ウェリカはさした指で俺の肩を突き、そのまま押し倒そうとしてきたのでやんわりと手を払いのける。
「そこは倒れなさいよ」
「魔法使わないで倒しても意味ないだろ」
「……そうね」
「あ、わざと暴発させるのも無しな」
魔力の高まりを感じたので予め先手を打っておく。傷つけられても回復出来るから気にするなとは言ったがそういうのは無しでお願いしたいところだ。
「させないわよ! あたしそこまで性格悪くないから!」
「たった今物理的に倒そうとした奴が言っても説得力無いぞ」
「……むぅ!」
なんなんだそのむぅは。ま、こいつがそういう事する性格じゃないってのは今までのでわかってるけど。
「ところであんた、来週迷宮カップルの結婚式行く予定なのよね?」
ややあってウェリカが確認してきた。迷宮カップルて。
「特訓の事ならその日は領都に行ってるから普通に休んでいいぞ」
「そうじゃなくて、その……」
なぜかウェリカが言い淀む。
「……どうかしたか?」
「あたしも、行ってみたいなって……」




