“ズケズケ私の心に土足で入り込んで来たくせに！ ここに来て、突然！ やめるって何よ！”
私の今までの、“恋愛対象で”一番嫌いで大好きな男！
私はこの男の事を最初は、何とも想っていなかった。
でも？ ある日を境に、急に私に馴れ馴れしく話しかけてくる。
『“俺さ、凛ちゃんの事が好きになったちゃったみたいなんだよねぇ～”』
『はぁ！？』
『俺さ、頑張って！ 凛ちゃんに見合う男になるからさ、見ててくれる？』
『意味わかんない！』
『俺の事を凛ちゃんに認めてほしいんだ！』
『・・・バ、バカじゃないの！』
『“俺はバカでいい！ 実際、バカだし！ それでも凛ちゃんが好きだ！”』
『はいはい、そこまで言うなら！ 私に振り向いてもらえるように、頑張った
らいいわ！』
『うん！ 俺、頑張るよ！』
『・・・・・・』
・・・好きでも何でもない男にあんな風に言われてもね。
何にも響かないし、私は好きになるはずがないと思ってたの！
でもね？ ふざけたところもあるけど、真面目で真剣な顔をする姿に
私は少しづつだけど、この男に惹かれていったの！
『凛ちゃん、凛ちゃん！ 俺さ、今度！ ボクシング始めるんだ！』
『えぇ！？』
『いっぱい連練習してさ、試合に出れるようになったら？ 見に来て
くれる？』
『“その時になったら、いいわよ。”』
『ほんとう！ 俺、めちゃめちゃがんばるね！』
『サボらないでよ！』
『うん！』
・・・その後、彼はボクシングの練習を一度もサボらず！
試合に出れるまでになった！
『“凛ちゃん！ 俺との約束さ、憶えてる？”』
『えぇ！？ なんだっけ？』
『“俺の出る試合見に来て！”』
『試合出るの？』
『うん！』
『分かった！ 約束だしね、見に行くわ！』
『ありがとう、俺さ！ 絶体に勝つから！ 凛ちゃんの為に勝つよ！』
『“自分の為に勝ちなさいよ！ 男でしょ！”』
『うん！ 必ず勝つ！』
『頑張って！』
彼は私との約束をまた守ったわ！
私の見ている前で、試合に勝ったの！
そして彼に私はこう言われた！
『“試合に勝ったから、俺と付き合ってほしい！”』
『ダメよ！ それはそれでしょ！』
『“凛ちゃんのいけず～”』
『バカな事言ってないで！ 練習したら？』
『そうだね、じゃあーまた連絡する！』
『うん！』
・・・彼とは、これっきり連絡が取れなくなった！
気が付けば私は、、、ずっと彼の事が頭から離れない！
寝ても冷めても彼の事を考える毎日。
嘘みたいだけど、“私は彼の事が好きでスキで仕方なくなっていた！”
ここまで私の心に土足に入り込んで来て！ 勝手に居なくなるって、
一体！？ なんなのよ！
“私の気持ちはどうしたらいいの？”
こんなに好きにさせといて、急に居なくなんないでよ！
＊
その頃彼は、、、？
『“俺、凛ちゃんのところに行きたい！”』
『ダメ！ アンタ、自分の体の事！ 分かってんの？』
『・・・体の事って、』
『もう一人で歩く事も出来ないじゃない！ あと数日もしたら？
寝たきり状態になるのよ！』
『・・・か、母ちゃん！ そこまではっきり言わないでくれる！』
『だってアンタ！ “医者からはもう見放されてるんだよ。”』
『知ってるよ。だから俺は凛ちゃんともう会わないって決めたんだ！』
『“いつ死んでもいいと思ってるからでしょ！”』
『“母ちゃん！ ごめんな、せっかく五体満足に俺を産んでくれたのにさ。”』
『母ちゃん、アンタが死ぬところなんて見たくないよ、』
『分かってるよ、死ぬ時は俺は一人で逝くからさ。』
『・・・アンタって子は、』
『まだ泣かないでくれよ！ 俺はまだ生きてるんだから！』
『ごめんごめん、そうだね！』
『あぁ！』
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