第4話『背ける事も何も無い』
「今更だが……どうしても来るのか?」
「何度も言ってるでしょ、恵鈴」
「そう、だな」
「その為に動いてるの」
「分かった、分かった――んっ……愛してるぞ」
「さて、何処へ行こうか」
「恵鈴の好きにどうぞ」
「何を言う。それこそウルの好きにしてくれ」
「じゃあ2人で決めよ」
って言っても今更何も無いけどね。
「……あそこに行かない?」
「良いのか?」
「勿論」
「なら行こう」
ま、近いんだけどね。
泉から更に奥に進んだ所。
「まだ綺麗だね」
「当たり前だろう」
「そうだね。この5つのお墓は新しいもんね」
「その内の2つはさて置き……3つの命でも駄目だったな」
「ごめんね」
「そこはありがとうでも言えると良いな」
「言って良いのか分からないよ」
「ま、思う事は色々有るが……待ってるぞ」
「次は何も無いと良いな」
「あの人に言ってくれ」
「そうね、あの人次第だもんね」
期待、してるよ。
じゃなきゃ――何でもない。
折角来たし、綺麗にしようかな。
「ボクもやるぞ」
「いいの。あたしがしなきゃ意味ないから」
「分かった」
こんな身体だから少し時間掛かったけど、良いかな。
「そこまで目に見えて変わりはしないな」
「まあ、新しいし綺麗だからね」
「綺麗と言っても数年経っているけどな」
「あ、皆はまた何処かに出掛けてるの?」
「ああ。水族館に行くって言ってたぞ」
「楽しそうね」
「楽しいが、やっぱりウルが居ないとな」
「愛してる」
片付けて、のんびりとゆっくり帰る。
「まだ昼前か」
「じゃあ食べたら……良い?」
「勿論だとも」
「2人は何してるかなー」
「お墓とかじゃないかなってわたしは思うのだけど」
「……今聞いたら行ったよって言ってたわ」
「いつも思うけど、それ便利だよねー」
「あら、貴女達もしようと思えば出来ると思うわ」
「出来るけどさー……」
「消耗が激しいし、聞こえ難いのよね。特にわたしはノイズが激しいから……」
「不便ね」
「そんな事より行こー」
「元気ね、この子は」
「だってまどかちゃんだもの」
「そうね。さ、置いて行かれないようにしましょ」
「次はクロだな」
「うん。円叶に振り回されるね」
「楽しいだろう?」
「うん」
あたしに合わせた振り回しをするから、楽しいし嫌な疲れもしない。
「どうだ?」
「分からない。でもちゃんと受け止めたよ」
「そうか。なら、近い内に寂しくなるな」
「だけど、行ったら寂しくないよ」
「そうだな」
「待っててね」
「ああ、勿論」
終わったらFleurと一緒に行くから。
Fleurも一緒に来てくれるなんて思いもしなかったな。
「恨まれたり色々されても仕方ないのになあ……」
「ボクも分からないな。自分の親の筈だがな」
「親だからとか、そんなの関係無いよ。何でも見通せるなんて難しいもの」
「そうだな」
「あたし達ですらこんなだから」
「そりゃ無いだろう」
「怒った?」
「いや?」
「じゃあ拗ねた?」
「ただ言っただけだ」
「ふふ、そうね」
そろそろ帰って来るかな?
って思ったけど、まだおやつ時なのね。
何しようかな……。
「休むか?」
「うん」
そうしよう、かな……。
……。
もう子供じゃないものね。
願わくばいつまでもみんなの傍に居させて、泣かせて――
「綺麗ね。わたしこんなにも綺麗なの、久しぶりに見たかな」
「そうだな」
「このままにしとこー」
「それが良いと思うわ」
「本当に綺麗。……これも、久しぶり」
「こりゃ起きたら大変だろうな」
「大丈夫でしょー」
「そうね、わたくし達が居るものね」
「じゃあこのまま終わりにするか」
「そうね」
「化物め、殺してやる」
「あなた……それは流石に――」
「じゃあどうするんだ!」
「勝手に死なせましょう」
「それならば可能だな」
……。
………………。
「「お前なんか産まなきゃ(産まれなきゃ)よかった」」
「おーい。生きてるー?」
「円叶……皆は?」
「居るよ、ほら」
「何とか大丈夫そうね」
「うん」
「さ、片付けしたら今日も始めましょう」
そうして片付ける。
あたしがしたのに、皆してくれる。
片付けとかそんな事より自分の事を……。
って何度言っても駄目だったなあ。
「無駄だぞ。諦めろ」
「読まないでよ、もう」
まあ、仕方ないか。
にしても、今日は酷いなあ。
「よし、これで十分だろう」
「じゃあ後は任せたからね、まどかちゃん」
そして皆出掛けて行く。
残ったのはあたしと円叶だけ。
「さ、何しよっかー」
太陽の様に眩しい笑顔だけど、冷たく悲しかった。
そして、痛く苦しかった。




