最終的には
『(手の自由が利かないと不便なんだな・・・)』
萩斗も水蓮も手を縛られて正座させられていた。
場所は海の近くの工場だ、磯の匂いがする。
犯人に訊いた所、これから外国の船が来て僕らを売り飛ばすらしい。
「すいません。これからぼっ・・・私達はどうすればいいんですか?」
すっかり水蓮と萩斗の性転換は行われていた。
萩斗は少女だと思われているので傷をつけたくなかったのか、油断したのか、犯人は縄をゆるく結んでくれたのだ。
「お前ら、名前は?」
ゆっくりと静かな声で問われた。
「えっと~・・・私がスミレでこの男の子はミズ君で~す」
そう萩斗が裏声で言うと水蓮に思いっきり睨まれた。
「(ネーミングセンス・・・ゼロじゃき)」
「(考える暇なかったんだよボケが、だったら水蓮が答えればよかったのに!)」
その頃、捕獲チームの二人は『ある物』をセットしていた。
さあ、これからだ。
萩斗が簡単に縄を解くと水蓮の縄も解いてやった。
どうやって犯人をボコるかにかかっているのだ。
捕獲チームは頼りないし、第一この犯人の仲間にやられているかもしれない。
そうなっていると仮定して、やっぱり囮チームがこの男をボコるしかない・・・。
「水蓮・・・準備いいかい?」
「ばっちりじゃき」
「せーので行く?」
「いっせーのーせじゃろ?」
「は?せーのだよ。しょうもない戦いはやめようよ」
「んじゃせーのじゃきにな!」
『せーのっ!・・・!?』