作戦一
午後八時半。
夜になり、外は真っ暗。
ヒットポイントが0になった四谷さんを店に置いて帰り、四人は外で犯人を待った。
近くの家からは家族団欒で夕食を囲む声が聞こえてきている。
「アタシも家族で夕食をかこみちょう気がするがぁ…」
雛菊は涙をうかべつつそう言った。
「そう言われるとおなか減るからやめて」
萩斗は冷たくあしらった。
「やっぱり都会の人は冷とぅと…萩斗には温かさっちゅうもんが無いがか!?」
「それもう、ありきたりに都会にのまれてる人の発言だよ」
「雛菊。あきらめるきに。都会の人はみんなそうじゃ。だから危ないきに」
「もう、フォローでもなんでもないよ、それ」
そんなやりとりをしていると、荘記が何やら作戦を思いついたようだ。
「そうや!こないな作戦どうやろ?」
「何か思いついたがか!?」
「水蓮と雛菊が囮になってストーカーを誘き寄せて、俺らが後ろから捕まえるっちゅう作戦や。どや?なかなかええやろ!?」
張りきって言う荘記の案はすぐに実行された。
単純すぎるだろ…と思ったのは俺だけじゃないだろう。申し訳ないけど。
有言実行。
水蓮と雛菊は何か話しをしながらゆっくりと歩いていた。あやしい人の影は無し。
「本当に来るのかなぁ…」
「大丈夫やって。絶対来る」
萩斗と荘記は後ろの方から電柱に隠れて見ていた。
五分くらい待っただろうか。
結局誰も来ないので、萩斗は二人を呼びに行った。
「雛菊~!水蓮~!」
「この、ストーカー野郎ぅがー!!」
その直後、萩斗の顔に雛菊のパンチがめり込んだ。
「雛菊!!それはストーカーじゃないきに!萩斗じゃけん!」
「あ」
水蓮は雛菊に注意した。その後。遠くから見ていた荘記が心配して叫びながら駆け付けた。
「萩斗ぉー!!」
「お前もかぁー!」
荘記は雛菊にスネを蹴られてしまった。
「雛菊!それ荘記じゃけん!」
「あ」
「あ。じゃねーよ!俺ら何にもしてへんで!?」
荘記はムクっと起き上がると二人に怒鳴った。
こうして作戦一は失敗に終わった。