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異世界ディストピア。  作者: さんまぐ
転機。
48/59

第48話 フィーデン。

戦場 闘一郎達を乗せた馬車が前線基地を旅立って1日、中継地を経った頃、前線基地が突破をされた。

それは異常事態で、制圧ではなく突破で前線基地に居たコルポマの兵士達が追走を試みたがコルポファの兵士達は1人、また1人と討たれても止まる事なくコルポマを…エグスを目指していた。


そんな事になっているとも知らない戦場 闘一郎達は馬車の上でこの先の話をしている時、戦場 闘一郎は「すまない。玉ノ井達の転移を見届けた後、馬を一頭借りたい」と言った。


「構わんがお前は帰還しないのか?」

「一度コルポファまでの道を辿る。後続の救出隊にも任せているがコルポファで皆を逃す為に残ってくれた仲間や途中でスタークを足止めする為に残った仲間達を迎えに行きたい」


「何人だ?」

「5人、ユータレスに赴く勇者になっていた小台を含めて5人だ」


「戦場?小台も拾うのか?」

「ああ…この機会を逃せば俺達がこの世界に来る事は不可能だ。生存している限り日本に連れ帰る。あの時は脱出計画の邪魔になるから捨ててきたが、皆を帰還させれば救い出したいと思っていた」


このやり取りにトーテッドが「だがこう言っては悪いが生きている可能性も低いし、コルポファに戻るのは自殺行為だぞ?」と聞く。

「心遣いありがとうトーテッド。確証はまだ無いがコルポファが想像通りの愚かさなら新たな人質にまた召喚を行っている。それが後続の救出隊だ」


「救出隊…人質が増えるのか?しかも馬一頭でどうする?」

「いや、人質ではない。救出隊は俺の仲間達で召喚される事を見越して待機している。俺が1ヶ月かけて試した内容を加味した要員で頼りになる。想像通りの展開ならばコルポファに行く前に合流出来る」


「…ではもう一度転移を出来る様にフィーデン様にお願いすればいいな」

「助かる。転移の力が貯まるのは?」


「フィーデン様次第だが人数にもよると言われた、最悪は半年近くコルポマで生きてもらう事になるぞ?」

「済まないがよろしく頼む」


このやり取りの後、トーテッド達を乗せた馬車がコルポマに着く前に追走隊に追いつかれた。



「くそっ、本気で前線と中継地を抜けて来たのか?」

「恐らく基地の制圧はしていない。1人でも前に出てエグスや俺たちを確保するつもりだ」


「普通じゃ無いな」

「ああ、奴らは死にものぐるいだ」


コルポファの兵士達は常軌を逸した目をしながら「加護を外させはしない!」「エグス様をコルポファの地へ!」「エグス様をコルポマに渡さない!」「お戻りください!」「エグス様!」「お慈悲を!」と言いながら迫ってくる。


「ここまで来たら出し惜しみはしない!皆!迎撃するぞ!」

馬車の上からパチンコを使い火炎弾や氷結弾を撃ち込む。

撃てば当たる入れ食い状態にトーテッドが青ざめる中、山が3つ並んだ地が見えてくる。


「あれがコルポマだ!門から兵達が出てくる!あそこまで逃げられればいい!」

トーテッドの言った通り前から救援の兵士達が押し寄せて馬車を守る形で戦闘になる。


だが余裕は無い。戦場 闘一郎が「フィーデンは何処にいる!」と聞くとトーテッドは「フィーデン様は山の麓に街があり、そこの寺院に住まわれている。直接寺院に向かって転移の力を使ってもらう」と言った。


状況をみて戦場 闘一郎が「俺を降ろしてくれ、ここで足止めに出る!」と言い、群馬 豪も「戦場!なら私も戦うぞ!」と言う。だがトーテッドからは「無理だ!乱戦になって混乱する!戦うのなら寺院の防衛を頼む!」と言った。



門を抜けたトーテッドは兵士達に「表世界の勇者達を転移させる!兵達は全軍でコルポマの防衛に当たれ!奴等は死にものぐるいで攻めてくる!息の根を止めるまで止まらないぞ!」と指示を出す。


そのまま馬車を飛ばして寺院に入ると奥の広いホールに着飾った少年が居た。

少年を見た瞬間、エグスが「フィーデン!」と名を呼び、少年も「エグス!」と名を呼び返した。


少年がフィーデンでエグスは顔を真っ赤にしてフィーデンの名前を呼ぶとフィーデンもエグスの名を呼んで駆け寄ってくる。


「会えた!フィーデン!会いたかった!」

「フィーデンもエグスに会いたかった!こんなに会えなかったのは初めてで寂しかった!」


2人は目に涙を溜めて手を取り合っている。

邪魔をするのが幅かれる中、トーテッドが「フィーデン様、邪魔をしてすまないが敵襲だ。早くこの表世界の者達を転移させてやってくれ」と言ってくれる。


「うん!エグスを助けてくれてありがとう!フィーデンが皆を表世界に帰す!」

「フィーデン、皆エグスの仲間達だ!これはずっとエグスと遊んでくれてた豪、後これは桔梗と勝利だ!」


フィーデンは桔梗と勝利を見て「わ!表世界の子供だ!裏世界で生まれたの?可愛い!フィーデンとも仲間になろう!」と話しかける。


「なかま?」

「桔梗!エグスと桔梗みたいな仲だ!」


「お友達!」

「そうだお友達だ!」

友達と呼ばれた桔梗は谷塚 龍之介仕込みの「うっほー!」と言って挨拶をした。


そこに兵士が駆け込んできて「トーテッド様!奴らは一目散にこのユータレスを目指しています!」と報告をする。


「ちっ!予備の兵で陣を敷け!何が何でも表世界の勇者達を帰還させる!」

「はい!ただコルポファの兵士達は強靭で剣で斬っても矢が刺さっても致命傷にならずに立ち向かって来ます」

ここでプリンツァが「加護の力ですね」と口を挟むと納得をしたトーテッドが「それか…、厄介だな」と漏らす。


「フィーデン様!転移までのお時間は?」

「準備はしてあっても1時間はかかるぞ」

この言葉に戦場 闘一郎が「よし、それならば俺も出る」と言い、群馬 豪も「じゃあ私も出る」と言う。


玉ノ井 勇太が「戦場、群馬…、それなら俺も!」と言ったが、梶原 祐一に「馬鹿、玉ノ井は引っ込んでろって」と言われてしまう。


玉ノ井 勇太が「何言ってんだよ梶原!俺も出る!」と言うが、大塚 直人が「はいはい、パパさん達と女の子達は先に帰んなって話、俺残るよ」と名乗り出て、豊島 一樹も「あ、大塚さん残るなら俺も残る」と言う。


この流れが不服な玉ノ井 勇太が「バカヤロウ!皆して残るなら俺だって!」と怒鳴るが、大塚 直人は「えーっと…、千代田の願いは上野さんで、三ノ輪先生の願いが梶原で、谷塚の願いは玉ノ井で、後は沖ノ島の願いって…誰にしよう?」と言い、豊島 一樹が「まさか仲間達の想いを背負って危ない真似はしないっしょ?」と畳みかける。


ここで梅島 陸が「じゃあ、とりあえず奥さん達にひと言ガツンと貰おうぜ、草加さん宮ノ前さん、よろしく」と言った。


「よろしく?岬?」

「帰ろう?皆に感謝をして桔梗を連れて帰ろうよ?パパなしで育てるのはやっぱり怖いよ。お願い?ね?」


草加 岬に言われて何もいえない玉ノ井 勇太を見て大塚 直人が「効いてる効いてる。宮ノ前さんもよろしく」と言う。


「うん。帰るよ。勝利の事もあるんだからここは父親として覚悟を決めてよ」

「だが…」


「は?アンタは皆と違って妻子持ちなの!好き勝手やれないの!これからは皆と遊びに行くのも私の許可が必要で、お昼もお弁当でお小遣い制でなんも自由なんてないの!一生私と勝利の尻に敷かれるの!」

「…マジかよ」


「大マジよ!そんな覚悟も無いなら子作りなんてすんじゃ無い!」

「…わかったよ。ただ扉の外でギリギリまで待機させろよ」


「それはしなさい!」

「任せろ」


男連中の話が纏まった所で板橋 京子が「私も残って戦う!」と言ったが豊島 一樹と大塚 直人に断られる。


「なんで?」

「いやいや、無事に転移出来たら向こうでマスコミやら大人達が待ってるのに男が帰って女が残るなんて大炎上だって」

「うわ、それはヤバいや。だから女子の皆は先帰って残った俺達を格好いいって褒め称えておいてよね」


「お、それモテるんじゃね?」

「決定!」


それが空元気の適当発言なのは誰が見ても明らかだったが皆揉める事なく受け入れる。



群馬 豪が「フィーデン、転移先は何処になる?」と聞く。

「まだ決めてない、エグスはどうしたの?」

「エグスはコルポファの連中に言われたのは高いところにいる若い子達をと言われた」


ここで戦場 闘一郎が確認を取る。

「すまないが何処まで指定ができる?」

「別に言ってれればなんとかするぞ」


「助かる。転移先はエグスと同じラインで頼めるか?」

「エグス、教えて」

「おう!一番星の方角だ!」


「建物の2階、8メートルくらいがいい。そこにある大地が好ましい」

「エグス?」

「豪が4人…5人位だな、エグスは豪が7人半にしてた」


「そして周りに危険がない…、俺達を助けてくれる存在のいる所だ」

「んー…、それは表世界を知らないから難しい。桔梗と勝利が無事に辿り着けるようにするでもいいか?」


「是非もない」

「よし!それじゃあ力を練るから1時間待ってくれ!」


この言葉で皆が帰り支度をはじめ、男達は武器を集めて寺院の前に防衛に出る。


「プリンツァはどうすんの?一緒に行く?」

出がけに豊島 一樹が聞く。


「そうそう、セオとワオも行く?」

大塚 直人はセオとワオに聞く。


困る3人にトーテッドが「コルポマなら差別も偏見もない、表世界が嫌ならコルポマに住めばいい」と言う。



「1時間あるって言うから悩んでなよ」

「でも俺たちも差別しないから一緒に行きたかったら言ってね」


豊島 一樹と大塚 直人は言うだけ言ってさっさと出撃をした。トーテッドも寺院前を戦場 闘一郎達と守ると言って出て行ってしまった。

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