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異世界ディストピア。  作者: さんまぐ
転機。
33/59

第33話 脱出開始。

深夜、普段なら眠っている時間に皆で大荷物と武器を抱えて外に出る。

エグスは「なんかワクワクするな!」と言ってニコニコとしている。


戦場 闘一郎はそんなエグスに「外の門を越えたあたりで声をかけるからユータレスの迷宮化をやめてくれないか?」と言う。


「おう!良いけどあのやな奴出てくるぞ?」

「それが良いんだ」


「それでいいならやるぞ」

「すまないなエグス」


「気にするな!豪の仲間ならエグスの友達だ!」

エグスは外に出られるとあって目はランランと輝いていて、上機嫌でお願いをしても快諾をしてくれる。

今エグスは眠い目を擦る桔梗と勝利に「寝てていいぞ?」「眠る子は可愛いな」と言う。


門の前に来ると全員で息を呑む。エグスと群馬 豪、戦場 闘一郎を含めて27人。

遂にこの世界を出る時が来た。


この日の為に貯め込んだ火炎弾と氷結弾で門の強度を弱めたところで打ち込む電撃弾で門は容易に破壊できた。


舐められたもので門番は1人だけだった。

しかも門が破壊されるまで居眠りをしていて破壊音で慌てて飛び起きたが、戦場 闘一郎が絞め落としてしまう。


そして門から少し進むとデリーツが待っていた。

まさかのデリーツに玉ノ井 勇太が「デリーツさん?」と言うとデリーツは「見送りだ。コルポファは今までよくしてもらい過ぎた。下山路はこの先だ」と言って道を指さす。


「良いのか?」

「姫の計画はプリンツァから聞いた。私にはとてもそんな真似は出来ない。可能なら逃げ伸びてくれ。プラセは怪しまれるから来られないがよろしくと言っていた。亜の2人も行くのか?まあそれが良いのかもな…。亜の2人は頼めるのなら最後まで皆に尽くしてくれ」


そんなデリーツはエグスの前で膝をつくと「神よ。私はデリーツと申します、100年にわたる加護、ありがとうございました。我が先祖が失礼な事をしておりました」


この挨拶と謝罪に上機嫌のエグスは「お前は良い奴だな。覚えたぞ。握手だ」と言ってデリーツの手を取る。

デリーツは感動に震えながらエグスと握手をする。


「デリーツ、俺は戦場 闘一郎。この先仮に姫から詰問を受けた時は俺たちからエグスを人質に取られて大人しくするしかなかったと言ってくれればいい。あくまでビジネスライク…事務的な関係だった。あなたは我々に肩入れはしていない。それで頼む」

「君達は…」

申し訳なさそうにするデリーツに戦場 闘一郎は首を横に振って「仲間達が厚情を貰ったと聞いている。助かった。それでは」と言って先に進むと、皆がめいめいに「助かったよ」「サンキュー」「バイバイ」「元気でな」と声をかける。


デリーツは敬礼で見送る。

その中で三ノ輪だけは「ではまた」と言っていた。



下山路の入り口にプリンツァが居た。

プリンツァはホッとした顔で「皆さん!予定より遅かったですがどうしました!?」と聞き、戦場 闘一郎が「デリーツが見送りに来ていた。それだけだ」と言った。


プリンツァは少し先に見える門を指さして、「あの門が開かれたり破壊されると姫に通達が行きます。多分姫は何かが起きるとは思ってないから動き自体は遅いですが…」と説明をする。


「わかってる。急ごう」

下山を始めてすぐに城が慌ただしくなり、兵達の足音が遠くから聞こえてくる。


「ちっ」と舌打ちをした戦場 闘一郎が「大体想定通りだな。エグス、ユータレスの迷宮化をやめてくれ」と指示を出すとすぐにエグスが「おう!やったぞ」と言う。


「戦場?迷宮化をやめてどうすんだ?」

「兵を割かせる。追っ手が迫った時、俺達に構ってて小台が外に出るとユータレスが塞がると言う」


「了解だ」

「とりあえず門を突破して外に出たら山を半周だな」

皆が口々にこの先の事を確認をしながら前に進む。

だがどうしても怪我人の玉ノ井 勇太と千代田 晴輝が足を引っ張ってしまう。

玉ノ井 勇太はまだ梅島 陸が肩を貸しているが、千代田 晴輝は腕が使えずに荷物を上手く背負えずに苦戦している。


それを見て梶原 祐一が「千代田、荷物なら俺達が持ってやるからお前は着いてくれば良いんだからな!」と声をかけて荷物を渡すように言うと、豊島 一樹が「本当!俺と大塚さんで引っ張って行きますよ!」と声をかける。

そして大塚 直人が「豊島、アイツは桜子ちゃんとラブラブだから俺たちはお邪魔虫だ」と言ってジト目で千代田 晴輝を見る。


千代田 晴輝は慌てて「僕達はそう言うのじゃ」と言うと横に居る上野 桜子が「私は右手が不自由な千代田君の分までやってて…非力な私を千代田君が助けてくれるから」と続ける。


「照れないで良いって、お似合いだよ」

「本当、帰ってからも嫌じゃなかったら付き合っちゃいなって」


約2年、右腕の動かなくなった千代田 晴輝と体力面で足を引っ張る上野 桜子は事あるごとに助け合っていた。

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