表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

もしかして、浮気ばれた?

作者: RYUN

「もしかして、浮気?」の、ショウタバージョンとその後です。

最近、自分の感情が分からなくなってくる。


ランのことは、多分好きだ。

けど、多分そこまで好きじゃないと思う。


だから俺は、「二股」をかけてしまう…。遊びのつもりで。


相手は、合コンで知り合った女。その女は、リカと名乗った。


色々話していくうちに、親近感が沸いた。


ヤバイ。俺、リカにもどきどきする…。

リカも同じだったようで、俺によりかかってきた。


ふと、リカが口を開いた。


「ねぇ、ショウタ君…。ランと付き合ってるデショ。」


いきなり言われて、動揺した。


「…そ、そうだけど…。何でランのこと…」


リカは、ニッと笑った。


「ランの友達だもん。…合コンに来るってことは…満足してないのカナ?」


リカが、意地悪くふふっと笑った。

俺は下を向いた。


「ねぇ…。二番目でもいいからさぁ…。付き合お?」


リカは俺の目をじっとみつめた。俺は誘惑に負けて、二股をかけることになった。

ランは携帯をチェックしたりするような女ではないが、一応携帯を分けることにした。


皮肉だけど…


「本カノ用」と、「愛人用」…ってか。

俺は、その愛人用の黒い携帯をクローゼットの中に隠した。

黒い携帯のことは、俺の中では通称「黒電」という。

ランが来てるときは、もちろん電源オフだ。


そして…その微妙な関係が、上手く続くと思ってたんだ。


しかしここで、予想外なことが起きた。


ある日。ランが帰った後、黒電をつけた。

その時。


鍵が、開いたのだ。ランは、合鍵を持っている。びっくりして、そのままクローゼットの中に黒電を突っ込んだ。


「ごめぇん、ショウタ!今日、やっぱ泊まってってもいいかな?親いないの忘れてた…」

てへ、とランは笑った。いつもなら、「てへじゃねぇだろ」と軽く突っ込んで笑えるのだが、動揺して黙り込んでしまった。

「ショウタ?…だめだった?」

「あ、ううん。ごめん。いいよ。」

「ホント?ごめんねっ。」

ランはそう言い、荷物を置きに行った。俺は自分のベッドの上に座った。

俺は、あの黒電のことが気になって仕方なかった。どうしよう。鳴り出したら…。

俺とランの着信音は一緒だから…もし、万が一あの携帯が鳴ったら…。


ば  れ  る  か  も


俺はかなり焦った。鳴るな。リカ、空気をよんでくれ。必死で祈る俺を裏切り、黒電は歌った。


――――――…ピルルルルルルルルルル。


その瞬間、荷物を置いたばかりのランの眉間にしわがよった。

「え?何これ…ショウタ、携帯二台持ってるの?」

「んなわけねぇじゃん。俺のたった一台の携帯が鳴ってんだよ。」


俺は、たった一台ということを強調して言った。


「じゃあ、何であたしと一緒の着信音じゃないの?…変えちゃったの?」


マズイ。どう言い訳しよう?ランの目は、妙にうるうるしている。

着信音が一緒じゃないからだ。えーと…。あ、そうだ。


「大学の先輩がさぁ…その着信音やめろ、って。シンプルじゃないと嫌らしくて…怒られたからさぁ。」


演技を含めて、苦笑した。ごめんな、というように。

…さすがに、苦しいか?


「でも、昼間は普通だったじゃん。」


うっ!そういえば…。俺はなんとかこの嘘を通しきろうと、また先輩ネタでチャレンジした。


「あー。その後、先輩と会って…ちょうど、お前がそんときメールしてきただろ?で、また先輩がきれてさぁ…変えたままなんだ。ホントごめん!」


自分でも、よくもまぁそんなに嘘がつけるもんだ、と感心する。

しかし、その必死な嘘は通用したらしい。ランは、そっか、大変だねと言い、座った。

俺はほっとし、ランの隣に移動した。


「風呂はいるか。何か疲れたし。」


ランはうん、と頷いた。


さあ、俺。チャンスだ!


ランが風呂に入っている間に、あの黒電を黙らせるんだ。


「ラン、先入っていいよ」

「えーっ、いいの?勝手に押しかけちゃったのに、悪いね」


絶対悪いと思ってないな。しかし、今のチャンスを潰すわけにはいかない。

俺は抑えた。


「いいよ。入ってきな。」


俺はベッドに寝転がり、近くの漫画に手をつけて、読むふりをした。


「変なことしないでねー」

「しねぇよ」


冗談を言いつつ、ランは前俺の家に来たときに忘れていった下着を持って、風呂場に向かった。


―――パタン。


よし。作戦実行。

俺は、慎重に辺りをキョロキョロした。別にする必要はないけど。家にいるのは、俺とランだけだし。そして、クローゼットに向かう。黒電を引っ張り出した。そして、まずはリカに返信を。


『今ラン来てるから!ごめん!』


と。そして、電源を切る。さぁ次は。俺の、本カノ携帯の着信音を…って。俺としたことが…!

そういえば…リカ、この前下着置いて帰ったよな!?やっべー!ランにばれる前に…どこに隠すか…

ベッドの下は?…駄目だ。あいつ、変な好奇心出して覗くからな。俺の下着ダンスの中に紛れさせるとか?…いや、俺が下着出した拍子にリカのも一緒に出そうで怖い。…クローゼットは?

 結果、リカの下着はクローゼット行きとなった。

クローゼットよ、二つも罪を抱えて…お前も大変だな。って、勝手に抱えさせて共犯者にしてんのは俺か。まあいいや。俺の着信音を…って…あいつ上がったぁぁぁ!


「〜♪♪♪〜♪♪〜」


呑気に鼻歌が聞こえてくる。何で長風呂しねぇんだ。そう思いつつ、上がったのか、といい、そそくさと風呂場に向かった。

頑張った、俺。頑張ったよ俺。

体を洗ってる最中、そんなことを考えていた。


 風呂から上がると、早速俺の本カノ携帯がお出迎えした。

全く、どいつもこいつもなんてタイミングがいいんだか。


「…あれ?この着信音、あたしと一緒の…?何で?」


ギクッ。ラン、お前は何でそういうときだけ鋭いんだ?

しかし、俺の中の悪魔はまた上手な嘘を考えてくれたようだ。


「お前が風呂入ってる間に、変えといたんだよ。せめて、お前といるときだけでも一緒にしたくて…サ。」


ランを見上げると、ランは瞬間俺に飛びついてきた。


「ショウタ、大好き!」


女心、しっかり掴んだ…感じかな?

俺の中の悪魔、お前に感謝するよ。

お前は地上に舞い降りてきたら、相当のモテ男になるに違いないよ、うん。


このときの俺は舞い上がりすぎて、この後のことなんてこれっぽっちも考えていなかった。

この後起こる、最悪の事態に。


そして、このとき初めて後悔する。

やっぱり、遊びでリカとも関係を持つんじゃなかった、と。

リカの誘いに乗らなければよかった、と。

けど、時既に遅し。後の祭りだ。


そして、この時俺は思い知ることになる。

嘘なんていつかばれる、ってこと。


俺は、浮気のばれる危機を逃れた三日後に、ランにふられたのだ。

まぁ、これが俺のいう「最悪の事態」なのだが。


俺は、ある失態を犯してしまった。

そして、その失態のせいでランにリカとの関係がばれてしまい。

俺はそこで初めて悔やんだ。リカと関係を持ったことを。

そして、俺はリカに別れを告げるのだ。


「ごめん。リカ。ランに、浮気がばれたんだ。もう、この関係はこれっきりにしてくれねぇか」

「あーあ。とうとうやっちゃったか…ま、もういいんだけどさ。こっちも遊びだし」


リカは、にこっと笑って言った。


「…だよなぁ。ホント、ごめんな。ありがとう」


俺はそれだけ言って、その場を離れようとした。しかし、リカが俺を引き留める。


「ショウタ。」

「…リカ?どうした?」

「あたしと別れたところで、ランとちゃんと付き合いつづけられるわけじゃないよ?」


リカは、心配してくれているのか…そんなことを言ってきた。

例えそれがリカの心配だったとしても、傷つくんだけどな。


「ああ。分かってるよ…。とりあえず、けじめはつけなきゃなんねぇし。ランにふられたからって、お前と一緒んなったって絶対うまくいかねぇし」


俺は、(さと)したように言った。

けど、リカはそれを小バカにしたように笑うだけだった。


「浮気してるやつの言うこと?それ。今更かっこつけちゃってさ…」


リカはくすくすと笑っていたけど、その笑いを突然止めた。


「…いつでも、あたしのところに戻ってきてもいいんだよ?暇だし、あたし。」

「嘘つけ。お前もてるだろー。」

「うん。もてるよ。ま、冗談だけど。こんな男、こっちから願い下げ」

「お前な…」


少しの笑いが起こるけど、それもつかの間。もう、別れの時間だ。


「…じゃあな。俺のメアド、消しとけよ。」

「…うん」


心なしか、リカの声が少し震えている気がした。けど、それを俺は突っ込まなかった。

そして、そのままリカと別れた。

そしてそのまま。ランの家に直行した。

ランは、俺が来ると笑顔で迎えてくれた。これは、予想外だった。

今、ランの両親は出かけていて、家にはランと俺だけだった。

 そして、ランの部屋に招き入れられた。


「何か飲む?」

「…いや、いい。話があって。」

「…話?なら、早くして?」


にっこりと微笑むランが、何故か怖い。

だから、俺はためらいつつも早く言うように努力した。


「リカと別れた。…ごめん。もっかい、俺と付き合って下さい…」


しばらく流れる沈黙。そして、ランが口を開いた。


「何言ってんの?あたしたち、別れてないよ?」


また笑顔。しかし、この笑顔に何故か安心できない。

それもそのはず。ランが次に発した言葉は…


「ま、どうせあんたと今後付き合いつづける気はないけどね。もちろん、やり直そうとも思わない。」


俺は、ショックを受けた。

原因は俺だし、こうなることも覚悟してたはずなのに、納得できない。

もしかしたら、心のどこかで、ランなら許してくれるなんて甘い考えを持っていたのかもしれない。


『自業自得』


今の俺の言葉にぴったりなんだろうな。

そうしみじみ思いながら、俺はランの答えに「そっか」と言った。

俺は、何も言わずにドアの方へ向かっていった。

この恋の終わりを告げる道へ。


「ショウタ」

「………何?」


そういえば、さっきもリカに引き留められたな。

そう思いながら、ランの方を向く。


「次に彼女が出来たら、浮気なんかするな。元カノからの忠告。聞くのも聞かないのも、ショウタ次第だよ。…じゃあね。」


ランは俺の目を見て言った。

俺は、その言葉をしっかりかみしめた。


「…うん。まじごめんな。幸せになれよ」


柄にもないことを言い残して、俺は部屋を出た。

そして、一人呟いた。


「『元カノ』からの忠告…か。」


俺は、ここで初めてランとの別れを実感して、泣いた。

女と別れても泣かない俺が、初めて泣いた。


「あー。バカなことしたかも。」


そして、俺はランと一緒の着信音を、本当にシンプルな着信音に変えた。

やっぱり、浮気って重いかも…(p_q)エーン

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 切なくなれますね……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ