表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

8


最初こそ魔獣だと気がつかなかったが

魔獣と知ってなお、この子と仲良くなりたいと思った。

1人でずっといた肆郎は寂しさを

感じていたのかもしれない。


それから数日一緒に暮らして

ここに来て楽しいと始めて思った。

誰かの為に心から考えて行動したのも

始めてだったかもしれない。


そして気がついた。

それは相手が何も言わないからなんじゃないかと、

そして肆郎の魔力、技術、才能を駆使したら

話すこともできるようになるのではという事を、、、


肆郎はためらった。

話さないのも怖かったが、話すのも怖かった。

今までのやり取りは全部肆郎が

勝手に多分、だろう、と解釈してきたに過ぎない。



図書館に行った。

蒼が病気になった時、どうにかならないかと調べたが

魔獣を倒すすべはあるのに治す方法などどこにもなかった。

蒼と話せるかを考えて

本を読み、魔法を頭の中で組んでみると完成してしまった。


海に来た。

蒼と会話をするべきか悩んだ。

蒼とヤドカリが楽しそうに

会話しているように(・・・)見えた。

やけにその光景が目に焼き付いた。


蒼と食事をする。

やはり肆郎には蒼が美味しそうに

食べているように(・・・)見えるだけだった。



ーーーーーーー


朝になった。


ひどい夢だと思ったが、

現実に向き合えと言われているようで、また考えた。


そして恐れている事は突然起こった。


朝ごはんを食べている蒼を見ていると、

なんだか様子がおかしい事に気がついた。

いきなりブルブル震えだすと、床にべちゃりと落ち、

形も水のようになって動かなくなった。


僕はへたり込み自分の知りうる限りの

回復魔法をかけたが元に戻らず、

自分の行動を悔いた。


早く話せるようにしておけば

こんな事にはならなかったかもしれないと、


ピクリと蒼が動いた。


ハッとした僕はためらいなく

自分に蒼の言葉がわかるように魔法をかける。


「ないてる、、ごめんね。どうしよう、、」


始めて聞く蒼の言葉がひどく落ち着いていたので

出来るだけ落ち着いている声で話しかける。


「なにがどうしようなの?」


蒼がビクッと震えると、いつもの形状に戻り


「こっ、、ことばがつうじるよ!?なんで??」


「君の言葉がわかるように

僕に魔法をかけたんだ。

それよりどこか悪いんじゃなかったの?」


「ごめんなさい。

なんだかげんきがないようにみえたから、

おどろかせようとおもったんだ。

でもないちゃった。ごめんなさい」


蒼がシュンとしている(・・・・)


「今君、シュンとしてる?」


「?してるよー。ごめんなさい。」


「そうか!シュンとしているか!」


「???」


笑っている僕を不思議そうに見る蒼、、、


「、、、君に聞いてほしい話があるんだ。」


「???」


「長い話になる、、でも話さないと

君と一緒にいる資格がない、、」



僕は蒼に今まで事を話した。




ーーーーーーーーーーーーーー

「、、、、、なんだ。」


「、、、、、」


(嫌われたかもしれない、

蒼は出て行ってしまうかもしれない、、、)


それでももう僕には黙っていることはできなかった。


「むずかしいことはわからない」


「、、、、、」


「ぼくずっとおはなししてみたかった。

どんぐりくれた。おへやでけがしなくなった。

ごはんおいしかった。

ずっとありがとうっていいたかった!!」


「蒼、、、?」


「にんげん、ぼくをみたらいしをなげるよ。

でもにんげんどうしはなかがいいよ。

たのしそうだった。

ぼくもなかまにいれてほしかったんだ。

なかまにはなしたらむれからおいだされたの。

そんなときあったんだ。」


僕には蒼が泣いているように見えた。


「それでね。

すごくやさしくって、ごはんがおいしくってね。

それでね、あのね、ぼくのむれになってください!!」


(_ _))))

———


お辞儀をして蒼はお願いする。

人間をずっと観察して覚えたのだろう。


「蒼っっ、、僕、、()こそお願いします!!」


俺は土下座してお願いした。

こんなに願った事はないくらい願った。



「えへ、これからよろしくね。」


(^^))))

———



「それで君の名前はなんていうの?

俺は今まで勝手に蒼って呼んでたんだけど」


「ぼくになまえはないよ。あお、、

ぼくのなまえ?もらっていいの?」


「もらってくれるなら嬉しいよ。ありがとう。」


「?ぼくがもらったのにおれいゆーの?

、、、おなまえは??」


「俺はシロウ。ただのシロウだ。」


「シロー?、、おぼえたシローっ!」


いきなり蒼が飛びついてきた


こうして俺と蒼は本当の家族になった。




ーーーーーーーーーーーーーーー

(その後)



「、、、で、どうしてあんな事を?

驚かすにしてもまっとこう、、、ご飯まずかった?」


「きのうあったカタツムリに、

シローがげんきないけどどうしようって

そうだんしたら、いつもとちがうことして

びっくりさせたらって、いったから

しんだふりをしてみた。

シローなくからびっくりした。」


カタツムリ?


「そりゃー誰だって一緒にメシ喰ってる奴が

死んだふりしたらびっくりするわ、、、」


「??シローなんだかいつもとちがうよーにみえるよ?」


「なんだか色々吹っ切れたというか、

諦めたというか、、、

まぁいつかはツケを払うときが来るんだろうな、、、」


「???」


次回からスローライフをおくります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ