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珍しくいい人に出会えて気持ちも軽く、
今度はこの町のギルドに向かう。
「すいません。スライムの生態に詳しい人を
探しているのですが、紹介していただけませんか?」
スッと『偽装したBランクのギルドカード』を出した。
余計な詮索をされない為ランク以外は非表示だ。
「Bランクの方ですか!、、少々お待ちください、、、
この町ですと『テイマーのスティールさん』
に聞くのが1番だと思います。
後は、、、、そうですね図書館の閲覧許可を
お出しすることができますが?」
目の前の僕がBランクに見えなかったのだろう。
驚く顔を見せるが
思いつく限りのことを教え、提案してくれた。
「ありがとうございます。是非図書館の閲覧許可の方も
お願いします。
よろしければそのスティールさんに会う方法を
教えていただけないでしょうか?」
「はい。ではこちらが閲覧許可書になります。
スティールさんはこの町の外れの森の近くに
住まれていますので、、、、、、、、、こちらが
簡単ではありますが地図になります。」
「わざわざ地図までありがとうございます。
また機会がありましたらよろしくお願いします。」
簡単ではあるが地図をもらいお礼を言うとギルドを後にした。
「どれどれ、、、『跳ね馬亭』を曲がって、、、
そういえばお腹すいたな。」
丁度いいのでこの跳ね馬亭で食べようと思い 、はたと
(もしかしてギルドの人ここまで考えてくれたんじゃ、、)
細かい気配りにもう一度心の中でお礼を言うと
跳ね馬亭を目指した。
「すいません。『ケンタウロスのステーキ』と
『木の実のサラダ』『フルーツジュース2つ』
をお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
跳ね馬亭はすぐ見つかり、店に入ると
昼のピークは過ぎているようで僕の他には
2組ほどの客しかいなかった。
店中の1番奥で目立たない場所に座り注文の品を待つ。
「お待たせしました。
ステーキのソースはそちらからお好きなものを
おかけください。ではごゆっくり」
「ありがとうございます。」
店員がいなくなったのをしっかりと確認し
テーブルの上に蒼を乗っける。
「苦しくない?大丈夫?
後もう少ししたら帰れるからね。」
つるりと頭を撫でると、サラダとステーキを
半分にして皿に取り分け、蒼の前に出した。
(・・))))
{[][]}(.”,.’)
(((・・)))
————
「あっ、お皿まで溶けちゃったか、、
食べたら駄目だよ?体にいいとは思わないから『錬成』」
蒼が溶かしてしまった皿を元どおりに錬成し、
自分のステーキとサラダをそちらに移して食べた。
汚れが付いていないと不審に思われると思ったからだ。
「蒼、ジュースどうする?」
(・・))))
———
上からかけてくれと言われた気がした
ミ
(・・)))
———
少しずつ垂らして様子をみる
表面から吸収されていくジュースが蒼の中心あたり
までくると、真ん中あたりでシュワっと弾け
ジュースがどこかに吸収されていった。
蒼を撫でてみるがベタベタしていなかった。
「僕もすぐ食べるからちょっと待ってね。」
僕がご飯を食べ終わるまで蒼はテーブルの上を
行ったり来たりしながら僕のジュースグラスに
張り付いたり離れたりしたのでもう少し注いであげた。
「さてと、蒼、もうちょっとここで我慢しててね?」
再び三角巾に蒼をぶら下げると料金を支払い店を出た。
スティールさんの家に向かう道中も店がしばらく続き
なんだか甘味が欲しくなり、アイテムボックスから
ドングリクッキーを出し、1枚を蒼にやり1枚を
自分で食べながら歩く。
「砂糖は高いから、今度は代用でハチミツを
使うかなぁ、、あっ、あの家だよ」
スティールさんの家に着き扉をノックした。
「ごめんくださいスティールさんいらっしゃいますか?」
2、3回扉を叩くと
「どなたですか?」
メガネをかけた頭の良さそうな男が出てきた。
「スライムの生態について詳しい人を
ギルドに聞きましたらスティールさんを紹介されまして
よろしければお話を聞かせていただけないでしょうか?」
「スライム、、ですか?またそれはどうして、、」
「スライムをテイムしたのですが病気とか心配が多く、、、」
「?病気になったらスライムくらい新しいモノを
テイムすればいいんじゃないですか?、、、、ヒッ!!」
モノのいいように殺気を一瞬飛ばしてしまい
スティールさんの顔は一気に青ざめ、
床に尻餅をつきそのままズリズリと後ずさった。
「あっ、すいません。いろんな考えがあると理解して
います。ですが僕にとってのスライムは友達であり
家族だと思っていますので、病気が心配なのです。
何か知っていましたら是非教えてください。」
「、、、そんなこと、、いえ、病気については
存じません。なのでこの町の図書館に行って
みてください。そっちらの方がいいと思います。
図書館はこの先をまっすぐ行けばわかります。」
バタン
スティールさんは図書館の方角を指差すと
家の中に入ってしまった。
これ以上の情報を聞くのは無理だと思ったので
指差された方に向かって歩く。
(やってしまった、、、)
一般的な考えは魔獣は倒すものであり食料であり素材である。
テイマーにとっては使役する道具だろう。
中には大事にしているテイマーもいるだろうが、、、
スティールさんはたぶん前者だ。
その考えを否定するつもりはないが
そんな人に教えてもらうことは何もない。
ただ教えてもらう立場から考えると僕の態度は駄目だった。
悶々としながら歩いているとすぐ図書館は見つかった。
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ギルドカード
所持者のランクより下に偽造する機能があるが使う人はあまりいない。
閲覧ありがとうございます。
評価していただいた方、大変ありがとうございます。
始めての評価に感謝感激であります!