表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

2)


蒼を抱っこして家に帰って来た。

殺風景で特に飾り気がなく無駄のない部屋を

ぐるりと一周見て、

僕はとりあえずベットに蒼を置いた。


(・・)

———


表で水を汲んでこようと蒼から離れると

ついてこようとしたのか蒼がベットから飛び降りたが


———

(・・)


次の瞬間飛び上がるようにベットに戻り


(・・)))

———


ベットの上でブルブルしている


(どうしたんだ?)


不思議に思い近づいてベットに腰掛けると、

蒼が膝の上に乗ってきた。


(・・)

7 7


「どうしたの?」


するとだんだん自分の膝が濡れていくのが

わかったので何事かと蒼を持ち上げてみると

怪我をしていることに気がついた。


「怪我をしたのか『ヒール』」


回復魔法で蒼を癒すとベット蒼を置き


(・・)

———


ベットの横に屈んで床を撫でてみる


普段靴で家の中を歩いてる僕には気がつかなかったが

どうやら床は随分ささくれているようだ。

釘が微妙に最後まで打ち切っていないところまである。


(蒼の住みやすい環境を整えないと)


「ごめん蒼。君に怪我をさせてしまった、、、

君がこの家のどこにでも行けるように準備をする期間

僕にくれないか?」


ベットの上でプニャプニャしている蒼は


つ(・・))))))


手を差し出すとすり寄って来てプルプルとした

振動が伝わる


(許してくれたかな)


「本当にごめんね。、、、あのね、僕は水を

汲んでくるから少しここで待っててほしいんだ。

、、すぐ帰ってくるから」


蒼から少しずつ様子を見ながら離れていく


(・・)))))

———


ベットの端まで来て下に降りようか迷っている


(((((・・)

————


蒼がベットの上でウロウロし出したので

蒼の元に戻り片手で蒼を抱え、

一緒に水を汲みにいくことにした。



家の外は日はだいぶ落ち、

沈んで行く夕陽に照らされた蒼はセピア色に見え

とても綺麗だった。


川にやってきた。

10mくらい家から下ったところに流れているこの川は

幅2mくらいしかなく深さも膝下くらいしかない上に

流も穏やかだ。

僕がよく使っているここには1mくらいの桟橋をかけたので、

橋こそないが簡単に向こう岸へと行き来ができる。


蒼を抱えたまま持ってきたバケツで水を汲むと、

柔らかな葉が生えている草地に蒼を下ろし、

バケツを下ろした。


「今日も一日終わったなぁ。」


地面に寝転がり、

だんだんと暗くなっていく空を見る

ここに1人で暮らしだして毎日のように

この空を見てきたが今日はいつもと違う気持ちで

景色も変わって見えた。


(季節ももう春か、、、

ここにきてもう5年になるんだなぁ)


楽ではない人生を歩んできたと思っている僕は

ここで1人で暮らす生活に不満はなかった

、、、のだが、


僕の頰に一筋の涙が流れた。


(あれ、、なんで、、、)


自分の感情に戸惑いを覚えていると、

誰かが、蒼が、

一緒にいるという事を強く感じた。


3~ 3~

w*w*(((・ ・)*w*w


感情の正体は、、


(そうか僕は寂しかったんだ、、

全てが嫌になってここにきたのは自分なのになぁ、、)


顔を腕で覆い幸せを噛み締めていると

手になんだかくすぐったいものが当たる


✳︎(・・)


花をまるで僕に差し出すように、

慰めるようにしている

蒼がいた。


「蒼、、お前イィ奴だなぁ、、っく、、、」


僕を想ってくれる気持ちが嬉しい


(人間の方がよっぽど魔物じゃないか)


「花、ありがとうな、、、蒼。」


花を受け取ると胸ポケットに挟み、蒼を抱え、

バケツを持つと

もうほとんど真っ暗な家路に進む。



真っ暗だが星空の綺麗な夜だった。




——————————

その夜、

ベットの上の蒼は、規則正しい震えている

多分寝ているのだろう、、


( _ _ )))~Zzzz

———


「『建築』、、、、『建築』、」


小声でこの家を建てたぶりの建築のスキルを使い、

床のささくれを一つ一つ取り除き、

錬成で作ったトンカチで極力音をたてずに釘を打つ

ついでにテーブルや椅子の角を丸くし、

気づける限りの安全対策をし、

ようやく休憩がてら、椅子に座る。

テーブルの真ん中には先程作った花瓶に活けられた花がある。


(枯れてしまう前にこれは押し花にしよう)


心地よい体の疲れを感じ、目が重くなってくる。


(明日は、、そうだ、蒼にベットを作ろう。

お皿もコップも、、、

ドングリ以外は何を食べるんだろう、、ふふふ、、、

やる事がいっぱいあるな、、、、、)


僕は夢の中でも蒼と一緒だった









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ