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結婚

 あべこべ社会の中でも男女比が狂ったものの場合、結婚という概念は生まれるのだろうか?


 少し、その経緯を考えてみよう。





 まず、原始的な時代において男女比が狂っていた場合は、まず間違いなく結婚なんてことはしない。

 パートナーを決めるというのは、一対多数が当たり前なら管理する意味があまりないのだ。誰が誰の子供かを考える事などせず、気ままに子作りをするだろう。



 だいたい古代ぐらいの時代かな。

 これが王様や貴族などの階級を持つ者たちが現れる事になると、話が違ってくる。

 ここで「家」、つまり「血筋」という考え方が生まれ、親の名前が重要になるからだ。真偽は別にして家系図などを作ったりと、血統による統治が重要視されるようになる。

 ただし管理はザルじゃないかと思うけど。いきなり厳しくは管理しないだろう。と言うより、きっとできない。だって男の数が少ないから。近親婚で奇形児が生まれたとしても気にしないか、種として近親婚に適応する可能性もあるかな。



 古代になると、個人が名を持ち家系図なども作られる。

 古代ヨーロッパの女性は名前が無かったのだが、男女比の都合であべこべ世界の男であれば名前がどうでもいいなどと言う事にはならない。こういった時代において身分とはかなり重要視されるものであり、身分差のある結婚とは絶対に否定すべき事柄であるからだ。男の名前も記録に残す必要がある。

 こうやって血統が管理されるようになると近親婚のリスクなども見えてくるようになり、兄弟姉妹が結婚できなくなるといった法整備が進められると思われる。



 中世になると、「家」と言う考え方はさらに推し進められる。

 結婚は身内を作る為であり、身内とは自分の持つモノを継がせる立場であり、血の結びつきが何よりも重要になるからだ。

 だが、そこに男女比の偏りと言う要素が混じると少し地球とは違う事になると思われる。


 男の共有である。

 男が少ない事で結婚というプロセスが難しくなり、子供同士の結婚があまり行えない事になりかねない。そうなると当主の夫が身内に迎え入れたい家を訪ね、子種を残すことが行われるんじゃないかなと推測される。

 男が希少であるなら結婚以外のアプローチが必要になりそうだからだ。


 ただ、領主が通う男に種を貰うというのは外聞があまりよろしくない。領主なのに男と結婚できないなどと噂されれば舐められるだろう。結婚は領主としての権利と言うより、領主の権威を守る必須行為という位置付けになる。

 そうなると男と結婚しなければ領主などはやっていられない事になるかな。

 そうして結婚は王や大領主などの特権として、長らく独占が続く事になると思われる。


 付け加えるなら、希少な男を外に出すというのも難しい問題だ。

 自分の手元に残せば身内への褒美にも使えるのだから、数が少ない時は特に外には出しづらいだろう。

 男は領主(女)が管理する戦略物資と言う側面が強くなり、内側で管理する体制が作られかねない。

 男の自由は強く奪われ、扱いは奴隷の中でも特に厳しい物になる可能性が高い。ディストピアまっしぐらである。



 次の時代の支配者はブルジョワ、金持ちである。

 彼女らは王侯貴族の支配に対するレジスタンスであるため、民衆の意志の代弁者となる。お前らの税金の為に貧しいなんて嫌だ、私達にも男を寄越せと民衆が立ち上がるのである。

 ブルジョワも本音を言えば民衆が自由を勝ち取った新しい時代とかどうでも良く、自分たちが支配者になりたいだけなのだが、それでも自分たちの支配体制の為に男を解放する者達であらねばならない。そうでないと自分たちが吊し上げられて終わるのだ。事実、フランス革命では民意を無視した革命家たちが多く処刑されている。いのちだいじに、だ。


 近代において、民衆(女)は男を勝ち取るのである。

 しかし、そうなると男女比が邪魔をして結婚などは出来ない。ハーレム(一夫多妻)法が常識となる、と思う。

 1対1の結婚(男を独占)はしたいが、現実問題として圧倒的に男が足りないのだから、貴族的な結婚は不可能である。結婚は一人の男を多くの女が「管理」する行為となるだろう。ブルジョワは、それを管理する側に回る。


 それなら結婚は女にとって貴族的な行為と言うか、安定して子作りできる環境作りと言うか。憧れを含む風習と考えて良さそうだ。もしかすると、一部の名誉ある人間だけは認めるとかいった形になる、かもしれない。

 つまり、結婚は形を変えて一般化するかもしれない。

 もしくはそれまでの結婚という呼び方が貴族的だからと別の言い方をするかもしれない。


 当たり前だが男の立場はそこまで強くなく、多くの女に搾り取られればそれだけ酷い事になるだろう。

 男にとっての試練は続く。



 現代においてはおそらく男にも人権が認められることになる。

 日本なみの人権を認めることになるとハーレム法による多数との結婚は無理強い出来る事では無くなるが、そこまで男の立場は考慮されない。子供を作らねば国は立ち行かなくなるだろうから、男は複数の女性を結婚することを義務付けられるか、複数の子供を作る事を義務とされるだろう。日本と同じレベルで人権が認められるはずはない。

 よって、段階的に扱いがマシになっていくだろうことを考えると、現代レベルの世界では何らかの男女関係の法律が作られる事で男性側が抗議するというのはあまりないと思われる。むしろ歓迎する種類の法律の方がきっと多い。

 さすがにどこの国も現代化したからといっていきなり結婚は自由意思によってのみ行われるとかアホな事は言わないんじゃないかな。ある程度強制するものだと思う。


 気になるのは国際結婚に関して。

 男が国外に気軽に行けるようになると、男を確保するために「うちの国は条件が良いですよ」と国が他国の男を囲い込もうとする可能性が全くないわけではない。

 条件を良くすることで自分の国に来てもらい、籍を移して帰化してもらえれば万々歳。海外旅行のついでに種を残してもらえれば大勝利。そうなるかな?


 で、男を優遇する種類の政策を推し進めて「傲慢男子」へと時代が移り変わるかと言うと……半々でしょうか?

 下手に男性優遇を推し進めると、国が破綻しかねないのです。女性を満足させる数の男を揃える為とはいえ、恩恵にあずかれない多数の女性に負担を強いるとなると、結局大多数は不満を抱くのだからバランス感覚が重要になる。

 女性上位の社会がベースにあり、女性を満足させるために男を集めるのが目的なのだから、根っこにあるのは「女性の満足」なんですよね。男の為ではないのです。

 そう考えると、個人的には傲慢男子は難しいと思えてくる。


 それでも、男の人権が認められ限定的でも平等に扱われる社会であれば、それまでと比べれば楽園だと思われるはずだ。

 最悪がちょっとマシになっただけとも言うが。



 結婚関連をまとめてみると


・ 自由恋愛はアリと言えばアリ。

・ ただし子作りの為に複数の女性と結婚するように強要される。

・ 男にとってそれは当たり前という考え方になる(男は女性上位を常識と捉える)


となるかな。


 男にとって、我々が見た、日本の常識で言う虐げられた状態だとしても「それが当たり前」であれば疑問は抱かないと思う。

 ただ、より良い待遇を求める事ぐらいはしているはず。現状に満足しないのは当たり前ですから。





 国が男の海外旅行を認めるのかって話でもいいかな。

 もしも男が外国に行ったら大変な事になる。

 そう考えれば男性の海外旅行は規制されてしかるべき行為なのか?

 国際結婚も禁止されるのか?

 そこをテーマにしてみても面白いかもしれない。

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