あべこべ的女性観
あべこべ物を読んでいて、女性のあべこべ感が少ないと感じた人はどれくらいいるだろうか?
男女貞操観念反転世界でも、女性の女性らしさがあまり変わっていないと言うか、我々のいる日本に放り込んでも特に違和感を感じない、少々ガサツなキャラで通るのはどうしてだろうか?
それは、ごく当たり前の展開だからと説明できる。
まず、男女の性格の差と言うのはどうやって作られるか。
基本的に性格というのは、仕事の内容でそれが決まると言っても過言ではない。
仕事による社会の役割分担が性格にも影響を与えているわけだ。
現代日本では主に、「男性向けの仕事」「女性向けの仕事」というのがあるが、それ以前の時代では「男性の仕事」「女性の仕事」が「金を稼ぐ仕事」「家の中の仕事」という形で分けられる。
男尊女卑の時代では、女性が外に出て働くというのはまず無かった。機織りや草履作りなど、内職のような仕事がほとんどだったのだ。農作業などはやっていたが、対外交渉などは男の仕事となる。これを言い換えると、昔の女性は経済的弱者だったわけだ。
こうなると、女性は男に従うのが当たり前といった風潮が蔓延し、独立性の強い女性と言うのはほぼ出てこなくなる。いたとしても異端としてやっていけないように封じ込められるだろう。
現代社会で「女性が強くなった」というのは、女性が経済的に独立することで男性に従わなくても生きていける社会になったことが大きく関係している。
そして亭主関白から女房の尻の下に敷かれる男性が多くなったのは、女性が働くことで経済的な関係が対等になったにも関わらず、育児や家事などの面で女房に頼りっぱなしの旦那といった関係では家の中で女性の方が強くなったからというのも理由として考えられる。
生活というのを家の中と外で分けて考えた場合、外では対等、中では女性が強いとなるのなら、総合的に女性の方が上に行くのは当然なのである。
極論、過去の日本は男性上位社会であったが、現代日本は女性上位社会へ変遷しつつある時期ではないだろうか?
そしてその一端、「強い立場の女性」に我々男性が触れていると考えられないだろうか?
男女貞操観念反転世界において、男性の立場というのは「昔の女性と同じレベル」で外に出ることを忌避され、経済的には完全に弱者と言える状態にあることが多い。
それを考えると、男性と女性の立場があべこべ世界と女性優位の現代日本とさほど変わらないことが分かる。
どちらも女性が強いのだ。ならば、違和感が少ない事にも理解ができる。元より似た立場の女性を扱っているのだから当然だ。
ただ、数十年後には現代日本は完全な女性上位社会となり、あべこべ世界ほど男性が優遇されない「男女比の狂った世界」が作られるのではないだろうか?
我々男性は、もっと家事を手伝い、立場の強化に勤しんだ方が良いのかもしれない。