出会い
「ハデス!ハデス!」
僕は 神界を下りて 人間界の ある少女の元へ
守護神の あるまじき行動を とってしまう程
一瞬で恋に落ちた......
僕はまだ 守護神としては 未熟で 人を守り導くには 力不足......でも......止められなかった
神界には 人間界を見る 穴があって 僕は いつも その穴を 覗いて 人間界を見てた......
ある時 人間界を見てたら 一人の少女に 目が止まる......
少女は 一人で歩いてた。
道路の脇にある 用水路の前で 動きが止まり 用水路を眺めてたかと 思ったら 手を伸ばし 死体となった犬を 自分の方に 引き寄せ 犬の頭に......
優しくキスをした......そして
「バイバイ」
そう言って 手を離した......
泣くわけでもなく 悲しむわけでもなく ......
優しく微笑んで そっと 手を離した......
そして 立ち上がり また歩き始める......
僕の胸に 矢がささり 鼓動を熱くさせる
それから 毎日毎日 少女を見てた。
少女の暮らしは けして裕福ではない......
母一人子一人の 貧乏な暮らし
けして わがままを 言う子ではなかった。
あるクリスマスの前日 少女は 初めて自分の
気持ちを母に見せる
「サンタさん くるかな?......プレゼントもらえると いいな!」
そう言って 靴下を 土壁に張り付けて 希望を膨らませて......眠りについた。
クリスマスの朝
少女は飛び起きて 土壁に張った靴下を見る...
張った時のままだった......一瞬 少女は寂しい表情を見せたが すぐ元に戻り 靴下を外した...
僕の心が痛い......見てるだけの僕が 苦しい
もう少女から 目を離す事が......できない