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地獄ちゃんねる2
「どこいくの」
「帰る」
「まってよ、話したいこと、あるから」
店から出ても、爆音の余韻で、耳がじんじんとする。
梅宮は自販機のボタンをおした。缶ジュースをおれにさしだす。
「一週間まえ、うしろ姿はみてたんだけど。声、かけられなくて」
「制服で入るわけにもいかないし」
「部長、心配してるよ?」
「もう関係ない」
「あの、お父さんの話、ほんとなの?」
「……」
「ごめん。うそなわけ、ないよね」
「ごちそうさま」
「まって。それで、もし、お金に困ってるなら、話があるの」
「……話?」
ふりむくと、私服の梅宮が淡い黄昏につつまれている。
「それじゃ、いこうか」
彼女の背中についていく。街が紅茶色に染まった。