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筋トレしてーぜ  作者: あまたちゃん
5/6

地獄ちゃんねる1

「4号機だったらなあ」

「なんて?」

「4号機だったらなあ!」

 アニソンの爆音。出玉の洪水。紫煙がただよう。

 ここは人生の墓場、パチンコ店。

 親父の財布からぬいてきた、五千円札を手に通路をあるく。

 おれのとなりをチンピラがあるく。

「万枚もでたんだぜ!」

 ここに通うようになって、話しかけられるようになった。名前はしらない。おれは「4号機おじさん」と呼んでいる。見た目でいえば、ほぼ同い年。4号機なんて打っているはずがない。どんだけ昔の機種だとおもってんだ。薬物でもやっているのだろう。血色わるいし。

「獣王」だの「吉宗」だの「アラジン」だの「北斗」だの、口をひらけば四号機談義がはじまる。

 家には「南国育ち」の実機がおいてあるらしい。スロ好きにはたまらない、らしい。

 だがな。おれはスロットが好きなんじゃない。稼ぐために打つだけだ。チンピラ。おまえとは背負っているものがちがう。

 チンピラが舌打ちした。出玉で溢れた玉箱をシェイクする、ジャージのじじい。つとめて無表情にシェイクしている。クソうぜえ。おれでも舌打ちしたいくらいだ。

 スロットの島をうろつく。どの台もグラフがしゃばい。設定6とはいわない。せめて4、できれば5。

「クソが」

 どこにもない。地雷だ。まず負ける。だったら帰るか?

 いや、帰れねえ。この台なら、もしかしたら。腰をすえる。

 天井はまだか。金が呑まれる。クソが。クソが。クソが。クソが。なけなしの金なんだよ。親父に顔向けできねえだろーが。クソが。クソが。クソが。目押しを外す。ちくしょう。なんなんだよ。

「クソ……」

 背中をつつかれる。肩をたたかれる。

 ふりむくと、梅宮がいた。

5スロです

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