↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生、だけど労働  作者: あぶてにうす
4話 Beginning
PR
95/162

再起

「恨んでいないの? 世界や、周りってものをさ」


 ひとしきり話を聴き終えるとエマが聞いてきた。


「別に? 割とどうでも良いかな。判断力を失って死んじゃったのが勿体無くて、やり直せるならやり直したくて、今ここにいるぐらい。もしも元の世界に戻れるなら仕事辞める」

「ふぅん」


 エマは感心したでもなく、同意をしたでもなく、気のない相槌のように言った。


「じゃあ、宗弥は仕事を辞めるためにこんなところでもつらい思いをして働いているの?」

「そうだよ」


「なら、最初からそうしなければ良かったのに」


「エマもそう思う? うん、僕もそう思う。不思議だね」


 笑ってみて、自分は馬鹿なんだろうなと思った。と同時になんでそうするのだろうと思った。巡り巡ってただ、巻き込まれているだけ、どこにも自分の意識なんて無いんだろうと思った。


 どうして死んでここで生かしてもらって、こんなことをしているのか。


 生きていくためには、誰かの力がないときっと生きていけないんだろうことをなんとなく分かった。



「だからさ、エマ。僕の為に生きて、生き延びてくれないかな?」



 言った後で何言ってんだお前と自分で自分を突っ込んでしまいそうだった。


 それでも、まぎれもなく今この世界に生きている理由はエマと仲間の為以外には何一つ存在しない。一つでも欠けてしまえば、それは自分にとって生存すら危うくさせるということを宗弥はよく理解していた。


 エマは数秒間固まると、それから笑い出した。とてつもなく笑っていた。


 ひとしきり笑い終えると、笑いすぎて出てきた涙をぬぐっていく。


「……はぁ、なんでアタシがアンタの為に生きていかなきゃいけないんだよ。どう考えてもおかしいだろ。冗談も休み休みにしろ」


「でも、割とマジなんだよね」


 そういうと、こらえきれなくなってエマがまた死ぬほど笑って、笑い転げていった。


「どう考えてもおかしいだろ。宗弥の生き死ににアタシがかかわるなんて、良いぜなんかここまでかって思ってたのがぜーんぶバカバカしくなってきたよ」


「おうおう、そう思ってくれて光栄だ。生き死にを決めるとかあきらめるとか大体考えすぎて疲れてることがほとんどさ。僕がそうだったようにね!」


 エマの反応はチベットスナギツネのように、冷やかなものだった。


 命を使った渾身のギャグはその深刻さのあまり、とてつもなく冷え冷えとなってしまったのだった。


「……さて、これからどうしようかね。一応アイディアらしきものはあるけど聞いていく?」


「そのアイディアとやらを聞かせるためだけに、ヒューゴをけしかけたりしたんだろ。分かってるよ」


「察しが良くて助かる。ただ、本能の部分は抑え込めないと思ったからねちょっと荒々しい技を使ったのさ」


「それで作戦ってのは何?」


「簡単なことだよ」


 簡単じゃないんだろうなって顔でエマがこっちを見たが、コンセプトは簡単だ。



「みんなの技をエマが全部使えるようになれば良いんだよ!」



「は?」


 さすがにエマの思考を超えていたようだった。言ってみたは良いけど、宗弥にしてもどうやっていいのか全く分からない。なんとなく思い付きで言った。


「一人で4人分働けば、一人で二人分しか戦えないナイアに勝てる。簡単だろう?」


 エマは呆れ切ってしばらく茫然と宗弥を見つめていたが、少しだけ笑って宗弥を見つめるとこういった。


「いいぜ、やってやろうじゃん。4人分働いてスカ勝ちしてみせるよ」


 いいや、無理だ。といった言葉は出なかった。これこそが宗弥がエマに見出していた光、どんな困難も自前の才能と努力で砕いてしまう。


「そうだ天才の君なら出来るはずだ」


 どうやるかは全く分からないけど、宗弥はただ無責任に確信だけしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。