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異世界転生しても社畜なので辛い  作者: あぶてにうす
3話 神になるものと、神を引き摺り下ろすもの
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エピローグ3

「そういうわけで、わたくしは司教にはなりません。付け加えて現職を継続致します。何なら教会所属を外していただいて結構です」


 ゲーン教会本部審問室。


 リーズの他ヒューゴと宗弥とエマ、ドミニクまで揃っている。特別に許可をされた。というよりかは、リーズが強硬した。


 入ってから早々に、自分の意思表示だけをリーズはやってのけた。ここに連れてきた彼らとやっていくという強い決意表明だった。


 即座に、リーズを糾弾する声が辺りから一斉に聞こえてきた。


「なぜそうなる。そもそも君は多くの人にゲーン教を広める為にいると聞いたが、それがどうして冒険者になろうとする」


 アデルがあきれ果てた様子でこめかみの辺りを親指で強く押している。


「彼と、彼らがいるからです」


「なるほどねぇ」


 眼鏡を外して、眼鏡ふきで眼鏡を拭き始めた。


 説得も説教も意味が無いと悟ったものの仕草だった。


「君さぁ、神々への再審要求使ったでしょ。あれね、これまでハレ様しか使ったことが無いんですよねー」


 司教達全員が瞠目して黙り込む。


 目の前で目撃をした、パーティの面々とアデル以外は驚きを隠せなかった。


「というか、ゲーン教の根幹を成す神に抗議して契約を無かったことにするなんて、背信者そのもの! 教会には置いとけません。死刑です。死刑……と言いたい所ですが」


 アデルは眼鏡を掛けて全くやる気のなさそうな目でこちらを見た。もう真面目にやることを諦めている目だ。


「ハレ様っていう前法王という前例があるので、君を処断するとなるとハレ様罰するのとおなじなのよね。そんなおっそろしいことできません」


 アデルはハレの最後の弟子で、エリートとして出世コースを歩むはずだったが、ハレの側近として抜擢して死ぬより苦しいしごきに耐え抜き、今この地位にいる。


「……じゃ、じゃあ」


「好きにしなさい。君が戻りたいといって戻ってくるまでは好きに行動しなさい。ハレ様もそんなんだったし、ヨシュアが消えるまではまあまあめちゃくちゃだったし。ね」


 パーティの面々と顔を見合わせる。


「お世話になります」


 と、宗弥は握手を求めた。


 へなへなとした笑顔で、頼りない感じだ。ただ、命を預けるには十分な主だ。


「こちらこそ」


 と、リーズは握手を返した。


「君が伊達宗弥君ですか? 異世界転生者の」


「ええ、お初にお目に掛かりますアデル様。伊達宗弥と申します。まあ前任と違って、何の力も無いんですけどね」


 軽薄な笑みで笑う宗弥。


 最近リーズは思うが、この軽薄な笑みはヒューゴの戦いに挑む構えであったり、エマの突撃の前の魔力放出や、獲物を狙い澄ますドミニクと同種のものなんだろうと思った。


「ふむ、そうも思えないんですよね。今回の報告にあったモーラと契約を果たしたヒューゴ君に、マリア・バレーの再来と目される天才のエマさん、失われたラサ王国の皇太子のドミニク君に、そして、神との契約も破棄できる無茶苦茶やってのけるリーズさん、それだけの冒険者が君の周りに集まっている。君に能力は無いのかも知れないけど、勇者としての宿業や宿命は背負っているのかもしれませんね」


「そんな宿命があるなら、もっとかっこよく勝ちたいですし、もっと楽に暮らしたいです……マジで……」


「まあ、ともあれ今回は不問としますし、逆に言えばハレ様以来の偉業をなしたので、我々としてはより貴重な人材が出てきたと認識してます。そうだ、いろいろ突っ込まれるのも面倒なので良い感じのポストを与えておきますよ」


「ご寛大な処置をありがとうございます。アデル様」


 リーズは頭を下げた。


「こちらこそ、ありがとう。その無茶苦茶な感じ、久しぶりに先生にあったような気持ちになれた」


 アデルはそう言って少年の様に笑った。

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