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異世界転生しても社畜なので辛い  作者: あぶてにうす
3話 神になるものと、神を引き摺り下ろすもの
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ピクニックは中止につき

 リーズをデートにいかせてから二日後、リーズの出立の日となった。


 まだ新しいチームとしてのやり方も確立出来ておらず、暫くの間は依頼を受けないことを宗弥は決めていた。


「みんな、忘れ物はないか? おやつは三百ガルドまでバナナはおやつに含まれません!」


 宗弥は制服を着ておらず、登山用の軽装を身に纏っていた。


「何言ってんだ、オメェ。ピクニック気分じゃねぇんだぞ」


「これはピクニックだ! 気楽にやろう!」


「ケッ」


 エマは退屈そうにしていたが、そうは言っても普段のフル装備からすれば軽装で、通常五本以上携えている剣を二本程度まで減らしている。


 ドミニクは爆薬やら、罠といった装備が減っている。


 ヒューゴはいつも通りだった。


 今回リーズを護送するにあたり送別も兼ねて、のんびり旅をしながら教会本部を目指していく旅となった。回り道選び村や町を宿泊しながら一週間程度かけて目指していく。目的の半分はゆるく旅をすることだ。


 リャンには待機というか休暇を与えていた。 


 最短ルートで行けば三日程度だったがのんびり行くことにする。


「ピクニックかぁいいんじゃねーか」


 と、ドミニク。


「なーんかここんところ働き詰めだったし、のんびり明日の飯も気にせずに旅できるなんてのは幸せなことだよ本当」


 猫のように膝をついて背中を伸ばしてストレッチをする。


「お前、なんか都市の生活に馴染んできたな」


 エマが言う。


 ドミニクは今ではアルミンの街に借りた住処に住んでいるが、つい最近までそこに帰らずにほとんどの時間を森で過ごしていて、エマはドミニクを探すのに毎度一人で山狩りをする羽目になっていた。


「心配がないってことはいいことでさぁ。いや、にぶるからずっとはダメなんだけどよ」


「どっちなんだよ」


 今回のんびり旅をするということにも一定の目的があった。


 全員で到達して、事実の裏取りをする。


「リーズさん、到着したら教会本部に紹介していただけるという話よろしくお願いします」


「承知しています。宗弥様の評判はヨシュア様と比較してもすこぶる良いので、お喜びになると思います」


「ありがたき、ありがたき」


 手を合わせてリーズを拝み倒す。


「こうしてみると宗弥ってあれだな、すり寄るのがうまいばっかりで、なんも出来ない無能っぽいよな」「だな」


 とエマとドミニクが笑った。


「社会人ですから」


 とてつもなく馬鹿にされたが、この一言で自分には十分だ。今後を考えても、貸しを作った上で大勢力の偉い人に会えるなんてことおトク以外の感情が芽生えない。


「緊急依頼よ!」


 遠くからクラリッサが走ってきた。


「断る! 馬を出せ!」


 宗弥は仕事が降ってきそうな予感がした急がせた。


 休む。休んで旅行をみんなでする。うまいもの食ってのんびりしながら旅をする!


「し、しかし」


「いいから早く!」


 御者を急かしたところ、リーズに袖を惹かれた。振り返ると、首を横に振る。


 無理やり行こうにも、リーズは話を聞くまではとどまるように説得するだろう。そうしているうちに、自らに加護術式をかけてウサインボルトの如く駆けてくるクリスちゃんをまくのは難しかろう。


「これから出かけるんだ、僕でなければ他を当たってくれ」


「ぜぇぜぇ、探したわよ。仕事を受けてないと思ったらリーズの退職に乗じて休むつもりね?!」


「その通り。僕は休むさ」


 サムズアップ歯を輝かせられるぐらいにかっと笑う。


「あんた、今アルミンどうなってるのか分かってるの? 各地で魔猪ガディングルが発生していて、ほとんど全員これの討伐に出てるの! 私たちの見習いみたいな冒険者もかりだされてんだから、もうてんやわんやよ」


「ソウデスカ」


 突如降ってきた繁忙期。勘弁してほしい。


「あんたこれ、いっとくけど全紹介者参加必須だからね」


「宗弥さん、わたくしのことは大丈夫ですから……」


 リーズが心配そうに言う。


 リーズとの契約は昨日で満了しており、教会が許可しない限りはクエストに同行させることもできない。


「……分かった。だが、リーズは一週間程度で教会に帰らせないといけないことになっているのでリーズは行かせる。護衛にヒューゴを付けたい」


「良いわ。ただ、魔猪は何者かによって魔界から召喚されていてこの件の終わりが見えないの。早めの戦列復帰を願うわ」


 本来であればヒューゴも動員するべきなのだが、今リーズが戻るにあたってつけられる冒険者はギルドの中にもいないだろう。


「承知した。ヒューゴ、前回リーズを送り届けたルートを覚えているか?」


「その時の地図も持っています!」


 前回リーズが教会に呼び出された際、護衛を請け負ったのもヒューゴだった。


 その時選んだのは最短ルートなので、前回と同じように帰ってもらうことになる。


「リーズを頼んだよ」


「分かりました」


 ヒューゴの返事はどこまでも心強い。


 しかし、何故だか不安が頭の後ろをかすめていく。


「ドミニク、後でちょっと話いいか?」


「んあ?」


 宗弥の呼びかけにドミニクはあくびをしながら答えた。


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