表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある譚  作者: Alice 忍霧麒麟
その1
2/5

2

「ば、化け物!」


 手をかけた瞬間、盗賊たちはそう言ってその場から逃げ出した。


 少女はポカーンとした様子で、呆然としている。


 おそらく彼女には、今何が起こったのか理解できなかったのだろう。


 それもそのはず。

 俺は『表向き』には、何もしていないのだから。


「さ、助けたよ?お礼は何でもしてくれるんだよね?」


「……え、あ、はい。ですけど、ひとつお聞きしてもよろしいですか?」


 彼女は、戸惑ったようにそう聞いた。


「どうぞ?」


「あの……貴方は一体、何をしたんですか?」


 待ってました、その質問!


 彼はにこりと微笑むと、こう答えた。


「何もしてないよ。ただちょっと、威嚇しただけだから」


「い、威嚇?威嚇だけで、あんな風に?私は何も感じなかったんですけど……」


 解せぬ。


 そう言わんばかりに、彼女はそう呟いた。


「まぁ、これ以上は企業秘密ってことで。それで、お礼の話なんだけど……」


「あ、はい!何なりと!」


 何なりと、か。

 そんな言葉、つい最近まで聞かないな。


 そう思いながらも、彼は腹を抑えながらこう言った。


「……とりあえず、なんかご飯ちょうだい?」


 静かになった道のど真ん中で、大きな腹の虫が悲鳴をあげた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ