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螺旋夜話  作者: 桜月蒼
4/5

夜話4・除霊

筆者が大学時代に実際に本人から聞いた話のため、ノンフィクションです。

(この話はノンフィクションです)


これは私が大学時代に、当時付き合っていた彼女の弟から聞いた話です。

その弟はK君としておきます。


K君の高校時代のクラスメートのうち、K君を含めた、特に仲のいい男女六人がいました。このグループは受験勉強の合間にバーベキューをしたり、旅行に行ったりするくらい仲が良かったそうです。


そのグループで、特に楽しみにしていたのが、心霊スポット巡り。地元の人しか知らないマニアックな場所から、県外のメジャーなスポットまで、いろんな所に行っていました。


心霊スポット巡りとは言っても、そこは高校生。本当に怖い場合は引き返したりしていたため、霊を目撃したり、実際に危険な目に遭ったことは無かったそうです。


ある日、グループのメンバーで出かけた時でした。その時は県内だったのですが、地元でも有名な自殺の名所に行く事になりました。

そこは大きな崖で、年に何十人もの人が身を投げる場所です。ただ、この日も何事もなくメンバーたちは帰途につきました。


翌朝。あるクラスメートの妹(一つ下の学年)が姉に会うためにクラスに入ってきました。

その時、その妹が仲良く話していた六人の方を見て動きを止めたそうです。


「あの、先輩たち、最近みんなでどこかヤバいところ行きました?」

K君が「ヤバいところって?」と訊くと、その妹の女の子は「心霊スポットとか」と答えます。


「確かに、俺たち心霊スポット好きだからしょっちゅう行ってるけど、どうかしたの?」


話を聞くと、その妹の女の子は霊感があるらしく、グループ全員に「霊媒師さんに早く除霊してもらった方がいい」と真剣な表情で伝えてきたそうです。

最初は冗談だと笑い飛ばしていたグループのメンバーたちも、あまりに真剣に話をするその女の子の態度や言葉から、次第に恐ろしさを感じていました。


結局、その女の子の知り合いの霊媒師さんを紹介してもらい、除霊をしてもらう事になりました。

その霊媒師さん、普段は除霊などは受け付けておらず、普通の仕事をしている人です。ただ、本当に困っている人がいる場合だけ、除霊などを行っており、その評判もクチコミだけですが、かなり有名でした。


その霊媒師さんは40歳前後の女性の人でした。除霊の日、六人を見るなり、驚きながら、こう言ったそうです。

「あなたたち…一体これまでどれだけのスポットに行ったの?周りに数十人単位で霊がいるんだけど」


K君たちはそこでようやく、「大変な事になっている」と分かり、除霊に数日間掛かることも説明されました。六人は日を改めたうえで、順番に除霊をしてもらったそうです。


そこから一人ずつの除霊が行われ、全員終わるまでに計四日間ほど掛かったそうです。

六人目の除霊が終わった時には、その霊媒師の人は体重が大幅に減り、目に見えて疲労していたそうです。


霊媒師は最後にこう言いました。


「とりあえず、除霊は全員成功しました。ただ…」


口ごもる霊媒師にK君は「ただ、何ですか?」と聞いたそうです。すると、


「除霊は確かにしましたし、霊も今は、あなた方の周囲には居ません。でも取り憑いていた霊たちの思念は完全には無くならないのです。だから、あなたがたがこの世を去る時、決していい死に方はしませんよ。それだけは覚悟してください」


今では当時付き合っていた彼女とは疎遠になり、連絡すらも取っていない。そのため、弟のK君やグループのメンバーが今どうしているのかも分からない。


ただ、人は必ず死を迎える。その死が、事前に苦しむ死であると分かっている事ほど、恐ろしい話はないのではないだろうか。

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