第3話 「忌み子」
ん、ここは………。
意識が朦朧として頭が重く感じる。
誰かに抱きしめられているようだ、頭を支えてくれて楽だ。
ふわぁ…なんだか眠い…。
赤ちゃんは泣いて寝るのが仕事だから寝るか……。
夜中、急に目が覚めた。
うん、お腹減った!!!
と思ったら、涙が出てきた。
「おぎゃあぁっ!」
夜泣きだ、これがなかなか大変らしいけどごめん。
僕の意識はしっかりしてるけど止められない。
すると、隣からモゾモゾ動く音がする。
「どうしたの~?お母さんはここですよ~?」
女性の声が聞こえる。
やべぇ、日本語じゃないのにわかる!
神の力か!!!すげぇ!!
これ英語とかでもわかるようになってんのか!
出来てたらアミリカのオマバとも会話できんじゃん!!!
っていうか!お腹減ったよ!!!
「おしめですか~?」
違うよ!出てないよ!!!
「お乳ですか~?」
そうだよ!ようやくお腹を満たせる…。
「ちょっと待っててくださいね~、今呼んでくるから。」
呼ぶ?あぁ、そっか乳母さんがいるのか。
部屋の扉を空け出て行く音が聞こえた。
そして乳母さんが来てやっと、やっとお腹を満たすことが出来た。
その後ゲップを出してまた寝た。
「おおっ!生まれたのか!性別は!?」
朝になり男の人の声が聞こえた。
そして、あなたと同じ性別ですよ~と、心の中で答えた。
「男の子ですわ、貴方。」
「むっ、男か、女の子だと良かったのだがな。」
男で悪かったですねっ。
女の子ほしがるってことは男ばっかなのかな?
「さっ、あなた抱いてあげてください。」
「お、そうだな。よしよし、立派な父だぞ~。」
手馴れた女性の腕から少し緊張が伺える硬い男の腕へと移る。
父の顔見るべく目を開けた。もちろん抱いている父が見える。
父は茶髪で黄色の瞳で、威厳を感じる皺を額にいくつも作ったお堅い感じの顔だった。
服装は首回りのひだ襟大きいスーツで首から肩を覆う首鎧は彼が優れた軍人でもあることを表しているだろう。
そんな父の顔眺めていたが父と目が合うと急に強張った。
そして、震えながらこう言った。
「い、忌み目……。」
その瞬間、空気が凍りつくのが分かる。
さて、どうなるかな、急に殺されたりはないと思うが……。
すると、綺麗な赤茶色の髪で黄色の瞳を持っていて、
一枚の布を紐締めにより身体に密着させているようなもので回りにレースや装飾品などがつけられていた服を着ている美人な母が口に手を叫んだ。
「う、嘘ッ!だ、だって私も貴方も黒目じゃないのになんで!!!」
「…わからん、黒目や黒髪は両親がそのような遺伝持ってなくても出るところもあるらしいな。」
祖先返りとかあるしねー。
「………この子はどうします?」
神妙な顔で母が聞く。
「成人させるまで面倒みてあとはこの子の好きにさせればよい、まぁ、黒目では生きていけんだろうがな。」
父は母に僕を渡すと後ろ向きそう答えた。
「そうですか、はぁ、お腹を痛め産んだ子が忌み子だったなんて…。」
「まぁ、黒髪ではないかもしれんしな。」
「そう……ですね。」
この世界に来て1年が経ちいろいろなことがわかった。
まず、僕の名前だ。
僕の名前はユリオーネ・マリオネッツで、
マリオネッツ準伯爵家の三男であり、
兄と姉が二人ずついるということ。
そしてこの世界が中世ヨーロッパぐらいの文明を持っていて貴族制の国の
グランエスパニアに生まれたということ。
そして、両親と次男が最悪だった、って事。
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