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第24話 「お待ちしております、お待ちしていました。」

「ここで大丈夫です、姉様。」


グランエスパニア王国エルアフィン大使館前でレフィアさんは学園長のお見送り(付いていくと言い張っていた。)をここまででいいと言って断った。


「じゃ、じゃが…。」


そんな妹に心配そうな学園長。


それもそうだろう。1500年ぶりに会ったのだから襲われたりしないか心配であろう。

オドオドする学園長にレフィアさんははっきりと


「ユリオーネ様のこと、しっかりと償わないと駄目ですからね!」


と言って学園長のことを叱った。そして僕の方を見て


「ユリオーネ様はお優しい方ですね、本当に許していただきありがとうございます。ユリオーネ様は私と姉の命の恩人です。」


と言って細く長く綺麗な金髪を揺らしながら微笑んだ。

すると僕がちょうど背にしている建物、エルアフィン大使館から男の人が出て来て学園長に声をかけた。


「ミフィア様、お待たせして申し訳ありません。」


エルフの男の人が出て来て学園長に腕を曲げて突き出し、手の甲に自分の額を付け挨拶をした。

どうやらエルフ独特の挨拶らしい。


「急に呼び出してすまぬの、そう硬くならんで良い。」


学園長がそう声をかけるとエルフの男は顔を上げてミフィアに質問をする。


「ミフィア様、今回はどのようなご用件でしょうか。」

「うむ、妹のレフィアをエルアフィンに送って貰いたいのじゃ。」


学園長が言うとエルフ男は目を見開き言った。


「れ、レフィア様…?し、失礼を承知で申し上げますが、レフィア様は亡くなったのでは…?」

「うむ、それなんじゃが…。」


学園長はエルフの男の疑問に対して答えを述べた。

あらかじめ用意しておいた、聞かれたときのための答えを。


「レフィアは、竜による時空魔法で別の時空に囚われておったのじゃ。」

「じ、時空魔法ですか…。」


エルフの男の喉がゴクリとなった。


学園長はうむ、と一息入れて続けた。


「精霊はわかるか?」

「は、はい!もちろんです!ミフィア様が精霊の存在を再発見なさったのではないですか!」

「うむ、精霊は本来霊界という場所に住んでおる。じゃが霊界にある力だけでは生きていけず人間界に魔力を取りにくる。

言わば、職場と住居じゃな。そこでじゃ、どうやって精霊は人間界と霊界を行き来してると思う?」

「え、えっと…ま、まさか時空魔法、ですか?」


「うむ、そうじゃ。」


学園長が肯定するとエルフの男は驚愕したようだった。


「だ、大発見ではないですか…精霊の力を借りれば時空を越えられるなんて…。」

「そうじゃな。じゃが、その分精霊に渡す対価は大きくなる。どのくらいかわかるか?」


男は首を横に振る。


「100個分じゃ、紫魔石100個。」

「そ、そんなに使うのですか!?み、ミフィア様はどうやって…。」


エルフの男はその途方もない対価に呆然としつつ聞いた、学園長は


「今回精霊にただにして貰ったのじゃ。どうもその力を貸してくれたのが精霊の神らしくてのぅ…。」


そう言って笑った。


「そういうことでしたか、で、レフィア様は…?」


エルフの男がレフィアに視線を向ける。


「ご挨拶遅れ申し訳ありません、ミフィアの妹レフィアで御座います。」


レフィアさんは喉と胸に手を当て言った。

これがエルフの女性挨拶らしい。


「ど、どど、どうも!オリファンです!!!」


どうやらこのエルフの男の人はオリファンというらしい。

エルフって苗字無いのかな?わかりづらくない?まぁ、いいけど…。

オリファンさんの反応から見るにレフィアさんに惚れたっぽいね。


「挨拶も済んだようじゃの、オリファン、レフィアを送って貰えるかの?

エルアフィン側にも通達を送っておいて欲しい。詳細の書面は学園宛に送ってくればよい。」

「か、かしこまりました。こ、このオリファンにお任せください!」


そういうとオリファンさんは大使館に戻ってったと思ったらすぐに出て来て。


「馬車と護衛の用意ができました。」


と言ってすぐにエルアフィンに書面を送るためにまた大使館内に戻っていった。

この速さ、オリファンさんが有能ってのもあるけど、きっとレフィアさんが好きなんだな。

やっぱ愛って凄い。

そんなことを思ってると大使館前の道に馬車が来た。


「ね、姉様、私これ明らか護衛も馬車も凄すぎる物じゃ…。」

「国賓級…じゃのう。」


やっぱ愛の力って凄いなぁ。

学園長が震えてるレフィアさんを撫でて言った。


「エルアフィンについたら手紙を出すのじゃよ?あと、ワシは何があってもレフィアの味方じゃ。

レフィアのためならユリオーネでも敵に回せる。」


おいおい…。

レフィアさんはそれに対して分からない、と言った顔しながら言った。


「?よく分かりませんが、死んでもいいってことならわかりました。」

「似たようなもんじゃの。」


酷い、酷過ぎる…。まるで僕が敵を容赦なく殺す、魔王みたいじゃないか…まったく。

そう思いつつ僕は微笑みながら言った。


「いつかエルアフィンにお邪魔するからその時は宜しくね。」


準備しておけよ、という威圧も込めて言って見たがレフィアさんはにっこり笑って


「お待ちしております。」


そう言って一礼したあと馬車に乗り込んだ。

レフィアさんが馬車に乗り込んだことを確認すると御者は馬を走らせ始めた。


「心配そうだね。」


遠ざかっていく馬車を見ている学園長に言った。


「うむ、心配なのは道中じゃないのじゃ。エルアフィンの中じゃ。」


あ、そういえばレフィアさん迫害受けてたんだっけ。

僕がそんなことを考えていると学園長はこちらを見ていった。


「本当にありがとう。お主のおかげじゃ。」


学園長はそういうとエルアフィンへの対応などの仕事があるといってすぐ帰ってしまった。

僕はリメーレやレナ姉さんを待たせてることを思い出しすぐに宿に向かった。


僕が部屋をノックして入るとレナ姉さんが飛びついてきた。

リメーレは入り口に立って言った。


「お待ちしておりました。」



僕はその一言にただいま、と返した。

遅れて申し訳ありません。

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