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第16話 「悲痛の祈り。」

「え、エルフだああああああああああああああ!!!!!!!!!」


つい叫んでしまった。


「ぬっ!ただのエルフと一緒にするでないぞ!!ワシはハイエルフじゃ!」


ハイだがハーフだか知らないけどエルフだあああああああああああああ!!!!

そんなこと思い興奮してたが、さっきこの人なんて言ってたっけ…。


(「ほぅ!空間魔法を使える子がいるとは…。やっと学園長になった意味があったのう!」)


「が、学園長!?」

「ほう、お主ワシを知ってるのか。」

「え、いや自分で言ってたじゃないですか?」


エルフは見た目は若くでも年は取ってることが多いから…ボケたのかな?

そんな失礼なことを思ってると


「ほう!お主あそこまで興奮しておったのに話を聞いていたのか!」

「えぇ、まぁ。」

「ふむ、あれだけ興奮してたのに周りを見失うことがないといのは関心じゃな。」


なんか褒められた、ありがとー。


「よし、お主ら特待生決定。」


唐突に学園長がそんなことを言い出した。

予想してました!だって、この世界黒髪黒目嫌わない人ってほぼ全員僕に甘すぎるんだもん!

兄さんとか!劣化父さん愛だもんね!

でも、正直特待生は嬉しいのでありがたくいただこう。


「ありがとうございます、でも僕みたいな黒髪黒目が特待生ってよく思わない生徒でるんじゃ?」


そういうと学園長は笑いながらいった。


「当たり前じゃろう、黒髪黒目なんぞ受け入れられるわけあるか。」


え?


「え、じゃあ、なんで特待生に…?」


そういうと学園長はやれやれといった顔で説明した。


「それは簡単じゃお主が空間魔法を覚えてるからじゃ。」

「そ、それだけで?」


「それだけ?何をいっておる。それぐらいなのじゃ。」


えっと、どういう意味だ……?


「要するに黒髪黒目の忌みなんざどうでもよいぐらいすごいのじゃ。」

「え、相当なんですね。」

「うむ、相当じゃ。」


前言撤回、愛されてたわけじゃないようです。


すると、レナ姉さんはよく話が分かってみたいだった。

なんか、デジャブを感じるが説明することにした。


「空間魔法使えるから特待生だって。」


そういうとレナ姉さんは目を輝かせた。


「ふぁぁ!れ、レナと、り、リオ君と、特待生…!」


嬉しそうだった。


「まぁ、その代わりに実験に付き合って貰うがの。」

「実験?」

「うむ、ここで話すのもなんじゃからワシの部屋に行くぞ。」


そういって学園長は歩いていったので僕たちもついていった。





「あぁ!学園長!探しましたよ!今年の受験者なのですが例年より人数が多目みたいで…。」

「副学園長、そのことはお主に任せる。あぁ、あと後ろにいる二人の子供、今年の特待生じゃ。」

「な、なにを勝手に言ってるのですか!試験も受けてない状態でですか!?そんなの認められません!

しかも一人は忌み子ではないですか!!!」


そう言って副学園長は怒鳴った。

学園長はそんな副学園長に向き直り言った。


「この子たちは空間魔法が使える。駄目か?」


そういうと副学園長は驚いた後、顔をしかめ、納得しました、と言って去っていってしまった。


学園長は学園長室のドアの前で止まり魔法をかけて鍵を開けた。

どういう仕組みだろう。

どうやらこの魔法具が魔力を読み取り登録されてる人間なら鍵を空けられるということだな。

指紋認証みたいなものか。指紋より魔紋か?

学園長が奥のソファに座り僕たちは手前のソファに座った。


「お主達には時空魔法の研究をしてもらいたい。」

「時空魔法?」

「うむ、古代にはあった魔法なのでな、時間を操れる魔法といわれておった。じゃが、今は失われてる。」


あれか、神様も言ってた人類側が押されて文明退化してうんたらって言ってたもんね。


「何故時空魔法の研究を?」

「ワシは2000歳での。お主ハイエルフの寿命はしっておるか?」


急に年の話をされた。


「え、えっとじゃあ3000歳?」

「正解じゃ。ワシはあと1000年しか生きられない。」

「つまり時空魔法で若返りたい、と?」

「うむ、そうじゃ。情けない話じゃが2000年も生きてたばっかしに死ぬのが怖くなってしまっての。」


本当か…?なんか引っかかる。

ふと辺りを見回すと蘇生の本や過去への干渉についての論文などがたくさん見えた、


僕は1つの仮説を思いついた。


「嘘ですよね?大事な人のために時空魔法が欲しいんですよね?」


僕がそういうと学園長は目を見開き驚いた。


「……なんのことだ。」


震えた声で学園長が言う。


「人の命を復活させることは許されることではありません。」


僕が学園長の目を見て言う。

すると学園長は目を閉じ覚悟したように僕に聞いた。


「どこで知った?」

「本です、そこにある論文や蘇生のための本がたくさん見えていたのでそうだろう、と。」


そういうと学園長は笑った。


「ふふっ、自爆か…。どうやら誤魔化しは無理のようじゃの。」


そういうと学園長は語り始めた。


「あれは1500年も前のことじゃ。ワシが500歳のころ妹がいての妹は450歳じゃった。

エルフは東の神聖の森に住んでおるがハイエルフは違った。

ハイエルフはエルフより地位も高く世界樹に住むことが許された唯一の種族じゃった。

じゃが、今では世界樹は魔族領じゃ。なんでか分かるか?」


魔族の侵攻、と答えた。


「そのとおりじゃ、魔族が侵攻してきての森の3分の1は取られてしまった。もちろん、世界樹も取られてしまった。

じゃが、そこで英雄が来た。西や北では人の姿で東ではエルフの姿、南では獣人の姿になったといわれておる。

英雄は確かにすごかった。じゃが森や領土の奪還は無理だった。魔王の封印に命を使ったと言われておる。」


話が逸れたの、と学園長はいうと自分が住んでた世界樹に魔族が侵攻してきたときの様子を話した。


「ワシらは負けるはずがない、世界樹を守ろうという話なったのじゃ。

魔物や魔人たちを倒していったが無数に溢れて来る魔族たちに限界を感じてきたのじゃ。

そして、結局話し合いでここで命を散らすより、また力を蓄えて世界樹を奪還しようと話になった。

そしてワシと妹は2人しか知らない森の近道を通って逃げてた途中じゃった。

魔竜が現れたのじゃ。今のワシ、いや1500歳頃のワシなら倒せたの。

しかもその時は妹のレフィアを守らなくてはならかった。」


妹は戦えなかったのか?と聞いた。


「あぁ、説明し忘れてたの、わしの妹は魔力が膨大にありながらも魔法を使うをことが出来なかったのじゃ。

まぁ、だからワシが妹を守らなくてはならなかったのじゃ。」
















森の中で逃げている途中だった。


「姉様!上から火球が来ますっ!」

「なんじゃと!?くっ!ウォーターシールド!!」


ミフィアは上から飛んで来た火球を防壁で防いだ。


「ほう!エルフ、いやハイエルフの若いのがいるとはな!ここに来た我は良かった!!!」


上から聞こえた声にミフィアは空を見上げた。


「ま、魔竜…!」

「ふーむ…この力は……我もこの戦いで命を散らすつもりだったが…ほほぅ…これは…我への希望が見えるっ!見えるぞ!!!」

「な、なにを言ってるのだ。」


ミフィアの背中に嫌な汗が流れる。


「ふむ、そっちのハイエルフか…精霊神に愛されてるのは……ふははは!!!我が精霊神竜になるための礎にしてやろう!!!!!!!!」

「ど、どういう意味じゃ!」


そうミフィアが叫ぶと魔竜は残念そうに答えた。


「ふむ、貴様らは精霊を知らないみたいだな、がっかりだ。昔だったらただのエルフでもそんなこと知っておったというのに。

まぁ、良い、冥土の土産に教えてやろう。精霊というのは姿を現すことのない霊体の生き物だ。それに魔力を渡すことで起こす魔法を精霊魔法という。

そしてそこのハイエルフはその神、精霊神に愛されておる!その精霊神の力があれば我は精霊神竜になれるのだ!!!!

我は寿命ギリギリなただの魔竜だが精霊神竜になれば寿命などもなくなる!!!!!!」


ミフィアは自分の知らないこと知ってる存在にただ驚いた。


「さ、もういいだろう!」


そういうと魔竜はさっきよりも何倍も大きい火球を吐いた。


「くっ、ウォーターシールド!!!」


火球が水の壁の中にめりこんでいく。

水の蒸発する匂いが辺りに広がっていく。

ぎりぎりのところで火球を防いだミフィアはまずいと感じていた。

自分の後ろにいるレフィアは魔法を使えないしかと言って逃がそうとしたらレフィアに

火球を撃たれてそれを防げないレフィアは死んでしまう。

このままジリ貧だと思った。


「ウィンドアロー!!!」


そういうと風の矢が魔竜に刺さる。


「ぬぐっ!この程度!」


魔竜は赤い鮮血を流しながら腹を抉られたが矢は貫通とまでは行かなかった。


「アイスチェーン!!!」


次に手足と翼を縛るように氷の鎖が魔竜に絡みついた。

魔竜は咆哮上げると自分のいるばしょに火柱をたてた。


「なっ…。」


そこには灰色だったうろこが焦げて少し墨っぽい色になった魔竜が立ってた。


「くっ!!ウィンドクラッシャー!!!」


巨人のような風の塊が魔竜に殴りかかる。


魔竜はぶつぶつと呟き

口から魔方陣を出しさっきとは違う黒い炎の火球を出しウィンドクラッシャーにぶつけ相殺した。


「なっ………。」


ミフィアはもう駄目だと思った。


「ハイエルフの娘よ、その程度か。最後に我の最大級の竜言魔法をお見舞いしてやろう。」


そういって魔竜は竜言魔法を唱えようとすると、


「お待ち下さい!」


レフィアがミフィアの前に出て言った。


「ふむ、貴様のほうの話は聞いてなかったの、なんじゃ?」


魔竜が魔法を中断した。


「私を貴方に捧げます、だからどうか!姉様だけは!私はどうなっても構いません!」


レフィアがそう叫んだ。

自分の身体から血の気が引くのがわかる。


「待つのじゃ!レフィア!ワシは!ワシはそんなの認めないぞ!!!レフィアが死ぬぐらいならワシも!!!!」


そうミフィアが叫ぶと


「お願いです姉様!今まで、今まで!姉様に守って貰った分を!どうか!どうかここで返させて下さい!!!」


レフィアは涙を流しながらそう言った。


「駄目じゃ!ワシだけが生き残っても、どうすればよいのじゃ…!レフィアがいなかったらワシは!」


そんな悲痛の叫びをレフィアは聞かずに魔竜に言った。


「どうか!私の身一つでこの場を収めていただけませんか?」


そういうと魔竜は


「よいだろう!我は貴様らの絆に感動した!その交渉乗ろうではないか!」


と言って、レフィアにこっちこい、と言った。

レフィアはその言葉のとおり、一歩ずつゆっくり魔竜に近づいていった。


「待って…!レフィア…!」


レフィアはその言葉をまるで聞こえてないようにまた一歩前に進んで行く。


「駄目じゃ…レフィアっ…!」


叫びたいのに嗚咽が止まらず声が全然でなかった。


とうとう、レフィアが魔竜の真下に着いた。

レフィアは座って神へ祈りを捧げた。


「神様というのがこの世にいるなら、姉を幸せにしてあげてください…。

どうか、この命が尽きる前の最後のお願いでございます…。神よ…。」




そう言って、両手を広げると。





竜の口を迎えいれた。


「や、やめろおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」


その声は咀嚼の音に掻き消された。

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