第14話 「告げる思い。」
父の書斎でアルド兄さんとついに告げた。
「父様、魔法学校に行きたいです。」
「魔石が緑のお前がか?行けるものならいいぞ。」
「え?いいんですか?」
なんだあっさり許可を貰ってしまった。
「ふんっ…まさか、お前ごときが魔法学校に入れるとでも?」
「えぇ、入れるとは思ってます。」
「勝手にしろ、だが、入学金も受験料も払わん!」
そう怒鳴った。
「えぇ、大丈夫です。」
「ぷっ、あはは。」
急に笑うアルド兄さん。
「どうしたアルド、こいつがおかしいのはわかるが。」
すると兄さんは父様の目を見ていった。
「馬鹿すぎて笑ってしまいました。」
父ながら馬鹿すぎるよね、うん。
「本当にな…、リオーネ辺境伯から聞いたぞ。どうやらお前頭に怪我してたところ助けられたようだな。
貴族の子が頭から血を流すなど…、うちの家の恥だ!お前は!それなに魔法学校行きたいなど言いおって!
所詮受かりもしない!辺境伯に優しくされたことで浮つくんじゃない!」
兄さんの言葉に違う意味を解釈し同意した父は僕に説教をした。
辺境伯…言ってしまったのか。
「勝手にしろ、と言いつつ今の言い方では魔法学校に行かせたくないような言い方してますが、どっちなんですか?はっきりしてくださいよ。」
そう言って僕は睨んで威圧をかけた。
あ、ちなみに威圧というのは自分より弱いものに効果がある魔法。
行動を封じたり、服従をさせることができる。
まぁ、少し行動を封じるぐらいの力しか基本的に使わないが。
「ぐっ…か、勝手にしろ…金は払わん!」
「そうですか、では。」
そういって書斎を出た。
「……リオ君?」
レナ姉さんが僕の部屋にきた。
「あれレナ姉さんどうしたんですか?」
「あのね、書斎の、お話聞くつもりなかったけど……。」
「あぁ、あの声量で話していれば廊下にも聞こえるでしょう。」
「う、うん、それで魔法学校行くの…?」
「うん、そのつもりですよ。」
「あ、あの、あのね!お、お姉ちゃんも…い、いきた……い………。」
「えっと、それはやはり父様に聞かなければならないんじゃないでしょうか?」
そういうとレナ姉さんは真っ赤にした顔を下に向けて。しょぼーんとした。
「うぅ…や、やっぱ無理なのかな……。」
すると、廊下から誰かが歩いてくる音がする。
「レナ?…ここにいたのね。」
綺麗、可愛い、どちらとも言える顔立ち。
ゆるふわの金髪が腰の辺りまである。
そして元の世界で見たこと無いようなモデル体系。
腰のくびれ、そして母性を感じる豊満な胸。
父がわざわざ子持ちでも側室に迎える理由がわかる人だ。
そう、彼女はクリシティーナ・クリオネッツ。
父の側室だ。メイド長の役割も持っている。
「……クリシティーナさん。」
この人と会話するのは初めてだ。
言っちゃ悪いが身体は警戒している。
「リオ君……。」
するとクリシティーナさんは急に僕に抱きついた、というより僕に抱きつかせた。
「ごめんね、リオ君。ごめんね…。」
「え、えっと…。」
「私がもっと支えて上げられれば…。」
「どういうことですか?」
よくわからないので聞いた。
するとクリシティーナさんは僕を抱きしめながら言った。
「リオ君は誰のおっぱい飲んで育ったか知ってる?」
「え、えっと乳母さんのじゃ?」
「そう、予定ではそうだったの。」
どういうことだ?
「え、えっと予定?ってことは違う人が?」
「えぇ、黒目の忌み子におっぱいを上げたらもう出なくなるかもしれない、って乳母さんが言って帰っちゃったの。」
え、てことは目開いたときだから何時だ?2日目か?
まさか、代わりに上げた人って、いや、1歳のとき僕0歳…ありえる。
「僕は…どうしたんです?」
「私が上げたのよ?…やっぱり覚えてないか。でも、それから黒髪黒目を嫌わない私は貴方に近づくことを禁止されてしまったの。」
やっぱりそうか。でも、こんな綺麗な人から貰えたなんて幸せじゃん僕。
「そ、それでどうして謝ってたんです?むしろ僕がお礼を言うべきなのに。」
「いえ、さっき私をすごい警戒してたから…。私に怒ってるのかな、と。」
「あ、いえ、すみません、母と同じように僕を嫌ってるのかと…。」
「そうよね、そう思っても仕方ないわ。だって今まで全然会わなかったものね…。
ごめんなさい、貴方から逃げてしまって。禁止されたとはいえ、こっそり会おうとも思いもしなかった……。ごめんなさい、ごめんなさいっ…。」
そう言ってクリシティーナさんは涙を流した。
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