第12話 「ちゅぱちゅぱ。」
主人公の年齢を5歳に変更しました!
「さ、着いたよ。我が家だ。」
大きな門を開き馬車を中に入れる。
『お帰りなさいませ旦那様。』
執事やメイドなど使用人たちが並び礼をする。
辺境伯は馬車かすぐ降りて言った。
「怪我人がいる、早く手当てしてくれ。」
そういうと迅速に執事は僕の容態を確認しメイド何人かに指示をした。
そして安心したためか僕はここで意識が遠のいってた。
目を覚ますと見慣れない天井と心配そうに覗き込んでくるリメーレの顔が見えた。
「ユリオーネ様!!大丈夫ですか!?」
「ん……リメーレ、大丈夫だよ。リメーレこそ…大丈夫?」
正直あのおっさんたちに何かされてないか心配だった。
起き上がってリメーレを見る。すると、
「えぇ、大丈夫です!ユリオーネ様が守ってくれたから……。」
リメーレは僕のおでこにおでこぴったりつけながら言った。
すると、辺境伯が
「ふむ、邪魔をするようで悪いが私から少しお話を聞いてもいいかな?」
と聞いてきた。するとリメーレは顔赤くしスッと座ってたイスに座りなおした。
僕はもちろん、と頷く。助けて貰ったお礼もあるしね。
しかも忌み子に手当てまでしてくれるということはそうとう良い方だろうし。
まぁ、違う可能性もあるが。
「じゃあ、まずだが、マリオネッツ準伯爵家の子供である君がメイド一人だけでこの町へ?この町は治安が良いほうだがさすがに危険ではないか?」
「それは僕が忌み子だからです。両親は僕を嫌っています、なので護衛も付けてくれません。」
僕がそう答えるとリメーレが言ってもいいのか?という目で見てくる。
「ふふっ、君は素直だね。でも、裏に打算があるように感じるのは気のせいかな?」
「なんのことでしょうか。僕あまり難しいこと分かりません。」
誤魔化してみるが…。
「隠したって無駄だよ?君が紋章を見て僕の立場をわかってるみたいだしね。そんなことがわかる5歳児なんてそうそういないよ。」
どうやら無駄だったようだ。そんなとこまでばれてるとは…。
「辺境伯様、さすがですね…。」
と僕が答えると、辺境伯は一瞬驚き笑った。
「ふふっ、くふふっ…。」
なんで笑われてるんだ?
「あ、あの、何かおかしいことでも?」
「ははっ、済まない。君は素直というよりもお人好しのようだね。」
「…もしかして、騙しました?」
そういうとまた辺境伯を肩を震わし笑った。
「いやぁ、済まないね。騙す、というより試したのさ。そしたら随分と大物が釣れた。」
「お人が悪い……。」
「ふふっ、済まない、拗ねないでくれ。でも、人というのはこんな頭も良く、察しも良い子を髪の色や目の色だけで悪いと判断するんだろうね、まったく面白い。君は本当に5歳児か?」
真顔で聞いてくる辺境伯に僕は残念ですが、と肯定した。
すると辺境伯はまた笑った。そして今度は笑顔で聞いてきた。
「さて、どうしてわざわざ自分の家を敵に回すような物言いをしたんだ?」
うっ、そこを突くか…。わざわざほかの質問を丁寧に答えたというのに…。
どうやら辺境伯には問答で勝てそうには無いな。正直に答えるしかないだろう。
「僕も辺境伯を試しました。」
「ほう?私をかい?」
「ええ、もし両親に嫌われると言った時、辺境伯様は僕をいたぶることや酷い扱いが出来たと思います。」
「どうしてそう思うんだい?」
「もし、僕が愛されてた場合、寄り子であるうちが離れてしまうため僕に対してひどい事は出来ないと思ったからです。」
<補足>寄り子:寄り親の関係
寄親・寄子とは、中世日本において親子に擬制して結ばれた主従関係あるいはこれに准ずる保護者・被保護者の関係。
保護する側を寄親(よりおや、指南・奏者)、保護される側を寄子(よりこ、寄騎(与力)・同心)とも呼ぶ。
『日葡辞書』では、
寄親は「ある主君の家中とか、その他の所とかにおいて、ある者が頼り、よりすがる相手の人」、
寄子は「他人を頼り、その庇護のもとにある者。あるいは他の配下にある者」と解説されている。
(wikipediaより抜粋)
「なるほどね、嫌われてると知ったら私が酷い仕打ちをすることも出来る、と。」
そうです、と頷く。
「本当に君は頭いいね。あの一瞬でそこまで考えてるとは。」
辺境伯には適いませんよ、と苦笑いをする。
「あ、あのぅ…どういうことですか?」
リメーレが不安そうな顔して聞いてくる。
いつものリメーレなら簡単に理解しそうな話なのだが…。
辺境伯の前で緊張しているのだろうか。
1から説明したいがきっと今の状況じゃ理解は無理だろう。
「とりあえず、辺境伯様は僕の味方だってこと。黒髪黒目の理解者だ。」
「本当ですか!?良かった…。」
リメーレはそういって僕に抱きつき笑った。
その後談笑してたが辺境伯も暇ではなく仕事をしなくてはならないということで僕たちもお暇することにした。
すると辺境伯が、
「ふむ、帰ってしまうのかい?どうせなら夕食をとって今日は我が家に泊まっていけばよいのに。」
と言ってくれたが、兄さんとの約束で夜に帰るだから丁重に断った。
「そうか、ではせめてもだが馬車で送らせよう、また今度遊びに来てくれ、今度はベットではなくテーブルで歓迎をしよう。」
辺境伯そう言って、お互い笑いあった。
ちなみに辺境伯爵家の馬車はすごい。
まず、広い。そしてソファがあり折りたたみ式のテーブルもある。
内装も綺麗だった。行きの馬車はなんだったんだ、と思うぐらいにね。
リメーレと馬車の話をしていると指に怪我してたのを見つけた。
少し切った程度だから血はあまり出ておらず全く気づかなかった。
「あれ?ユリオーネ様?指に怪我が…。」
どうやらリメーレにばれてしまった。
「あー、大丈夫だよ、こんなの。」
そういって笑うとリメーレは近づき、指を取り言った。
「いけません!あぁ、こんなに細く長く綺麗な指が…。」
そしてリメーレは指を口に含んだ。
「り、リメーレ!?ち、ちょっと…。」
そう困惑するがリメーレは傷口のばい菌を吸い取るように吸う。
指の先に柔らかく暖かい舌が当たり、咥えられてる指の根元からは柔らかい唇でキュッと指を離さないように圧力が加わっておりくすぐたかった。
そしてなにより恥ずかしかった!
少しすると、リメーレが口から指を離し服の裾で唾液を拭ってくれた。
「回復魔法覚えておけばよかった…。」
つい本音が漏れてしまった。
するとリメーレが落ち込んだ顔で言った。
「えっと、ご迷惑……でしたか?」
僕は焦って、
「え、いや違う!ただ恥ずかしかっただけで!むしろ嬉しかったし、すごくドキドキしたっていうか!嬉しかった!あえ、ってか、嬉しかったてか、そうじゃなくて!そうなんだけど、そういうことじゃなくて…!」
いろいろと分からなくなってしまった。
するとリメーレは顔赤くし笑い、
「私も嬉しいです。」
と言った。
………どうやら辺境伯とかが使う馬車は暖房設備があるみたいだ顔が熱い。
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