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第11話 「辺境伯爵。」

市から出て大通りを適当に歩いていると冒険者ギルドが見えた。


「冒険者ギルドか、何が出来るんだ?」


リメーレに聞いてみる。


「私も冒険者では特に知ってるわけではありませんが、クエストの受注はもちろんのこと、

魔物の素材の売買ができるようですね。また傭兵のようなことも機能しているようです。」

「ふーん、じゃあ僕は集めた素材も買い取って貰えるのかな?」

「はい、買い取って貰えると思います。そういえばユリオーネ様素材はどこに保管しているのですか?」

「魔法で収納してるよ。」




「え!?ま、まさか空間魔法ですか!?」

「あれ、知ってたんだ?前に魔法の分類聞いたときに言わなかったから知らなかったのかと思ったけど。」

「いえ…私もユリオーネ様に聞かれてから勉強して知りました。」

「じゃあ、きっと同じ本読んだだろうから説明は要らないね。」


はい、とリメーレは頷く。

僕は何故知ってるかって?

剥ぎ取りの魔法を見つけようとしたら空間魔法を見つけたから覚えておいたんだ。

オープンとクローズ。

その本には2種類しか空間魔法について載ってなかったけど、まだあるだろう。


「凄いですね、本当に。空間魔法なんて覚えてる人少ないですよ。私はてっきりアイテムボックスでも持ってるのかと。」

「アイテムボックス?」

「はい、空間魔法が箱の中に入ったようなものです。」

「へぇ。でもお高いんでしょう?」

「えぇ、高いですが…なんですかその口調…。」


気にしないで気にしないで、と言ってスルー。


「よし、じゃあ、ギルド行って買い取って貰うか。」


そういってギルドに向かった。


ギルドに入ると広間みたいなところにイスとテーブルがいくつもあり、掲示板の前には話しあってる人達や相談ごとしているパーティなどがいくつも見えた。

僕はまっすぐ買取カウンターに向かった。


「おい坊主!」


こわもてのおっさんが話しかけてくる。


「なんでしょうか?」

「商業ギルドと間違えてないか?」

「いえ、僕が用事あるのはここで合ってますよ?」

「お前みたいなガキが冒険者ギルドに用事があるだぁ?笑わせるなぁっ、へへっ、なぁ?」


そう男が後ろに問いかけると後ろは笑い声を上げる。


「しかも黒髪黒目…ねぇ。きもちわりぃな。」


そこでリメーレの身体がピクっと動く。


「そうですか、では。行こうリメーレ。」


そういってリメーレとカウンターにいこうとすると。


「おい!待てよガキ!話は終わってねぇだろ?最後まで話は聞けと親に教わらなかったのかぁ?まぁ、忌み子だからそんなことも教わってねぇか!」


そういっておっさんは後ろの男たちと笑い声を上げる。

ついにリメーレが、


「いい加減にしてください!なんなんですか!」


そう言って怒った。

男たちは突然出てきたリメーレに驚いたようだが、顔見合わせ嫌らしい笑みを浮かべた。


「お?嬢ちゃんめっちゃ可愛いじゃねぇか。」


おっさんがそういってリメーレの腕を掴む。


「やめてくださいっ!」


リメーレが腕を払う。

すると、おっさんは大げさに


「痛ってー、嬢ちゃんひでぇな。」


と言って。リメーレの髪を掴んだ。

髪は女の命だぞ?しかもこいつ…綺麗なリメーレの金髪を……。

もう我慢できない、でも自分から殴るのは気が進まないからこいつに殴られたあとやり返すか。


「おい、リメーレに触れるな。」


そういって僕は髪を掴んでる腕を掴んだ。


「あん?なんだクソガキぃ、邪魔だ!」


そういって髪から手を離し僕を殴った。

殴られた僕は思い切り入り口にふっとんだ。

そして頭を大通りのレンガにぶつけて回転しながら倒れた。


おっさん…全力で殴りやがって…。

ぶっ殺してやる………。


「どうしました?大丈夫ですか?」

「いえ、大丈夫です、ただおっさんに全力で殴られただけです。」

「ほう、それは大変だ。冒険者ギルドは揉め事が本当に尽きないですね、全く。」


ん?

え?誰?

すると男はどこかで見たような紋章が入ってる馬車にここで待つようにいって、僕に手を差し伸べた。

僕はとりあえず手を取り立ち上がった。


「え、えっと…。」

「冒険者ギルドの中に君を殴った人がいるんですよね?行きましょう。」


戸惑いながら一緒に冒険者ギルドの中に入ると、腕が掴んでるおっさんとその腕を払って逃げようとするリメーレがいた。


「リメーレ!」


そう叫ぶとおっさんはびっくりしたようで腕を放した。

するとリメーレはこっちへ逃げてきた。


「ユリオーネ様!大丈夫ですか!!あぁ…頭から血が…。」


そういってリメーレが抱きついてきた。

すると僕の手をいまだ握っている男が呟いた。


「ほう…もしかしてとは思ってましたが、やはり君が……。」


するとリメーレが呟いた男に視線を向けた。


「あぁっ、坊ちゃまを助けて下さったのですね、ありがとうございます。なんとお礼を申し上げればよいか……。」


急にリメーレの顔色が変わった。


「あぁ、気にしなくていい。ただ準伯爵家の子供となれば助けないわけにも行かないしね。」


あれ?なんで僕のことを?

するとリメーレは気がついたように震えた声で言った。


「こ、公爵様…。」


え?公爵?あぁ、そういえばあの馬車の紋章は無数の蛇がリンゴを齧る紋章だったような…。確かリンゴを紋章使うのは王族関係者のみなんだっけ…。

って公爵か!!!!頭が衝撃でクラクラしたせいで理解出来てなかった!


「公爵、ねぇ。懐かしいけど、今は辺境伯だからさ。」

「す、すみません。」


やべぇ、僕やばい人に助けられた!


「おい!てめぇら何話してんだ!」


おっさんが怒鳴る。

するとおっさんは僕の隣に誰がいるかをわかっているようで顔を青ざめさせた。


「何を話しているか、ですか。他愛もない世間話ですよ…。さて私は答えたんで次は貴方に答えていただきましょうか。

まぁ、正直に話して貰わなくても大丈夫ですよ、ギルドのみなさんにも聞くので。」


辺境伯がそう言うと男は膝を地につけ、呆然とした。


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