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HelloWorld -ハローワールド-  作者: 三鷹 キシュン
第三章 「王国に眠る秘密と観測者」 Episode.Ⅰ-Ⅱ 《絶望の断崖》
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【#090】 Teammate -語り合える仲間《後篇》-

人との繋がりだけでなく、ちょっとした冒険を含んだ物語『絶望の断崖』篇。

Episode.Ⅰ-Ⅱ第二話目です。



 なんだよ・・・。

 そんなに怒鳴るなよ。俺だって好きで飲んだくれてんじゃねぇんだ。なんでそんな目で俺を見下す。全部テメェが正しい見てぇに俺を見やがって何様だ。

 確かに俺のやり方は間違ってるかも知れねぇ。それでも俺がクーアを仲間にしねぇのは弱いからだ。

 守ってやれないからだ。現にそうだろ。あの時の最後の記憶は、俺を守るクーアだった。守る側のヤツに守られる・・・そんなことがあっちゃあなんねぇんだ。


 オマエに何が分かると突っ掛かるように、砕かれた酒瓶のガラスを手中で粉にしてディアンマに砂をかける。

 眉ひとつ。表情を濁すこともなく真剣な眼差しを送り続けるディアンマは、左手で物陰に隠れている人物を呼ぶ。現れたのは、職人風の着物をした少年・・・顔から判断すれば青年とも見てとれる彼を呼びつけて何をするかと思えば、数枚の金貨を渡していた。

 なんだ? と思った拍子に自分の顔面に風が吹いた。肌を突き抜けた打撃は下手をすれば命に関わる致命傷にも成りかねない一撃がヒロキを飛ばす。

 旅館の壁と襖を破壊して瓦礫の山に埋もれる客人ヒロキの姿に女将さんは廊下で気を失う。慌てる仲居アヤネさんに、


「心配は無用。少々、このバカを連れていく。これは迷惑料だ。修復の方は、そこの職人気取りに任せてある」


 誰が職人気取りか! と憤慨するガンキチだが色っぽい仲居に目を眩ませて自己紹介をしている。

 目を細めてガンキチを見ているディアンマに気付いて、早速仕事に取り掛かるがそうではない。ディアンマが見ていたのは、ガンキチ以上にひっそりと物陰に隠れ仰せていたベルに目を向けていたのだ。

 あ・・・バレました? と素直に出てくるが仮にも会長だというのにびっくりするぐらいの腰の低さに頭を掻く。ディアンマは、瓦礫の山から酔いつぶれたヒロキを持ち上げてささっと退出する。

 ディアンマにオンブされたヒロキを遠くから見るベルは、歩きながらOCCを使ってチャットを試みる。


ベル『やあ、すみませんね。此方にも「立場」があるので控え目についていきます。それはそれとして・・・起きていますよね?』


ヒロキ『ああ、醜態を見せて悪かった。』


ディアンマ『アレを「醜態」だけで済ませんじゃねぇ。レインさんがアレだけ怒ってたのは身勝手なオマエが悪い。

 仲間を切り捨てるのは簡単だ。でもな、テメェが拾った命を自分勝手に残酷な道を押し付けてんじゃねぇよ。』


ベル『まあまあ、ソレに関しては一旦落ち着きましょう。今回お二人。ディアンマさんとガンキチ君。そしてヒロキ君にお願いがあって呼んだんだ。』


ヒロキ『悪いッスけど・・・今回は遠慮――』


ディアンマ『ああ、今のコイツには無理だ。他を当たった方がいい。第一可笑しくねぇか? なんで、このメンツなんだ?』


ベル『うーん。そうだね、説明しようか。

 冒険者ってのは、基本的には自由な職業スタイルだけどルールが設けられてるんだ。主に国から目を付けられると一番厄介なことになる。

 ガンキチ君は鍛冶職人でね。人気はあるけど先輩職人から苦情が殺到してる。ついこの間も鍛冶職人のシロナさんと揉めたことが問題になってる。

 ディアンマさんは飲食店「大喰らい」の御主人から今月未払いのツケを早く納金してくれ。と言うクレームが来てる。

 ヒロキ君に至っては「事件に巻き込まれる率」急上昇。アルファガレスト卿と"吸血皇帝"の件もあって色々問題視されてる。そうでなくとも"黒結晶洞窟の英雄譚"に出てくる主人公だからね。』


ディアンマ『厄介者払いってヤツか?』


ヒロキ『・・・・・・・・・・・・・・・』


ベル『いや違うよ。今回、君たちそれぞれの問題を一挙に解決できる方法を思い付いたから知らせに来たのさ。勿論、簡単じゃあない。それでも・・・』


ヒロキ/ディアンマ『いいや、やろう!』


ベル『・・・君たち、本当は仲いいでしょ?』



 OCCを一旦切断した後に気を取り直したヒロキとディアンマは、ベルの指示で仲直りのお約束ごとである握手を半ば強引にやらされる羽目となった。無論、未だにぴりぴりと視線同士がぶつかり合い握手もメキメキと音を立てている。

 ハア。と溜め息をついて二人には聞こえない小声で呟く。任せたと。


「了承しました」


 女性の透き通ったクリアな声だった。

 声に気付いた時には、もう遅かった。恐らくは細長剣レイピアグリップだろう。どうやったかを問題にするよりも斬首された打撃に喉を詰まらせて咳をする。

 ディアンマは気付いていたようで、半身をズラし躱しているが裾を掴まれて沈みかけたところに目潰しされた。おおう、御愁傷様です。


 呼吸が落ち着いたところで見上げると一瞬女騎士団長のフェイかと思ったが違った。特に豊満な胸囲も違えばスタイル抜群のお姉さんだった。と言うか俺はこの女性ひとを一度見ている。確か・・・カエデがまだいた頃に商人ギルドで見かけたんだっけかな。

 ガーネット=シャネル。

 如何にも高そうな名前だから覚えてる。あれだけの美人なのに専属騎士を任せられているという。読者モデルやグラビアモデルと言えば納得する体型ではあるが、それ以上に見事な武術を体得している。


「だー、くっそ。ガーネット。何しやがる!」


 おや?

 ディアンマはガーネットさんのことを知っているようだが、どういう知り合いだ?

 気になったので恐る恐る聞いてみることにした。


「お二人はお知り合いで?」


 うんうん。頷いてベルさんが背中を押す。

 ベルさんの押す方向がどうやら目的地のようで後ろの仲の悪い二人をほったらかして道を歩く道中。


「あの二人は犬猿の仲っていうヤツだよ。

 ガーネットは物心つく頃には僕の騎士でね。ディアンマは君もよく知るゼン=ヘンドリックスの護衛として前回の会議に出席していた。会合の内容は言えないけど、ディアンマさんは手癖が悪くて。それ以来、ああなんだよ」


 ゼンさんの護衛?

 そういやぁ、宴の席にもいたけどギルド『パムチャッカ』のギルドマスターだったよな。ギルド『観測者の宴』。あれの傘下組織ってことだよな。酒と宴に浮かれてたけど今から思えば、スゲー大きな組織だよな。

 まあ、断ったけど。今思えば本当に断って良かったのか。と迷う自分がいる。

 マイトさんは全部知ってるんじゃないか。そう思ってしまう。少なくとも灰色事件の深淵に潜んでいるのは、まず間違いなくマイトさんだ。発端が物語っている。神書【アポロンの予言書】を狙った"吸血皇帝"が事件の全てだった。


 思い詰めない方がいい。そう言うベルさんは、ぽんぽんと肩を叩いて前方へ出る。後ろ歩きをしながら話を続ける。

「君が経験したことはキミしか解り得ない。トーマス君が怨もうとも、君が嘆いて酒に溺れようとも過ぎた過去は誰にも変えられない。もし仮に変えようと行動に移すつもりなら、それは止めるんだ。諦めろと言ってるんじゃない。

 アルファガレスト卿が遺した物がある。僕から依頼に耳を通す前に、目を通してもらいたい。君達はいがみ合って終わるべきじゃない。全部を決めろとは言わない。それでもキミは本当にクーアちゃんを置いていくのかい?」


 アルファガレスト卿が遺した物だと?

 そういうことだよ。それじゃあ、まるであの人は自分の『死』を予見していたみたいじゃないか。それとも、ここまでがマイトさんの計画だっていうのか。



◇中層 ギルド商会◇


 これは確かめない訳にはいかなかった。ベルさんの後を追って入っていったのは、ギルド商会。それも全職員はおろか専属騎士のガーネットさんさえ出禁であり、今まで国王との密約以外誰も立ち入ったことのない最上クラスのVIPルームに招待された。

 犬猿の二人をほっといて良かったのか。と思うが気にしてはならない。ちゅうか気にしている余裕はなかった。VIPルームだけあって、内装が豪華で気品に溢れているのだ。カルマが見た学院長の部屋よりも相当凝っている。無駄に金を掛けてもここまではならんだろうし・・・。とガチガチに緊張する俺に敢えて酒を振る舞うベルさんも大概である。

 しかも!? アルカディア大陸の北欧原産の弩が着くほどの高級ワインをここで開けるかよ! 俺はそんな大した客ではないぞ。


「ベルさん。奮発し過ぎでは・・・」


 それを苦笑で返すベルさん。

 まさか高級ワインを酒飲する日課でもおアリなのかな。ギルド商会の会長ともなれば、それが嗜みってヤツなのか? めっちゃ羨ましい。


「ハハハ、そんなに高級ワインというものでもありませんよ。凡そ金貨二百枚程度のモノです」


 いやいや。ハハハ、じゃないよ。

 金貨二百枚っつたら、日本円に換算すると一セルが十円だから二千万円の価値があるってことだよ。やっべぇーよ、コレを飲んだら後戻り出来ないんじゃ。と考えていれば平然と香りを楽しんで一口している。

 うーむ。悩んでいる暇もなさそうだ。でもな、ワインって飲んだ経験はないし冷麦酒ビールなんて極め細やかな泡と爽快な味を楽しんでるだけだし。真似ればいいかな。

 香りはまずまず。なんだろう、レモンや柚子を思わせるけど・・・ウマイのか? 疑問に思いながらも一口目を舌で味わう。

 ふむ、しっかりした酸味でさっぱりしている。上品な味わいだ。悪くない。

 どうです? と味の感想を聞かれて有りのままを伝えた。勿論、香りのことも言ったのだが笑ってそれは良かったと言う。意味が分からん。


「ワインの製造は現実世界と違って効率も悪ければ環境も大きく異なっていて難しいのですよ。これは料理に関しても言えます。

 食文化を大きく脅かす存在の根源は魔素マナにあります。土に空気にモンスターに人間に備わった魔素を剥がす術はない。どうして剥がす術を考えたか? それは魔素というひとつのエネルギーが成長を脅かすからです。

 近年、モンスターの成長は類いまれない変化を迎えているという報告が幾つも挙がっています。食は時に体内の血液よりも深い部分のDNA構造を書き換えて進化を助長させている。それはプレイヤーである僕達もです」


 長くワイングラスに口をつけていたソレを卓上に置いてベルさんに質問する。


「まるで魔素が病原菌みたいに聞こえますけど、ワインとどう関係が。土に含まれた魔素が成長を促進させて味の品質を向上させているとでもいうんですか?」


 そんなバカな。と思っていたが事実のようだ。ベルさんの目がそう言っている。


「その香りと味覚へと辿り着くのに職人は口々に皆が数十年要したという。上品なシトラス系の味わいが魅力を生んで上質な果実味が口一杯に広がるサンセールという白ワインだよ。現実世界では一本当たり四千円程度だが、こっちでは製造コストを考慮してこの価格という訳だ。

 食文化の中でも酒の製造に欠かせないのは発酵と熟成。葡萄の果実に含まれる微量の魔素が成長を促して味を変えてしまう。これは冷麦酒ビールに関しても言えることなんだが・・・・・・これを続けると先に依頼の方へ行ってしまうんだけど大丈夫?」


 ああ、やっぱりそんなことだろうとは思ってたよ。ここで断ってアルファガレスト卿の遺書を見るよりは・・・いや、これを解決しないことには前に進めない。

 ベルさんも、しまった~って顔をしてるけど見せてもらった。遺書の文面は、期待とは裏腹な想定外の答えだった。それを証明するように同封されていた余命宣告の通知が涙を生む。


「・・・・・・国王との密約。それが答えだよ。

 アルファガレスト卿は国王マイトさん唯一の親族だ。本当なら最期は家族と過ごしたかったと思う。それでもあの事件に関わったのは、彼自身が言い出したことなんだ。

 王族としてではなく、この国に引き入れてくれた唯一の肉親マイトさんと自分自身が遺した希望を次代に託したいという願いを聞き入れて計画を立案したのはマイトさんと僕だ。

 神書【アポロンの予言書】で知っていたから引き入れた。とマイトさんは言った。マイトさんも家族として迎え入れたかった筈がこの結果だ。本当にすまない。と心から思っている」


 くしゃ。と握りつぶした遺書を元の状態に戻して封筒に収める。

 なんだよ、そりゃあねぇ~よ。じゃあ、あの時に俺とクーアを救う以前から計画は始まっていたことになる。全部。全部が次代の新しい光に託す為だけに・・・マイトさんとベルさんが接ぐんだ灰色事件で被害者をアルファガレスト卿だけにした?

 ふざけるな。物理的にはそうかもしれない。言い方が悪いけど・・・心を弄ばれたココラやアルジオ、ファズナ家の家族はどうだっていいのかよ。トーマスが望むと本気で思ってんのかよ。こんなのは・・・。


「こんなのはただの自己満足だ」


「そうだな。

 事が始まる前に気付けば僕だって後悔はしていない。でも、君達が生きているのは彼の行動が運命を書き換えたことに違いはないのも確かなことだよ」


 それは一体どういう?


「君達の運命は、神書【アポロンの予言書】によって暴かれていた。余命宣告ってヤツさ。"吸血皇帝"と言うヴァルス="V"=スーサイドの手によって八つ裂きにされる予言を回避する最善の計画が灰色事件にあったのさ。

 全部だ。クーアちゃんの容姿でキミの前に現れたのは偶然じゃない。キミの憤怒をトリガーに"魔神化"の覚醒を促したのも。トーマスを命辛々救ったアルファガレスト卿が床に伏したのも、全部が計画の一部だったんだ」


 トーマスが睨んでいた理由はそれか。原因は俺達だ。俺達がアルファガレスト卿と知り合わなければ、こんな事態には至らなかっただろう。余命宣告を素直に受け入れなくとも、ある意味理想の形で死を迎え入れることが出来た筈だ。これは――。

 キミのせいじゃない。そう言い切るベルさんは言葉を続ける。


「灰色事件の真の筋書は、誰も死なない最高の形で締めくくる予定だった。時間が要であり余計な会話さえ出来ない状況を崩したのは、アルファガレスト卿自身なんだよ。

 最後の晩餐ならぬランチをマイトさんと過ごした。彼も承知の上だった。これが灰色事件の全容だよ。マイトさんからは言うな。と念を押されたけどキミは知るべきだと判断したまでだ。

 さあ、答えを聞こうか。この話を聴いてもクーアちゃんを置いていくかどうか・・・・・・聞くまでもないか」


 そんなん決まってるだろ。

 本当に全部を託したんだな。死ぬ気で。あそこに飛び込んだ勇気だけでも十分だっていうのにトーマスも救った英雄が遺してくれた命が迷ってどうするよ。

 いつまでも過去に囚われてる時間はねえ。守るだけじゃダメだ。今度は一緒に―――。


 落ち着いたところでワインを一気に飲み干して先程の依頼の件に話を戻らせる。ベルさんは物足りないらしく、出前の高級鮨をOCCで注文していた。

 まあ、確かにこのワインに一番合うのは日本料理のイチオシお鮨だがよくもまあ食欲があるもんだ。あんな話を聞いた直後にメシは当分入らない此方の身にもなってほしい。

 出前が来て赤身魚の鮨を食べたところで会話に入る。


「さて、どこまで話したかな。ああ・・・そうだった。魔素と冷麦酒の話でしたね。

 ヒロキ君もよくがぶ飲みしていた冷麦酒ビールも製造が確定するまで長い時間を必要としました。特に工夫が必要だったのは冷麦酒【辛口ドライ】ですが・・・製造法は企業秘密ですので教えられませんが完成した当時の価格は今の十倍以上でした。

 食文化は経済を回す大きな武器だと言うことがわかったと思いますので、そろそろ本題に移りましょう。僕が依頼するのは、ダンジョン【水晶洞窟】に向かった僕の部下である調査兵団『深紅の蹄』。可能であれば回収。不可能であれば、その場で埋葬を。それに加えて資源調査。主に魔素の調査をお願いしたいのです」


 会話中にぺろりと注文した特上鮨を平らげる。余程、腹が減っていたのか。と思わせるが依頼内容が中々にヘビーである。

 部下の回収どころか、その場で埋葬とか鬼か。せめて家族に報告くらいは・・・・・・いや、待てよ。調査兵団といやあ、図書館の蔵書に記述があった。身寄りのないプレイヤーで構成された屈指のCランク冒険者・・・だからか。

 しかし、どういう訳で俺達なんだ? Aランクの放浪者とは言っても、Fランクの冒険者に委託していい依頼じゃないぞ。


「なあ、ひとつ質問いいか?」


「どうして自分達に委託するのか。と言う質問でしたら、その答えは最初に言った通りです。あなた方個人が抱える問題を一掃出来る絶好の機会であり、これから商売のパートナーと言う答えもありますが敢えて言いましょう。

 僕がヒロキ君を信じているからです。吟遊詩人が謳う"黒結晶洞窟の英雄譚"の主人公だからではなく、アルファガレスト卿という友人が信じて託したヒロキ君だからこそお願いするのです。勿論、此方が提案するのですから最大の支援サポートは忘れないつもりです」


 ああ、スゲーな。ベルさん、ありがとうな。心から感謝の念を送っていると、ベルさんの呼び出しに応えて入室して来たのは意外な人物が目に飛び込んでくる。

 翡翠のショートカットヘアに青空を思わせる青色の瞳が印象的な半白亜人[ハーフエルフ]の少女は、俺を見るなり抱き着いてきた。戸惑う俺の顔を見上げて微笑する。

 何がどうなっているのかわからない俺にベルさんが後付けたように言う。


「言ったろう。最高の支援を約束するって。

 ヒロキ君が三日三晩酒に溺れていた時分に司法取引して彼女を釈放しておいたのさ。但し、こればっかりはどうにもならず彼女ココラ=ファズナは名を失い奴隷の身分まで降格した。身柄受取人はキミにしておいた。ここまでが僕に出来る仕事だよ」


 感謝してもしきれない。涙を溢して泣き喚く自分らしくない醜態を恥とは思わなかった。それ以上に無罪放免になったと知る喜びとアルファガレスト卿が遺してくれた託してくれた自分に泣いたのだった。涙腺が枯れるまで―――。

ベルさんは本当にいい人です。

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