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HelloWorld -ハローワールド-  作者: 三鷹 キシュン
第二章 「水晶洞窟の冒険と奴隷少女」 Episode.Ⅱ 《黒結晶洞窟での英雄譚》
47/109

【#047】 Dead line Part.Ⅲ -百戦錬磨*血の回*-

改稿{2016.3.5}完了しました。





♢黒結晶洞窟 4F 王の間♢


 そこはまさに玉座、王の謁見室そのもの。

 ただ玉座に踏ん反り返っているのは、人間の王ではない。

 悪鬼の王様といったところだろう。

 醜いブクブクに肥えて肥大化・巨大化したゴブリンの頭部には、黄金の王冠をベースとして装飾が施された上質なエメラルド・サファイア・ルビー・ダイヤモンドなどの大粒の宝石が嵌っている。王冠を被っている時点で異様な感じだ。

 ゴブリンの王を護衛するかのように、全部で七段ある壇上の最上部には十体の騎士がいる。無論、彼等もゴブリンだがただの雑魚ゴブリンとは格が違う。彼等は「悪鬼種オニのゴブリンナイト」たちだ。

 

 人型モンスターの中でゴブリンは唯一と言っていいほどに人間染みている。とヒロキの持つ古書「ゴブリンの記録①」に記されている。

 彼等の所業の多くは、闇に身を預けて影から人間たちの悪行を習ってのことである。下等な不良連中から棍棒を奪い、鉄斧を取り、鎧を剥ぎ取って、嘗てはゴブリンの王国がアルカディア大陸の端にあったという。

 それ故にゴブリンの血には社会を作ろうとする習性と言うか、そうしようとする何かがあるらしく。ゴブリンの王が誕生した時、添うように階級社会が同時に生まれるのだとか。


 ゴブリンの階級社会で最も大きな権力を持つのは、いま玉座に踏ん反り返っている<ゴブリン王>こと「悪鬼種オニのゴブリンキング」。

 その下、明らかな意思を持って主を護衛する騎士が六体の「悪鬼種オニのゴブリンナイト」。戦闘における推奨Levelは四十五以上とされ、実質<ゴブリン王>よりも遥かに強い。

 ならば何故、弱き王を守るのか? という疑問が浮かんでくるだろうが、ゴブリンキングという個体種は「悪鬼種オニのゴブリン」として生を受けた際に決まるのだ。


 すべてのモンスターの原初は、魔素から生まれるがその後の繁殖は他の生物と同じでオスとメスが交尾して新たな次代を築いていく。――のだが、ゴブリンキングには繁殖能力がない。

 その性もあって、ゴブリンキングに限っては魔素から生まれ出るのだ。

 ゴブリンキング以外のゴブリンの血には、「ゴブリンキングを命に代えても守らなければ」という防衛本能に従って例え自分よりも劣る存在であっても下に就く。

 最底辺の魔物級モンスター、ゴブリンである彼等は兵士となるべく地位を向上していく。その最上位がゴブリンナイトなのだ。

 つまりは、この七段の檀上はゴブリンたちの階級社会の縮図と言って差し支えない。

 六段目には、防衛ではなく生涯のすべてを戦いを繰り返すと言われる「悪鬼種オニのゴブリンソルジャー」が三十体。

 五段目には、ゴブリンキングの頭部を形どった石像が一つ。

 四段目には、左右の両端に等身大のゴブリンキング石像を祀り上げて知恵と経験豊富な配下たちに指示を与える「悪鬼種オニのゴブリンリーダー」が六十体。

 三段目には、ゴブリンリーダーから受けた指示を時には全うし時には雑務の一環として最底辺のゴブリンに仕事を与える「悪鬼種オニのホブゴブリン」が百体。

 二段目には、何の権限も持たない才能も素質も未知数の最底辺たち「悪鬼種オニのゴブリン」千体が七段のピラミッド壇上を制圧している。

 そして一段目、中央の大理石の床に敷かれたレッドカーペットの上に土足で踏み込んで来たヒロキを睨むのは、階級社会の最上位のゴブリンナイトたちと玉座に踏ん反り返っているゴブリンキングである。

 


 玉座に座るゴブリンの王たるゴブリンキングは、高らかに轟くように笑う。

 四年に一度の繁殖期で誕生した新しき王となった自分にとって、面白味のある余興をすぐさま思いついたのだ。


「人間よ。よくぞ、参ったではないか。吾輩は退屈である。

 ここで吾輩が思いついた余興の開幕を宣言しようではないか。

 皆よ。吾輩に仕える下僕たちよ。その人間を殺した者には、吾輩の側近を許可するものとする。さあ! 奴を殺せぇぇ!!!」


 狂気に呑まれていくゴブリンの群衆は、各々の武器を構えてはまず最下層のゴブリンたちが雄叫びを上げる。

 ここから俺一人。

 一対千二百一の無謀で壮絶なる戦いの幕が上がったのだ。


 

 こんな見え透いたゲームが好きな王様が辿る末路は、いつも同じだろう。と何時もの俺なら考えたかもしれないが今回は別だった。

 今の俺自身には思考よりも、感覚よりも早く、「殺す」という本能だけが身を動かしているのだから。

 ゴブリンが細胞を一つでも動かして敵対行動に奔った時点で、コンマの世界に身体を移した。冷酷な真っ赤な瞳で前方の雑魚を片っ端から惨殺していくだけとなった。


 戦い方のなってない産まれたてのゴブリンよりも動きが滑らかに攻めて来る。

 彼等の武器を対比で表すなら、棍棒が七。釘バットが二。その他、フライパン・バット・ハンマー・斧などが一といったところ。

 しかし、いまの俺には関係なかった。所詮は雑魚の集まりなのだから。

 ただ前に進んで邪魔な存在を真正面から切り捨てる。

 胴体を裂き。バシャ――ッ、ベチャッ。バシャバシャッ。と血飛沫が装備品と床に散っていく。

 脆い肉を脆弱な骨を断ち。ギャーギャー。と泣き叫ぶゴブリンの喉元を正確に捉えて潰しては前に進む。

 内臓をぶちまけて。

 醜い頭部を横や縦に一閃払って。

 足の骨を折って。

 頭部を粉砕して。

 生まれ出た大量の血液を当たり前のように利用して、ソードスキル【アウトブレイカー】を発動させる。ナイフを薙刀に変換させ刀身リーチが伸びたことで大振りで敵を薙ぎ払っていく。

 一瞬で三割の同胞が命を刈り取られていく光景を見て、最前線で戦うゴブリンの血色が変わり始めた。――が最期。彼等の頭部は刹那の時間で肉片へと変わる。

 彼等を襲ったのは、空気を裂く音と赤いパラブレムバレットである。


 日本の自衛隊のハンドガンに使われていた弾丸九ミリのパラブレムバレットを模してヒロキが構築能力【形態補正】で作った物すべてに照準をゴブリンの頭部に合わせて構築能力【弾道加速】で射出したのだ。

 それだけではない。

 構築能力【硬化】で弾丸一つ一つの硬度を上げて、構築能力【反射】を加えた「頭部粉砕から壁に接触後、○○°に反射せよ」という命令を繰り返すプログラムを組んでいる。無論、自分に当たらないように連技【反射装甲リミットカウンター】を発動済みだ。

 

 それは宛らアーケードゲームでお馴染の「ブロックくずし」だ。

 ここではゴブリンの肉体をグロテスクな原型のない肉に変えている惨状に過ぎないが、結果が全てを物語る。

 まさに血の海だ。

 オーバーキルにより、回収できるアイテムは霊魂くらいだろう。


 パシャ、パシャ…。と一歩を躊躇いなく踏み下ろすその姿に度肝を抜かれたのは他ならぬ三段目を制するホブゴブリンたちとゴブリンキングだった。

 ゴブリンキングは思う。


(なんだというのだ。あのバケモノは!?)


 歯軋りを立てるゴブリンキングは、巨大な目を血走らせて配下のホブゴブリンたちに勅令を言い渡す。


「虚け共めが、奴を八つ裂きにせよ!!」


 半ば恐慌状態に陥るホブゴブリンたちだが、最上位のそれも主の勅命を受けた以上失態は犯すほど軟ではない。

 伊達に最底辺から成り上がった訳でない彼等たちは、人間に吠えて重心を低くする。戦斧や鉈を肩に乗せて振るう構えを取る前衛が先陣を切って飛び出してくる。


 感情を顕わにして飛び込んでくる輩は、大抵の動きは直球勝負を吹っかけて来る。というのが常識。

 常に冷静でいるヒロキには実に単純に見えたことだろう。故に血の海を利用して、更なる【形態補正】で生み出したのは血色のランス五本に【弾道加速】を与えてホブゴブリンを空中で惨殺していく。


「オーダーメイク、太刀」


 薙刀から太刀に変換させた刀身に、魂の力を僅かに加えて切断能力を向上させて三段目の壇上に上がるヒロキ。


 口を大にして不揃えな醜い歯を出してイヌのように吠えるホブゴブリンたちは、フガフガ言って会話をしている。ゴブリンキングのように流暢ではないものの、会話できる意思伝達能力がゴブリンから進化していることが見て取れる。

 肉付きも太く、脂肪が付きまくったデブから標準型まで個性豊かな存在を成している。――が所詮はゴブリン。口から漂う腐敗臭と醜い顔は同じなのだ。


 ヒロキは三段目の壇上を踏み鳴らす。

 音に反応して四体のホブゴブリンが四方から戦斧を振るう。

 左右斜め前から迫って来る二体に一閃を放ち一刀両断した後、左右斜め後ろから迫って来る二体に振り向いて連技【幻影移動シャドームーブメント】を使う。

 構築能力【加速】を同時で二重発動することによって僅かにブレが生じる現象を利用した誤認識で、動作を鈍らせて穴が開いた意識の隙間を狙って瞬殺する。

 ドサッドサッ…。と倒れていく同胞に唖然とするホブゴブリン。

 コキッ。と一度、首の骨の関節を鳴らして速攻殲滅を掛ける。


「オーダー、連技【加速装甲アクセルメーカー】――」


 全身の筋肉と神経系への伝達速度を増幅させる効果によって生まれた高速移動法で、重く厚い完成された首の肌を太刀で削ぎ取っていく。

 ホブゴブリンたちが次に意識した時、崩れ落ちる自分と同胞の肉体。揺れる視界を真っ黒に染め上げられる配下の酸化した血を浴びて絶命する。


 ドックン、ドックン。と徐々に早くなる胸の鼓動を感じ取る。

 限界が近い。

 分かってる。もう、肉体が腐りかけてる。

 分かってる。この悲鳴は終末に向かっている。

 ゴフッ。と黒い反吐がレッドカーペットを汚す。

 喉から口へと逆流してくる物を呑み込みヒロキは、竦ませる足を抑え込んで四段目の壇上に向かわせる。

 口元に付着した黒い血を拭って、


「オーダーメイク、…」


 数度に渡る攻撃によって脆くなった刃を変えるために、一度崩した血の太刀を復活しようとした矢先。

 脳天に強い衝撃が奔り、よろけ転倒するヒロキに更なる衝撃が襲う。

 ホブゴブリンたちの居た三段目の壇上の両端に置かれた等身大のゴブリンキング石像が何かの仕掛けで持ち上がったようで足元が大きく揺れ動く。

 ズン、ズン…。と踏み鳴らして現れたのは二体のモンスター。ゴブリンではない。頭部が獅子、胴体が山羊、下半身が大蛇という異形な怪物をヒロキは知っていた。



混合種キメラのキマイラ

生存分布;????[変異体の為、不明] 

希少価値;☆9[20,000,000Cセル~]

階級;天災級

討伐達成証明部位;混合種の血液

備考欄;王道ファンタジーゲームに登場する最強モンスターの一角。

頭部は獅子。胴体は山羊。下半身は大蛇。という三体の猛獣を組み合わせられたキメラの一体で、魔法を一切使わないものの物理攻撃は熟練の冒険者を一撃で屠るほど。

頭部の獅子は、鋭利な歯と顎の筋力で口にした獲物が絶命するまで貪る。胴体の山羊は普段は大人しいが、匂いに敏感で覚醒後毒霧を吐く。下半身の大蛇は獰猛な性格で、蛇睨みで敵対者の動きを鈍らせる。危険な獣型モンスター。

怪物級モンスターの肉を喰らうことで、更なる成長を果たして頭部が茶色から黒色に。胴体が白色から赤色に。下半身が緑色から金色に変わった時、個体の物理攻撃力+50%が向上する。

主に単体でも行動し同種が近くにいた場合は、共食いするケースがある。



(冗談だろ。こんなところまで来て、天災級モンスターかよ)


 顔を上げて巨大な怪物を見上げる。とゴブリンキングが高らかに宣言する。


「人間よ。貴様は良くやった。して褒美を使わそう。

 ゴブリンキングの名の下にキマイラと戦う資格をプレゼントしよう。

 さぁ、人間よ。踊るがいい。盛大なる余興あってこそ、吾輩は王として輝くのだ」

 

 ズン――…。と一歩を踏み下ろすキマイラを前に顔を引き締めて、


「オーダーメイク、太刀――!!」


 改めて今度はホブゴブリンたちの血を利用して作った太刀の矛先をキマイラに向ける。一点集中。矛先に魂の力を上乗せして青い斬撃を繰り出すものの、天災級のそれも自分を認識したキマイラは威圧だけでヒロキの身体を吹き飛ばす。

 地面に摩擦熱を加えて食い下がるも、もう一体のキマイラの爪での引っ掻きと威圧に押されて床に撥ね飛んで転がっていく。


「ガッハーー」


 装備を意図も容易く貫き、剥がれ、壊されて背中に大きな爪痕が刻まれた。

 その衝撃で床に叩き付けられ腹部を損傷したことで、少量ながらも口から血反吐を吐く。

 ドサッ…グジュ…。と床に転がるホブゴブリンがクッションの役割を果たしてくれたようだが、脂肪が付いた肉の触感がどうのという訳ではない。

 

 震えてやがる。

 こんな、こんな絶望的な状況の中で俺は何してんだよ!

 立てよ。俺の足。

 動けよ。俺の右手。

 ここで死んだら…。ここで死んだら…?

 俺は。俺はなんで死ぬことを気にしてるんだ?


 思考を構築能力【加速】で引き上げて、思考する時間を引き延ばして動いている世界の速度を限りなくスローモーションにした中でヒロキは改めて考える。


 俺は何の為に戦ってる?

 自分の為にか? いや違うだろ。

 仲間の為にか? 仲間って誰だっけ。俺に仲間なんかいたのか?

 ………。

 分からない。

 …分からない。

 俺はなんで死ぬ?

 …分からない。


 スローモーションの世界でヒロキは一人歩く。

 真っ赤な血の海に自分がいた。背中と胸に熱が籠るのを感じる。

 ドックン、ドックン。と脈打つ仮初めのボール状の心臓を見て思い出す。


 ああ、そうだ。そうだったな。

 俺は戻らなきゃなんない。

 全部を。ぜんぶ。倒してレインとカエデのところに…。

 いや、駄目だ。

 俺は―――、戻る前に最後の灯が消える。

 なら、やれることは一つ。


 ヒロキはキマイラの前で立ち止まって、イベントリを開く。

 取り出したのは、今までに拾い集めてきたモンスターの生臭い心臓を構築能力【凝縮】で強制的に一つの真っ赤な血肉潤う塊に変えて呑み込み、コハクから頂いた丸薬を飲んで生命力を向上させる。

 さらに、全ての霊魂を自身の魂魄に吸い込ませ取り込んで、スローモーションの世界から抜け出たヒロキはスキルを発動させる。


「オーダー、ソウルライジング!

 行こう、案内してやるよ地獄までの道。俺が連れてってやるよ」


 寒気を感じたキマイラが端まで後退する。

 そこで俺は魂に願う。

 寄越せ! と。

 力を寄越せ! と願う。

 どうせ、最期の戦いならば。と大蛇との戦いで見せた【竜の力】。あの時は片鱗だったが、本質はあんなものではないと考えて俺は乞う。


 ピリリ。と電流が体を駆け抜ける。

 身体を包むように纏うのは赤い。紅色のオーラをした衣は、武者の鎧のように変質化して武装する。

 王の間を一気に呑みこむ歪な赤い世界へと一変し、殺してもいないゴブリンリーダーとゴブリンソルジャーの霊魂を強制的に奪っていく。

 奪った霊魂は俺の背中に生えた紅蓮の翼の一部に変換されていく中、痺れを切らしたゴブリンキングは、ふざけるな!! と怒声を上げて玉座から身を乗り出して最強の騎士たちに命じる。


「吾輩を侮辱するか人間風情が!!

 行け! 王の命を守るが貴様らの役目であろう。さっさと人間の首を吾輩に献上するのだ。その舐めた眼を今から消し炭にしてくれるわ」


 主の王の勅命を受けたゴブリンナイトたちは、抜刀するや否や己の魔力を静かに刀身に纏わせて高速移動を用いて六体が先陣を切る。

 後衛の四体が自前の魔導書を開いて、攻撃と防御を底上げする魔法で付加エンチャントさせる。――が、最強の矛を自分から名乗っていた二体が人間に接触していないというのに宙で消滅した。

 消滅。というよりも「炭化した」という方が正しい。

 紅蓮の武者鎧から外界に十メートル離れた位置で目に見えない障壁に阻まれ、接触と同時に長剣も鎧も肉体さえ一瞬で焼き尽くされたように炭化したのだ。

 それを見た残り四体の先行部隊は、宙で足に魔力を募り空を蹴って距離を取るものの、それは意味を成さなかった。

 ズズズズ…。と目に見えない障壁はどんどん大きく広がり、また一体のゴブリンナイトを炭化させ消滅させていく中で人間は吐き捨てるように呟く。


「オーバーエフェクト【ドラゴンライジング】」


 人間の頭部に厳ついドラゴンの面を模す仮面が装備された途端、先行していたゴブリンナイトの認識速度を遥かに超えて後退した二体のキマイラの頭部だけが床に潰れて落ちる。

 床に潰れた音で漸く反応を示すゴブリンナイトが見たのは、想像を絶する大虐殺。天災級という自分たちよりも凶暴な種が一瞬にして頭部が切り裂かれて真っ赤な血が雨となって降り注いでいるのだ。

 紅蓮に燃え盛る翼は、双対の大剣となって後衛のゴブリンナイトの首を瞬きする毎に一つ。また一つと刎ね飛ばされていき、次の瞬間。

 意識する間もなく、激痛が神経を圧迫するよりも早く首を刎ねられたのは自分たち。ゴブリンナイトだった。


「なっ、なんなのだ!?

 あの人間は、一体何者なのだ。誰か答えよ!」


 ゴブリンキングが玉座で叫ぶが誰にも通じない。

 当たり前だ。王を残して、すべての兵士が討たれた今。相談役もいなければ。突撃兵も。盾も。騎士もいないのだ。

 ゴブリンキングは、真正面からドラゴンの面をした人間を見やり思う。


(貴様は、一体なんなのだ人間よ。

 千の兵を虐殺し、百の長を蹂躙し、六十の兵長と三十の戦士の霊魂を呑みこみ、キマイラと十の騎士を一瞬で惨殺だと――!?

 ふざけるな。ふざけるな。ふっざけんな)


 心の奥底から憤怒を込み上げるゴブリンキングは、踏ん反り返っていた玉座の肘掛けを握力で握りつぶして立ち上がる。のだが、


「アガガ……。

 有り得ん。認めんぞ。…こんなものが戦であって堪るか。

 答えろ。吾輩を作りし、ナイトメアゴブリン。こた‥えよ」


 ゴブリンキングに死を与えたのは、ヒロキではなかった。

 踏ん反り返っていた玉座ごと二つの斬撃が奔り、ゴブリンキングに肉体をバラバラに切り崩したのだ。

 パラパラ。と木屑となって崩れていく玉座の後ろにいた人影は他のゴブリンとは形相も体格もまるで違う。醜い顔つきは、そこにはなく。あるのはトカゲの顔をした体表の多くを青紫色の小さな鱗で身を包んだトカゲ人間の姿がそこにはあった。


「人間、お前は面白い。だから俺と死合せよ」


平日が休日だったら、このペースで書けるのに残念に思う今日この頃ですが仕方ありません。平日は仕事モードです。休日は執筆モードで頑張らせていただきますので、これからも応援よろしくお願いします。

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