【#019】 First step -新しい一歩-
お待たせしました。知らない方も知っている方も説明しておきましょう。第23話まであったこの小説ですが事情により1話よりRestart改稿→幕間を5話ほど改稿→残りあった5話分を削除→新しく始まる第二章の今回のお話を新着投稿で凡そ半年ぶりに更新している状況であります。従って更新前と比較すると文字数や物語の内容が大きく変わっております。
さてはて、漸くといった感じです。第二章は冒険尽くしで行きたいと思っておりますがまずは…挨拶からですかね。
{2015.9.22}→{2016.1.27}新規更新しました。
「なあ、これって必要あるか?」
そう言って疑問に思うのは、クロムだけではなかった。
自己紹介という形でクルスが提示した一つの案。それは三人の頭上にクエスチョンマークを浮かべる結果となっていた。俺たちは知らなかったのだ。
この方法こそがこの世界で唯一「腹を割って話す」という位置づけの他人を本当の意味で信じる為の挨拶事とは、何せ俺たちはまだまだの新米なのだから。
イベントリホームから「プレイヤー認証」で指紋認証させて自分のステータスを開く。
自分の視界上に青色のウインドウにステータスが表記されるが、それをタッチしたまま反転させることにより他人に見せることが出来る。
しかしこの方法はクルスから「してはならない行為」の一つとして言及されていた。
その言葉に「絶対」が含まれていなかったことを思い出す。
「クロム、レイン。君たちは転生してから何日が経過している?」
「そりゃあ、二カ月ちょいちょいかな」
「うん。だと思う」
顎に手をついて考えるクロム。
頷いて肯定するレイン。
「前回ステータスウインドウを見たのは何時か覚えているか?」
「三日前に板前長から貰った包丁の精度を見る序でに見たかな。
レインも同じぐらいだったと思うけど」
「うん。ゼンさんから教えてもらった新しい調合方法やレシピの確認と調合キット[中級]の性能実験を計るのに見ながら…」
「なるほどね。二ヵ月前からでいうと随分と成長具合が良さそうだ。
そこでだ。今のステータスを検証した上でみんなに提示してほしい。これは個人情報の流出ではなく、互いの仲間を信じるという意味合いで提示するんだ。
ヒロキ。君もステータスウインドウを見るといい。それが君の今の実力であり、全てだからね」
三人が三様の肯定を現して、ステータスウインドウを反転させて互いの今を確認する。
先程、クルスから貰った防具と新しい武器によって多少の違いは出るかと思いきや、全く違うステータスに驚愕を覚える俺に反応するように自分のステータスを有り得ないだろという視線で凝視する二人はポカンと口を開いていた。
Status
Name;ヒロキ
Age[Sex];17[♂]
Tribe;人間[ヒューマン]
Job[Rank];放浪者[G]
Level;13
Days;6
DNALevel;3
Ability
HP;体力値1750
STR;筋力値88
AGI;俊敏値112〈+15+20%〉
VIT;耐久値97〈+20〉
DEX;器用値161〈+7+20%〉
MP;魔力値0
Core;コア11
Tolerance;耐性【―――】
Penalty;状態異常【―――】
Title;称号【*愚者*】【*魔法才能皆無*】【*実力者への道*】【*初心者卒業*】
Skill
CombatSkill;武装スキル【竜の力Level.2】【サーチアイ】
EffectSkill;技術スキル:調合スキル【調合】【採取】【解体】【解剖】
ConstructionSkill;構築スキル【加速】【跳躍】【硬化】【集中】【増幅】
PersoSkill;身体技能スキル【瓦割り】
FightingSkill;格闘スキル【スプラッシュ・ブレイド】
SurvivalSkill;サバイバルスキル:【サーチ】【隠蔽】
UltimateSkill;アルティメットスキル【ドラゴンライジング】
Weapon
Right;右手武器【ダンジョンウェポン[ナイフ]:ガーディアンライト】
Left;左手武器【―――】
WeaponBonus
DEX+7;器用値+7
Armor
Head.1;頭部1【着脱式フード[灰]】
Shirt;アンダーシャツ【ノーブランド品:V字シャツ[白]】
Body;胴部【マイト@メイキングアーマー:白帝鯨の上皮鎧[灰]】
Arm;腕部【ゲイル@メイキングアーマー:白帝鯨の上皮腕[灰]】
Hand;手部【クルス@メイキングアーマー:白帝鯨の皮膜手袋[灰]】
Waist.1;腰部1【―――】
Pants;アンダーウエア【ノーブランド品:トランクス[縦縞青]】
Leg;脚部【黄金の薔薇ブランド品:白帝鯨の特皮脚装[灰]】
Foot;足部【ゼン@メイキングアーマー:白帝鯨の特皮靴[灰]】
ArmorBonus
暗殺者見習い;俊敏値と器用値が二割上昇
白帝鯨シーランスセット;耐久値+20
Accessory
Head.2;頭部2【―――】
Eye;目部【―――】
Ear;耳部【―――】
Nose;鼻部【―――】
Neck;首部【ガーディアンヘルメスブランド品:蒼天の首飾り】
Back;背中【バックパック】
Finger;指部【ガーディアンヘルメスブランド品:蒼天の指輪】
Waist.2;腰部2【魔人の鍛冶屋ブランド品:スロットルエクス2】
AccessoryBonus
蒼天の双力;俊敏値+15
イベントリ拡張×2
武器スロットル+2
クロムが顎を掻きながら答える。
「おい、ヒロキ。そりゃあ、チート過ぎるだろ」
ごもっともな意見です。としか答えられないステータスだ。なぜこうなったのか? さっぱりです。と言うしかないが、ここはクロムのステータスを見よう。
Status
Name;クロム
Age[Sex];18[♂]
Tribe;人間[ヒューマン]
Job[Rank];料理人[E]/放浪者[G]
Level;24
Days;65
DNALevel;2
Ability
HP;体力値1520
STR;筋力値100
AGI;俊敏値98〈+8〉
VIT;耐久値90〈+20〉
DEX;器用値144〈+7〉
MP;魔力値77〈+5〉
Core;コア4
Tolerance;耐性【―――】
Penalty;状態異常【―――】
Title;称号【*愚者*】【*料理人の心構え*】【*実力者への道*】【*シスコン*】【*魔法使い見習い*】
Skill
CombatSkill;武装スキル【食材の心Level.2】【包丁の磨きLevel.3】
EffectSkill;技術スキル:調合スキル【採取】/調理スキル【中級調理】【解体】【繊細切り】【レシピ研究】【煮つけ】【刺身切り】【敲き】【塩焼き】【壺焼き】【下処理】【湯引き】【ポワレ】【天ぷら揚げ】【かき揚げ】【蒸調理】【砂抜き】【出汁引き】【ムニエル】【鍋調理】【一夜干し】【冷凍保存】【乾燥保存】/細工スキル【細工】【採掘】
MagicSkill;魔法スキル【ファイアーボール】【焔】【ファイラディフェンド】【ファイラヒール】
Weapon
Right;右手武器【ライアン@メイキングウェポン[包丁]:大王の大出刃包丁】
Left;左手武器【ノーブランド品[包丁]:ノーマルな薄刃包丁】
WeaponBonus
DEX+7;器用値+7
Armor
Head.1;頭部1【―――】
Shirt;アンダーシャツ【ノーブランド品:V字シャツ[紺]】
Body;胴部【ゼン@メイキングアーマー:白帝鯨の上皮衣[灰]】
Arm;腕部【ライアン@メイキングアーマー:白帝鯨の堅骨籠手[灰]】
Hand;手部【クルス@メイキングアーマー:白帝鯨の皮膜手袋[灰]】
Waist.1;腰部1【―――】
Pants;アンダーウエア【ノーブランド品:トランクス[縦縞黄]】
Leg;脚部【黄金の薔薇ブランド品:白帝鯨の特皮脚装[灰]】
Foot;足部【ゼン@メイキングアーマー:白帝鯨の特皮靴[灰]】
ArmorBonus
白帝鯨シーランスセット;耐久値+20
Accessory
Head.2;頭部2【―――】
Eye;目部【―――】
Ear;耳部【クロム@メイキングイヤリング:乳白結晶のピアス】
Nose;鼻部【―――】
Neck;首部【レイン@メイキングネックレス:琥珀水晶の首飾り】
Back;背中【ゼン@メイキングバック:バックパック】
Finger;指部【―――】
Waist.2;腰部2【魔人の鍛冶屋ブランド品:スロットルエクス2】
AccessoryBonus
VIT+8;俊敏値+8
MP+5;魔力値+5
イベントリ拡張×3
武器スロットル+2
目を見開いて答えるのはレインだ。
「にぃに同じく。この短期間でそのステータスは規格外。
悪魔と取引してもそんな数値にはならないよぉ」
悪魔との取引とかもこの世界にはあるのか?
いや、というか規格外ってそんなに酷いのか俺のステータスは!?
Status
Name;レイン
Age[Sex];18[♀]
Tribe;人間[ヒューマン]
Job[Rank];調合士[E]/放浪者[G]
Level;25
Days;65
DNALevel;2
Ability
HP;体力値1230
STR;筋力値90
AGI;俊敏値98〈+10+8〉
VIT;耐久値90〈+20〉
DEX;器用値154
MP;魔力値104〈+10+5〉
Core;コア4
Tolerance;耐性【―――】
Penalty;状態異常【―――】
Title;称号【*愚者*】【*調合士の心構え*】【*実力者への道*】【*ブラコン*】【*魔法使い*】
Skill
CombatSkill;武装スキル【素材の心Level.2】【水精霊の力Level.2】
EffectSkill;技術スキル:調合スキル【調合】【調薬】【採取】/錬金スキル【分解】【再構築】/細工スキル【細工】【採掘】
MagicSkill;魔法スキル【ウォーターボール】【アイスボール】【アイスディフェンド】【ヒールボール】【水精霊の治癒】
Weapon
Right;右手武器【ゼン@メイキングウェポン[杖]:青賢者の大杖】
Left;左手武器【ダンジョンウェポン[魔導書]:天盤経典の大魔導書】
WeaponBonus
MP+10;魔力値+10
大魔導の選定;称号【*大魔導の使い*】持ちのみ、全ステータスを五割上昇
大魔導の権限;称号【*魔法使い*】持ちのみ、俊敏値と魔力値を+10
Armor
Head.1;頭部1【―――】
Shirt;アンダーシャツ【ノーブランド品:V字シャツ[白]】
Body;胴部【ゼン@メイキングアーマー:白帝鯨の上皮衣[灰]】
Arm;腕部【ライアン@メイキングアーマー:白帝鯨の堅骨籠手[灰]】
Hand;手部【クルス@メイキングアーマー:白帝鯨の皮膜手袋[灰]】
Waist.1;腰部1【リン@メイキングスカート:白帝鯨の特皮膜スカート[純白]】
Pants;アンダーウエア【ノーブランド品:パンツ[純白]】
Leg;脚部【黄金の薔薇ブランド品:白帝鯨の特皮脚装[灰]】
Foot;足部【ゼン@メイキングアーマー:白帝鯨の特皮靴[灰]】
ArmorBonus
白帝鯨シーランスセット;耐久値+20
Accessory
Head.2;頭部2【―――】
Eye;目部【―――】
Ear;耳部【レイン@メイキングイヤリング:乳白結晶のピアス】
Nose;鼻部【―――】
Neck;首部【クロム@メイキングネックレス:琥珀水晶の首飾り】
Back;背中【ゼン@メイキングバック:バックパック】
Finger;指部【―――】
Waist.2;腰部2【魔人の鍛冶屋ブランド品:スロットルエクス2】
AccessoryBonus
VIT+8;俊敏値+8
MP+5;魔力値+5
イベントリ拡張×3
武器スロットル+2
「ヒロキ、そんなに脱力するな。
レベルが十違うのに対して、二人以上のステータスを保持している大きな理由はDNALevelにある。前にも説明したとは思うが、もう一度説明しておこうか。
DNALevelとは、プレイヤーの種族としての能力値のことを指すが、あまり上昇し過ぎると異端の存在となる。レベルの上昇は個々のプレイヤーの障害を一つ越えることで上がる。
例えば、自分の生き方を変えたり、何かに没頭したりと色々あるが、ヒロキの場合はクロムやレイン以上に過酷な場所に転生した影響も少なくはない。一般的に転生者は安全圏である大きな町の中や公園に転生するものだが、白金砂丘のど真ん中っていうのはどう考えたって異常としか言えんからな。でも羨むのは二人じゃない」
え? という表情で二人は一呼吸置いてお互いに目を合わせて、口を揃えて魔法と魔力を持つ二人は、クルスの言葉から感じた疑問を疑問で返した。異常で規格外なスペックを持つヒロキを羨むのは当然だったからだ。
「「どういうことですか?」」
いくら過酷なフィールドに転生しようとも。
過去にどういったトラウマを持っていようとも。関係ない。
二人が精一杯生きてきたこの二か月間をたったの一週間で越えたという現実とDNALevelが与える才能と素質に嫉妬していた。
「ま、魔法!?」
逆に俺は、魔法というファンタジーな能力を羨ましく思っていたのだ。
「そう、ヒロキは魔法が一切使えない。
それは即効的な回復魔法【ヒール】を使えないということでもある。
クロムのような火炎魔法【ファイアーボール】も。レインのような氷防御魔法【アイスディフェンド】も使えない。その欠点を補強するのが、パーティーの仲間だ」
「そういう事ですか」
俺は納得した。
クルスが言う自己紹介の意味が、ここで漸く分かったからだ。
自分と仲間の欠点を予め知って置くことによって、互いが相手の欠点を克服し合える環境を整えるという意味合いを込めた。改めての自己紹介だったということ。
最初に知って置くことによって蟠りを軽減することもできる。
こういう事はなかなか出来ない。経験者だからこその案という訳だ。
「しゃあなしだな。支え合うのが仲間ってわけだ」
「うん。弱点や欠点をカバーするのは仲間の役目だよ。にぃ」
照れくさそうに俺は答える。
「サンキューな。レイン、クロム、クルス」
うん、うん。漸く分かったみたいだね。クルスが言って言葉を続ける。
「冒険は最初の一歩が肝心だからね。僕等は仲間だ。
でも僕はあくまでもサポートとして動くつもりだよ。
基本は前衛をヒロキ。後衛をクロムとレインの三人がメインとして進むんだ。
今まで君たちは、個人で成長を遂げてきたけど団体や集団での行動はまた違うものだからね。
ここで何かを掴んでもらえればいい。さあ、行こうか。新しい旅立ちの時だ」
ここから始まった。
俺たちの新しい冒険の一歩は。
俺は砂地を踏もうとするが『いや、こっちだよ』というクルスの掛け声でくるりと首を反転させた。その先には、古びた井戸を塞いでいた蓋を外していくクロムとレインの姿があった。
表情を黒くして悪人面でクロムが笑いながら言う。
「おやおや、ひとりで砂丘を彷徨うのですかな」
「にぃ、悪い顔ダメ。キライになっちゃうよ…『なに!?』―――ヒロキもこっちだよ。
ここからは水晶洞窟っていう採掘ダンジョンを通ってシェンリルに行くから」
「採掘…? ダンジョン?」
井戸に取り付けられている縄梯子を利用して降りていく三人を追いけるように、真っ黒でその見えない穴を覗く。
唾を呑み込んで縄に手を掛ける。
上を見上げる。とまだ白い世界が広がっている。
見下ろす先にあるのは黒い無だけが、ぼんやりと映って見えた。
俺の前途多難な冒険はまだ入り口に立っただけであった。
ここまで読んで下さった方々、ありがとうございます。
本格的な冒険は次話よりスタートします。
次話投稿の予定ですが、今日もしくは深夜あたりかと思います。
次回のお話も読んで戴ければ幸いです。