表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

.ゆびなめ

灰色の空をうつしたような細雪のなかで、ぼくはさいごにきみをみた気がする。

そしてふりつもった空のかなしみも、雨の中で色褪せていく。

手で、せいいっぱいきみをたぐり寄せてみても、ぼくのなかに結局きみはいなかった。

つまらない、と言われればそれでおしまいかもしれないが、終わらせてしまえる勇気なんて、ぼくには到底見つからない。

セピア色の海のなかで、長い間眠りについた白色の真珠のように、ぼくはきみをうつしだす。

でもそれはあまりに鮮やかすぎて、きっとこれもぼくにはたぐり寄せれないのだろうか。

「しとしと、こっちもあめがふってる」

窓の中からのぞく景色は、なみだがにじんでよく見えない。

いや、きっとそれも錯覚なのだろう。

「きえてよ、りょーちゃん」

いきなりきっとにらまれて、きみは暴言を吐いた。

「りょーちゃんといると、いらいらするの」

「じゃ、なんでぼくの家にくるの」

「あたしのかってでしょ」

ああ、きみはほんとうに自己中心的な人間だ。

その証拠に、ついさっきまでぼくをにらんでいた顔が笑みをうかべている。

まったく、感情の起伏のはげしいやつだ。きみをみていると苛々するんだ。

「ねー、どっかいきたい」

ぼくのベッドから足をぶらぶらさせて、さらにはアイスまで食べながらきみはいった。

赤茶色のかみのけが、きみの動きにあわせるようにゆさゆさうごく。

ぼくは机にかじりついて、勉強をするふりをしながら「だれと?」と聞きかえした。

「りょーちゃんと」

「ぼくのこと、消えてよとかいってなかった?」

ぼくが怪訝な顔をしてふりむくと、きみは

「そんなこと、いったっけ?」

と図々しくもとぼけてきた。

「りょーちゃんのこと、すきよ」

そうつけくわえて、笑みをたたえながらぼくのくちびるをさっさと奪っていってしまった。

またアイスは歯型をのこされてく。

赤く染まったぼくと、けらけらわらう、きみを見ながら。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 話の内容が薄く、結局何が言いたかったのかわからない。
[一言] 今回も甘々なお話でした。 でも今回は、ちょっと甘さ控えめといったところでした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ