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命に変えても守りたい者


闇は永遠に続くものではなく、いつか終わるものなのです。

それを是非我が主に伝えたい。


「銀。ローズ様居る?」

燕尾服を着た青年は僕の居る部屋に入ってきた。

僕の部屋は誰でも入っていいとされているから、昼夜とわず勝手に人が入ってくる。

「…ラディスラス様は只今会議中です。」

僕がそういうと、先ほどまで僕の生い立ちを聞かされていた少年三人が振り向いた。

「あれ?ウォルトもここに居たの?」

燕尾服を着た青年の後ろに居た、黄色い瞳をした青年はひょっこりと顔を出した。

「うん。ヘティーも交ざる?」

先ほどまで僕の話を興味深く聞いていた白い髪の少年ウォルトは、扉の前で立ち尽くす黄色い瞳の青年へティーの手を引いた。

「シロちゃん。ヘティーも混ぜていい?」

僕に決定権など無いから無言の了承とすると、ヘティーが困り顔で僕の前で正座をした。

「あれ?スウィジンもいたの?」

ヘティーは隣に座って僕の話を待つ青年を見た。

「失礼だぞヘティー」

ウォルトに叱られヘティーが苦笑する。

「仕方ないだろ?シロがどうしてもっていうんだから。」

恐ろしく酷い言い方で少年はそっぽを向いた。

彼の名前はスウィジン。とても言いにくい名前だ。

「…銀がそんなことを?」

燕尾服の男は僕を睨んだ。

誰かに願いを聞き入れてもらえない立場の僕はブンブンと首をふる。

「キャハハハハ。」

「アゼル!」

その光景を見て笑った瞳の金色をした少年を見つけ、燕尾服の男は声を荒げた。

「ずっとここに?」

「うん。居たぜ?な?シロ。」

スウィジンが火にガソリンを注ぐ。

燕尾服の男マリエルは、弟のアゼル無では生きられないと言う程の依存ぶり。

正直巻き込まれる僕は迷惑。

「さぁ、アゼル。立って。部屋に帰りますよ。」

僕にアゼルを取られたと思ったのか、マリエルはアゼルの腕を掴んだ。

「マリエルさま。アゼル様も嫌がっていますし…」

口を出した僕はマリエルに睨まれる。

「銀。誰に口を聞いているんです?」

魔法を仕えるマリエル達に”人間”の僕は勝てない。

「…申し訳ございません。」

小さくなる僕を見て笑うウォルト。

「まぁまぁ。2人とも。

マリエル座って銀の話を聞いてみない?」

超平和主義のヘティーの救済でマリエルは咳払いをして僕の前に腰を下ろした。

五人の男が僕を見上げる。

「え、と…ドコまで話しましたか?」

中断された話を振り返るのは結構難しい。

「悪魔なラディスラスに無理やり連れて行かれたところ。」

スウィジンの助け舟にお礼をいい、僕は咳払いをした。

「そう。

そして僕はラディスラスと後に名が判明した方の家に住み込みでお世話になることになったんだ。

彼女は優しいとは程遠い素晴らしい教育を僕にしてくれた…

それは語学から言葉使いまで。

当時荒い方であった僕の口調は敬語で統一された。

いつでも出て行っていいと言うくせに、門の前には門番がいるこの屋敷に、

半ば強制的に監禁…いや…軟禁?違うな…幽閉?」

「全部同じような意味じゃね?」

言葉に詰まる僕にスウィジンが突っ込むが気にしない。

「そして十年の時が経ちました。

当時12だった僕は22になりラディスラス様は20になられた。

僕の役目はもうすぐ終わるでしょう。」

僕は言葉に詰まった。

彼らにとってラディスラスは組織の主。

僕とは忠誠心が違う。

行き場がなく出られない僕とは違って、彼らは自らの意思でここへ帰ってきている。

「どうして終わるの?」

ヘティーは獣のような黄色い瞳で僕を見上げた。

「僕はずっとここには居られません。

人間だから…」

そういうと皆話が終わったと悟り立ち上がった。

「銀。ローズ様の会議の終了は?」

「三時です。」

「了解した。」

メモ帳に何か書き込んだマリエルは座ったままのアゼルを引っ張って出て行った。

「マスターの側にいられるのに…戦闘が無いだけましじゃん。」

ウォルトはヘティーにひこずられて部屋を出た。

「スウィジンさま。御退室なさらないのですか?」

「シロいなくなるのか?」

悲しいという感情は持ち合わせていないらしく、僕を見上げるスウィジン。

「出て行かなければならないんですよ。」

「あっそ。ばいばい。」

あっけなさすぎ。もう少しはいるし…

スウィジンは僕に手を振っていなくなった。

何故こんな急に過去の話をしたのかも。

別れの日がくると告げたのかも。彼らは何も聞かない。

僕の存在は常に空気で彼らには関係がないものだから。

固く弾圧なにそれ?状態のベットに寝転がった僕は天上をにらんだ。

言って見ただけ。とかそんな軽はずみなことではない。

ラディスラスから昨日言われたんだ。

『別れは近い』と。

悲しいとか寂しいとか言えない。いえるはずが無い。

だって…そうだろ?

僕は彼女のたんなるシモベ。主の命令も決定も絶対。

  「…ね…しろがね!!」

怒鳴られ覚醒した。

「寝てた…の?」

まだ寝ぼけている頭を働かせ窓の外を見ると既に夜だ。

「寝ぼけるな。起きろ。」

目の前の着飾った女を見つめ、思考がうせる。

奇麗に飾られたドレスも、変わらぬ漆黒の髪も。

意思の強い瞳も全て、知っている。

「お帰りなさい。」

「何故お前は2人きりだと敬語をやめるんだ?」

「だってキミ年下…うごふ!!」

持っていた木製の鞄で殴られ言葉を遮られた。

「歳など関係ない。

忠誠を誓うなら主に従順であれ。」

その言葉全てがこの十年で叩き込まれてきたこと。

少し疲れている目の前の女は、ベットの上に腰を下ろした。

バサリと何枚か数えるのが嫌になるドレスの音がする。

「会議。お疲れ様です。」

「疲れた。肩揉め」

肩をさらす主は肩を僕に向けた。

「嫌です。」

「抵抗するのか。下僕の分際で。

お前は一度も私に触れないな。」

髪留めを外しながら、主は言う。

確かに、僕はどういう形にしろ主に触れたことが無い。

主として見られないから。

「脱ぐ。」

「な!青少年が食いつきそうな話題を出すのはやめてください!!

仮にも男の部屋ですよ?何かあったらどうするつもりですか?」

髪を解いた主はドレスのファスナーに手をかけた。

「男?目の前にいるのは貧弱なガキだろ?」

「年上ですけど?」

「目をつむれ。」

「あけたらどうするんです?」

「刺す。」

「あけません。死んでも。」

ぐっと目を閉じると闇。

ファスナーのいやらしい音と、着物が落ちる音。

「今日は楽しかったか?」

開けない瞳のまま主は言う。

「何が?」

「お話あい?銀の話を聞く会をやっていたんだろ?」

「…誰からの情報です?」

「ウォルト。」

「誤解です。」

そんな会話をしているともういいぞと言われた。

「あの日のことをそんなに根に持っていたのか。」

主は僕のタンスを漁り、僕の服を着ていた。

「あの日って…一体ウォルト様は何を話したんです?」

「お前が言った話。私は悪魔に見えたんだろ?」

根に持っているのはどっちだ?

主は僕の首に手をかけた。

「キミは僕が天使にみえたんですよね?」

「十年前の事だ。忘れた。」

「なんだか思い出話も楽しいですね。」

「歳を取ったみたいでいやだぞ。」

主はグッと僕の首に力を入れた。

多少の呼吸困難は無視し、目を細める。

「出合ったあの日。あの日から僕の運命は…」

「私の手の中だったな。」

「自分で言っちゃいます?」

「今もお前の命は我が手中だぞ?」

「人殺しですね。」

そういうと主は首から手を離した。

「会議では何を?」

布団に入ってきたので、同時に出る。

「今後のあり方?」

「誰のです?」

「私。軽率だといわれた。」

「頭の固い爺共ですね。」

「…性別を変えろといわれた。」

「性転換手術ですか。面白いですね。」

「茶化すな。笑い事じゃない。」

「手術の予定日はいつです?」

「茶化すなといっている!!」

主は差し出した紅茶を床に叩きつけた。

目が恐ろしい。

「はい。茶化していません。

ラディスラス様。ブレインの主であるあなたは少し、

行動に責任がない。その点では僕も軽率だと思います。」

そういうと主は顔をしかめた。

「…お前は味方だと思っていたが…かいかぶりすぎか…」

「味方?僕は貴方ではなく、ブレインに仕えているんですよ?」

ガタリと立ち上がった主は僕を睨んだ。

「信頼していた私が馬鹿だった。」

「お早いお気づきで。」

僕の服を勝手に着ていた主は勝手に僕の服を脱ぎ、僕の前で下着姿をさらした。

「…直ぐに感情的になるところも、軽率だと思いますが?」

服を投げつけられた。

「手術はしない。暫く話しかけるな。」

まったく。お子様だ。

止めて欲しかった?組織の上にいる人間が…考えが甘すぎる。

二十歳だからと言って許される行為にも限度がある。

主はもっと警戒するべきだ。

例えば僕に。

異性で歳も近い僕を十年も側に置くモノじゃない。

だってそうだろ?まだ温かい服と、初めてみた下着姿でこんなにも興奮してる。

女としてしか見られない。

主人とシモベ。分かっているはずなのに。気持ちに自制が聞かない。


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