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ヘビの神様
通っていた大学には、小さな祠が建っていた。
入学したばかりの頃は「どうしてこんな場所に?」と不思議に思ったものだ。
大学の人気のない場所に、堂々と置かれている簡素な木の祠。
低い私の身長よりも更に小さいサイズ。
教授の話では「ヘビの神様の祠」であるらしい。
この学校は一応仏教系の大学だ。
大丈夫なのか。
神様って仏教じゃなくて神道じゃないのか。
大学ができる遥か昔に話は遡る。
ヘビの神様の祠は、古くからずっとこの土地に置かれていたそうだ。
ある時、嵐が周辺の村を襲う。
嵐が去った後、村は幸い何の被害もなく人々も無事だったそうだ。
ところがこのヘビの祠だけ壊れていたらしい。
村人は言った。
「村には被害が無い程度の小さな嵐で簡単に壊れてしまうなんて、ご利益の無い神様だ」
そんな話が広まり、祠のある土地は安く売られたのだとか。
そして今は大学が建っているのである。
祠には大学生が置いたらしいお酒や賽銭でいつもいっぱいだ。
冷たい村人の中にいた時より、今の方がずっと愛されているらしい。




