33/40
降り過ごす
窓の外をぼんやり眺めながら、実家に帰る電車に乗っていた。
隣の線路に乗客を乗せていない車両が停まっている。
どうやら電車を一時的に留めておくための線路らしい。
回送電車って、こんな場所に停まったりするんだ。
横を通り過ぎながら、私は隣の空っぽの車両を眺めていた。
誰もいないはずの電車内。
座席に誰かが一人で座っている。
洋服がピンクと白の色をしていることだけはわかった。
どう見積もっても上半身だけがやたらと長い。
背筋をピンと伸ばし、じっとこちらを向いて座っていた。
降りられなくなったのか、降りないのか。
どちらなのかはわからないし、わかりたくもない。




