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寄り道怪談  作者: 昼中
29/40

火の玉(仮)

 これは私が覚えている限り、一番古い不思議な体験だ。


 小学四年生の夜、家族と外食した帰り。


 街灯の無い、周りは畑だらけの田舎道だ。

 家族の後ろをついて歩いていた私は、車道を挟んだ向かいの道にふと目をやった。

 そこには小さい墓場がある。

 暗い墓場で光が見えたのだ。

 一つの墓石に、まあるい光が張り付いている。

 子どもだった私は「火の玉!?」とドキドキしたが、その色はアニメで見るような赤や青でなく美しい緑色をしていた。

 しかも炎で作られた球ではなく、どう見てもスポットライトのような人工的な光だ。

 なんだ、火の玉じゃないんだ。

 ちょっと残念な気持ちになったが、周りには光源になりそうな物もライトを持った人も見当たらない。

 光はウロウロと不規則に動いている。

 しかし、その一つの墓石以外は決して照らそうとしない。

 ずっと同じ墓石の側面をさまようだけだ。


 何だろう、あれ。


 私は慌てて前を歩く妹の肩を叩いた。


「ね、ねぇ。お墓のところ見て!あの光何だろう?」


 私は興奮して墓石の光を指差す。

 妹はしばらく墓場をじっと見つめて、口を開いた。


「どこ?」


 明らかに目立つその光を、妹はなぜか見つけることができなかった。

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