24/40
影絵
近所の図書室での話だ。
明るい窓を背にして、ゆっくり本を読んでいると人の気配を感じた。
振り返ると、大きな窓ガラスに人の影が映っている。
昼間なのでぼんやりした灰色だが、まるで窓に貼り付くような人間の影。
影絵のようにシルエットしかわからないが、酷くボサボサの短い髪をしている。
一瞬驚いたが、私はすぐに興味を失くして本に向き直った。
なんてことはない。
通行人の影が伸びてきてガラスに映っただけか。
そう納得したところで、再び窓の方を振り向いてしまう。
透明の窓ガラスに、人の影だけが影絵のように映ることはない。




