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たぶん、人気店
仕事帰り。
真っ暗になった道路を車で走っていた。
急がなければお弁当のお店が閉まってしまう。
今日こそ期間限定の天丼を買うと決めていたのに。
なんとか営業時間内に到着した私は、車を停めた駐車場から店舗の様子を伺った。
駐車場に面しているお店の横の壁には大きな窓がある。
その窓から女性が二人、順番待ちをしているのが見えた。
ふんわりしたパーマをかけた女の人が、窓にべったり背中を預けて立っている。
小柄な身体をしたもう一人の女性は、落ち着きなくウロウロと動き回っていた。
どうして、あんな場所で待っているのだろう。
そんな疑問が浮かんだ。
この店ではお弁当が出来上がるのを待つための椅子が、しっかり用意されている。
しかし、その椅子は彼女たちがいる窓と反対側の壁にあるのだ。
ということは、椅子に座りきれないほど店内は混んでいるのかもしれない。
果たして閉店までに注文できるだろうか。
慌てて自動ドアのある正面に回り、入店した。
「いらっしゃいませぇ」
明るく開けた店の中に、店員ののんびりとした声だけが響く。
客の姿はどこにもなく、ずいぶん暇そうな様子であった。




