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分け目は間違えるな
葬儀会社にいた頃、上司は故人様の髪型の分け目をひどく気にする人だった。
生前、右分けだったか、左分けだったか。
確かに重要ではあるが、何故そこまで?
その理由を聞くと、上司は昔の話をする。
それは上司がまだ新人の頃。
先輩と仕事を終え、事務所に戻って来た時の話だ。
「先輩、何でさっきの故人様の髪の分け目、逆にしたんです?」
「え、逆やった?」
「遺影の分け目と逆でしたよ」
「うわ、そうなん?あーあ、見てなかった。間違えたわぁ」
軽い口調で失敗を笑い飛ばす先輩。
その瞬間、事務所の空気を引き裂くような大きな声。
《ラジオ体操第1──────ッッ!!!!!!!》
触れてもいない、仕事用のタブレットが勝手に大音量で動画を再生し始めたのだ。
その日以来、上司は故人様の髪型を人一倍気にする。




