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第12話 SS

 ミナトたちのプライベートダンジョン、楽園の地(アヴァロン)(命名魔王)。


 そこでは元デモンゴートであった九人のゴート娘たちが暮らしている。


 当初はダンジョンの支配下にあった影響で、意志などが希薄だった彼女らも何年と生活していれば自我を獲得し、個性を持つまでになった。


 料理が上手な者もいればメシマズな者もいる。

 服を縫うのが上手い者もいれば真っすぐ縫うこともできない者もいる。


 真面目でまとめ役となる者、

 イタズラが好きでいつも誰かに追いかけられる者、

 すぐ仕事をサボって居眠りしようとする者。


 能力面でも性格面でも十人十色である。


 そんな彼女らが共通していることは魔王とミナトへの忠誠心であった。


 こうして毎日、自分の意志で《《生きられる》》のも意志や行動を縛るような真似を一切せず、ダンジョンに住むことを許可してくれたからこそ。労働にしてもここで生活する上では当たり前の対価としか考えてない。むしろもっと恩返しがしたいと願って止まない(一部を除く)ぐらいだった。


 そんな彼女らは普段、外から連れてきた羊や山羊といった繊維の取れる動物――肉はダンジョンの食用モンスターで十分と判断した――の面倒をみたり、市販されている野菜の種で農業を行ったり、主であるミナトたちの居住地で清掃や洗濯物などの家事仕事を交代で行っている。


 当初は担当を固定にする案もあったが、ミナトたち周りの仕事が人気過ぎて結局ローテーションとなったのである。ただし一部の仕事に適性の無い者はそこだけ除かれている。メシマズは台所に立つな、ということだ。


 尚、草壁家との取引が可能となった今、食料や服を自作する優先度は低くなったわけだが、いつ供給が断たれても良いよう最低限の自給自足は続けていく方針になった。


 これには一度ミナトが根無し草となったことも影響しているのかもしれない。


 すぐにダンジョンという隠れ家を手にしたので特にこれといった苦労をしたわけではないが、彼らは今も地球側に家を持っていない。そもそもダンジョンという、そう簡単に“失う”ことのない居場所があるため、あちら側に拠点を作る必要性を感じないのだ。


 それに面倒になったらすぐにダンジョンに引きこもってしまえば良い。そんなふうに考えている節もあった。


 とはいえ現代の暮らしを知るミナトからすれば進んだ娯楽や便利な生活を捨てるのは惜しい。なのでバッドエンド回避に動くし、地球からの離脱は最終手段として考えている。


 話は脱線したが、アヴァロンに暮らすゴート娘についてだ。


 ゴート娘たちはそれぞれモルゲン、モロノエ、マゾエ、リーテン、グリトネア、グリトン、ティロノエ、ティテン、ティトンという名が魔王から与えられている。


 まず“頼れる長女”モルゲン、真面目な完璧主義者でその性格もあって自然と九姉妹ではリーダー的ポジションとなった。しかし同時にいつも妹たちの奇行に振り回される苦労人でもある。妹たちからはモル姉と呼ばれている。


 次に“母性の次女”モロノエ、いつも微笑みながら姉妹を見守っている、大体のことは笑って許してくれるチョロい――母性の塊。姉妹の中では家事が得意で赤子だったミナトの世話をするなど、実は姉妹の中でもっともミナトとの距離が近いのは彼女である。姉妹からの呼び名はノエ(姉)。


 “しっかり者の三女”マゾエ、モルゲンに似て真面目で委員長気質な性格をしているが、何事も卒なくこなす長女と違って不器用。卵焼きを作ると必ず暗黒物質を作り出すダークマター製造機。米を洗うのですら粉末状になるというメシマズ属性筆頭株。姉妹からの呼び名はゾエ(姉)


“全方位から可愛がられる系四女”リーテン、九姉妹でも例外的にデモンゴート時代から小柄だった特異個体。言動がまるで小動物で、姉からも妹からも可愛がられる対象。呼び名はリー、テン、テンテンと色々。


“内向的な五女”グリトネア 読書好きで知識欲も強いインドア兼インテリ。自由時間にはミナトが姉妹用にと用意した書籍や個人端末で色々な知識や小説を読み込んでいる。呼び名はネア。


“オシャレ番長の六女”グリトン、縫物が好きでミナトにゴスロリを着せた元凶の一人。オシャレに目が無くミナトにはよくファッション誌を買って欲しいと頼み込んではモルゲンに怒られている。内心本当はブランド物が欲しいと思っているが雑誌や自作の物で我慢している。ネアとはよく個人端末の取り合いをしていたが、ミナトに追加で端末を増やしてもらったことで端末戦争が終結した。呼び名はリトン。 


 最後に九姉妹の三つ子にして“問題児たち”


ティロノエ(七女)、ことティロはいつも眠そうにしていて目を離すと家畜の中だったり、屋根の上で見つからないように寝ている。そのため居なくなる度にモルゲンとマゾエが探す姿をよく見かける。


ティテン(八女)、ことティテはイタズラ好きで主であるミナト相手でもお構いなしにイタズラする。ただしミナトにするイタズラは軽いもので、気配を消して物陰から驚かす程度のもの。そのぐらいならミナトも笑って許してくれるので、それもあってティテンは彼に懐いている。


ティトン(九女)、ことティトはドジっ子で砂糖と塩を間違えたり、何もないところで転んで洗濯物を泥だらけにしてよくあわあわしている。上記二人の問題児と違って意図して問題を起こしてるわけではないので、叱られるより心配されることのほうが多い。


 以上がアヴァロンの九姉妹、九人の魔女である。他にもペットにした魔王の眷属も居るが紹介は機会があれば、だ。


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