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第63話 チートを使ったら、やっぱり強い

また更新ミスってました泣

ごめんなさい(/ω\)


「……リゼ先生、許可してくれてありがとうございます」


俺はいまや来慣れた学園の職員室にて、リゼ先生へ頭を下げていた。


「……いいえ、あんな所で何をするのかは知らないけど、基本学校の施設を使うのは個々の自由なので、全く構わないわ」

「いい加減学んだので、万が一の為の予防の報連相です」

「……一応は学んでるのね。それで今回は何を企んでいるのかしら」


リゼ先生は訝しむように俺を見てくるので、俺は姿勢を正し、まっすぐ前を向く。


「青臭い事を言っていいのであれば、青春ですよ。それ以外ないです」

「また、そうやってはぐらかすのね。……まぁいいわ、一応あなたの事はそれなりに信頼してる」


リゼ先生は溜め息をつきながら額に手を置くが、すぐに机に向かって作業を始める。

俺はふっと笑みをこぼして改めて頭を下げると、ある事に気が付いて、再びリゼ先生の方を向く。


「そういえばリゼ先生……先生がもし学長先生をボコボコにするとしたら、どうしますか?」





俺は息を吐いて、改めて浮遊魔法を発動させる。

俺が勝てる可能性と言えば、やはりこのチート魔法だろう。


集中を高めて感覚を研ぎ澄ます。

そして一気に、解き放つ!


「ファイアー!」

「見えてる!」


俺は浮遊魔法のスピードを限界まで高め、ヘンリ君の背後に回って火魔法を唱えるが、ヘンリ君にはそれも無駄だったようで水流を纏った木刀がすぐに飛んでくる。


もっと速く、もっと速く。

俺は浮遊魔法に込める魔法を増やしながら、ヘンリ君の周りをうろちょろ回り続ける。


「水流陣!」

「……っそ!!」


しかしそれを許さないヘンリ君は俺なんかの魔力をはるかに凌ぐ魔力量で、水流を自らの周りに流す。

俺は近づく事もできずいったん距離を取るが、更に集中を研ぎ澄まして、何とか打開策を考える。


その時、背後に何か気配を感じてすぐさまその場を離れると、そこではヘンリ君が木刀を振り下ろしていた。


「……ヘンリ君、その速さ、チートでしょ」

「今回は決まったと思ったんだけどなあ」


のんきに返すヘンリ君であったが、すぐに攻撃に転じてくると、そのまま連続攻撃へと移行してくる。

もはや台の上なんて関係なかった。

俺は浮遊魔法に全部の神経を集中しながら、必死にヘンリ君の攻撃を避けながら後退する。


「いてっ!……あがっ!……ぼげっ!」

「ちゃんと避けないと、痛いぞ?」

「む、むりぃ……げほっ!」


俺は間抜けなうめき声をあげながら、ダメージは着実に食らっていっているが、致命傷だけはなんとか外している。


しかし、俺の背中が決闘場の壁につくと同時に、ヘンリ君は勝負を決めるための大技を繰り出そうと木刀を振り上げた。

これはもう避けられない。


その時、俺の視界は突然ゆっくりスローモーションの映像となった。

走馬灯のような、そんな感覚だ。


頭がズキズキと響き、何かを思い出そうとしている。

ずっと気付いてて、ずっと覚えていなかった事……


『……あなたが何を知っているのかは分からないけど……学長先生、あの人は負けないわ』

『それは俺も知ってます。その上で、先生ならどうするか、知りたいんです』

『そうね……私なら……』


思い出した!

自分自身ですらまともに扱えなかったために、自然と可能性として排除してしまっていた、一つの希望。


俺は笑みを浮かべながら、木刀を一番高く振り上げたヘンリ君に向かって、人差し指を向けて拳銃のポーズをする。



「バンっ!」



俺の人差し指の先から放たれたファイアーは、可能な限り小さく凝縮されており、威力よりスピードに特化させていた。

しかしこの程度のスピードならヘンリ君の木刀の方が早く、ファイアーごと俺を切ってしまうだろう。

そこで俺はこの魔法に一つ仕掛けを施していた。


それは、


「なっ……!」

「ファイアー、浮遊魔法付きバージョンだよ」


それは元々のファイアーの推進力に加え、浮遊魔法の推進力の加わった、超スピードファイアーであった。


一度、他の人やモノを浮かせることはできないのかと、ルーベルトさんと一緒に試して結局失敗した事があるのだが、その時同時に俺の生み出す魔法は俺の一部として浮遊対象に含まれるという事を知った。


その頃は全く浮遊魔法を扱えていない時期だったので、それ以降あまり考える事も無かった事だが、ここにきてやっと思い出すことができた。


ヘンリ君へ放たれたそれは、一気に距離を詰めてヘンリ君の額に当たる。

少し頭を後ろに吹っ飛ばされたヘンリ君は、流石に姿勢が崩れ、今繰り出そうとしていた攻撃もキャンセルする。


これだけじゃ勝てないのは分かってる。

俺は追撃の為に再び火魔法を頭の中で唱えるが、その瞬間、ヘンリ君は勢いよく頭を前に突き出して、俺の思考を遮ってくる。


互いの頭と頭が、勢いよく衝突したのだ。


「……いったあああ!」

「さっすがにびっくりしたから、そのお返しじゃあ!!」


どんだけ石頭なんだよ!

俺は頭を抑えながらフラフラと立ち上がるが、ヘンリ君は既に戦いの態勢を整えている。

こういう土壇場の切り替えも、やっぱりすごい。


俺が感心していると、ヘンリ君が突然目の前に現れる。


「へ?」

「水流の使い方は、木刀に纏わせるだけじゃねえんだ」


よく見るとヘンリ君の後ろで、体を押し出すようにして水流がヘンリ君の背中へ向けて発射されている。

浮遊魔法の推進力に似たような感じで、水流をあえて自分に向けて当てることで瞬間の超スピードを生んだというわけか。

こりゃ敵わん。


「ぶへぇ!!」


俺はあえて避けることなく、その攻撃を直に受け横に吹っ飛んでいく。

浮遊魔法を使って、地面に体をぶつけないよう地面スレスレで浮き続けるが、既にヘンリ君はこちらへ向けて水流を向けている。


圧倒的……しかし、


「……負けないよ、俺は。前までの俺とは、違うんだ!」


俺はヘンリ君へ向けて手を広げ、ぎゅっと一気に手を閉じた。


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