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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第6章 ラブコメは主人公のヒロインと
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第47話 『英雄になるために!』


「……こ、これが冒険者カードですか」


リアラは冒険者ギルドを離れながら、カードを手に取り、後ろを振り向いて言う。


「だね。僕らは一番下のFランクだから、比較的軽い依頼しか受けれないけどね」

「シエルもシャルロッテさんも来ればよかったのになー」


ヘンリは頭の後ろに手を組みながら、空を見上げて言う。

今アレク達一行は、冒険者登録を済ませ、街中を散策しながら、薬草採集を行う郊外を目指して歩いていた。


「な、なにか、あったんですかね?」

「……まぁ、シエル君はちょっとおかしかったからね。力不足って本人は言ってたけど、多分心の問題だと思うな」

「心の問題?そんな繊細な奴だったっけ?」


ヘンリは顔を顰めながらアレクの方へ向くが、アレクは目を瞑り、思い出すように答える。


「うーん、僕もよくは分からないけど……まぁ大丈夫だとは思うよ。シャルロッテさんがついてるし」

「し、シエルさんとシャルロッテさんって、そ、そういう関係だったんですか!?」

「いや、違うからね。あの二人はそういう恋人みたいな甘い関係ではないけれど、なんて言うんだろう……シエル君がいたからシャルロッテさんがいるし、シャルロッテさんがいるからシエル君がいる、みたいな?」

「うん、全く分からん」


ヘンリと同じくリアラもアレクに対して首を傾げるが、アレクは少し微笑みを浮かべて早足で二人を追い越す。


「つまり、今はあの二人に任せればいいって事!来週からはきっとシエル君も復活してるはずだから、少しでも冒険者としての差をつけておこう!」

「アレクさんがそう言うなら……私、頑張ります!!」

「確かに、奴らには負けたくないな!よっしゃ!!」


リアラとヘンリも、アレクに追いつこうと早足で、人通りの少ない街中を駆けていく。

小鳥が5羽並んで飛び立つ。

日は昇り、時刻は昼に突入しようとしていた。







外はぽかぽかあたたかな陽気に溢れているはずなのに、俺の部屋は冷たく、重苦しい雰囲気だけが支配していた。


「……よし、窓を開けよう!やっぱり喚起は大事だよね」


そう言って俺は立ち上がると、窓へ駆け寄り、勢いよく窓を開ける。

すると外はそれなりに風が吹いていて、窓を開けた瞬間に俺のノートや本がペラペラと音を立てて床に落ちたので、俺は急いで窓を閉めた。


そしてさっきよりさらに気まずさを増しながら、自分の座っていた場所へ戻って、ノートを元に戻す。

これ以上悪くなることはないだろうと思っていた雰囲気が、さらに悪くなる事ってあるんだな。


「……あなたは何がしたかったのよ」

「……俺にも分からん」


俺は正座に居座ると、シャルロッテさんは何かを見つけたように、俺の部屋の一角を指さす。


「……あれ、さっき落ちてたけど、随分古臭いノートね」

「……え?あー、これか」


俺は立ち上がり、ノートを拾うと、その懐かしい表紙を見て気付く。


『英雄になるために!』


これはこの世界のシエルが、熱心に書き込んでいたノートだ。

俺ではない、シエルが。


「……別に大したものじゃ……」

「見たいわ、なにやら面白そうなタイトルだし」


どうやら既に表紙をシャルロッテさんに見られていたらしい。

俺は隠すのをやめて、そのノートを持ってシャルロッテさんの方へ向かう。


「……これは俺がこの学園に来る前に書いてたやつなんだよ。中を見れば、大分恥ずかしい事も言ってるし、まぁ、若気の至りだよね」

「え、ホントに見ていいの?あなたの黒歴史ノートだったら、流石に遠慮してあげようと思ってたけど」

「意外と中二病には優しいシャルロッテさん…」


俺はノートを机の上に置くと、手でジェスチャーして、シャルロッテさんに読んでもらう。

シャルロッテさんはノート捲りながら、どんどん顔が険しくなる。


俺は立ち上がって、水だけ入れたコップを二つ、机に持っていく。

俺がコップの水に口をつけると同時に、シャルロッテさんは顔を上げる。


「……これって…」

「それは俺が子供の時に考えた、未来予想図、らしいな。学生のうちにSランク冒険者になる、だとか、お姫様を助ける、とか、まるで夢物語みたいなことを考えていた…らしいな」

「…らしい、らしいって。これはあなたが…」


「俺はさ、その時の記憶がまるでないんだよ。というか、この学園に来る前の記憶がなんにもない。……って言ったらどう思う?」


「………どういうタイプの冗談?……ってなるわね」

「だよね……」


俺はコップを机に戻すが、もちろんここから話が膨らむことはない。

シャルロッテさんもノートに目を落として、怪訝な顔を浮かべたままだ。


「いや、俺がしたかったのは、こんな話じゃなくて……なんというか……」

「……合点がいったわ。そしてまとまった」

「え?まとまった?」

「ええ、あなたの胸を打つ名言、思いついた」


……シャルロッテさん、まだ考えてくれてたんだ。


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