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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第5章 ダンジョン演習と逃げられない運命
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第32話 決着


「何を描いてるの?」


入学して間もなくの頃、リアラは窓の外を眺めながら必死に自らのノートに何かを描いていた。

そんなリアラを不思議がって話しかけてきたのが、二人で談笑していたフレアとイレーナだった。


「……え、わ、私ですか!?あ、あの、これはえーと…」

「ちょっと落ち着いて。別に取って食おうってわけじゃないから」

「そ、そうですよね!こ、これはあの鳥さんを描いていたというか……」


リアラはこれ以上喋っても、墓穴を掘るだけだと判断してノートを二人に向けて見せる。


「クオリティすご!」

「確かにうま!すごい、絵とか習ってたの?」

「そ、その魔法に応用できるかなって……。小さいころから田舎で自然と一緒に暮らしてきたので」


リアラは照れ隠しするように顔を伏せながら説明する。


「魔法の応用?」

「わ、私火魔法を動物さんとか、虫さんの形にしたり、いろいろ工夫してみてるんです。あんまり効果はあるのか分からないけど……えいっ、こ、これが最近できるようになったウサギさんです」


リアラは今度も実物を見せて説明しようと、目の前に小さなウサギを出現させるが、もちろん火でできた代物である事には変わりはない。


「ちょ、なに教室の中で火魔法使ってるのよ!」

「へ?あ、あああ、私のノート燃えてます!!あわわわわわ、どどどどうしよう!」


その場はイレーナの出した水魔法によって消火作業が行われたが、その後の雰囲気が最悪だったことは語るまでもないだろう。







(でも、二人が私の事をどれだけウザったいと思ってても……それでもあの時二人が絵を褒めてくれた事、わざわざ話し掛けてくれた事、これはすごく、嬉しかった。だから、だからこそ…)


リアラは思い切りステッキを振るって全力の風魔法をぶつけて火の玉の勢いを加速させる。


これは、当たる!

しかし、イレーナとフレアはそんな状況にいても尚、冷静にリアラとシエルの姿を捉えていた。



「「せーっの!」」



息を合わせて放たれた二人の風魔法は、勢いを加速させていたシエルの『炎球』の勢いを完全に止めてしまう。


「なっ!?」


リアラはその光景を見て絶句する。

止められたのだ。

全力をぶつけた魔法が、いともたやすく、跳ね返されようとしているのだ。


(ど、どうすれば……もう、魔力だって……。やっぱりあの二人には勝てない?やっぱりあの二人と対等になることは……)


リアラが顔を俯かせて、ステッキを下ろそうとした時、


「…リアラさん!!」


シエルの声が前から、リアラの元へ届いた。

いや、シエルはリアラの後ろで魔法を放っていたはずだ。


それなのに、今はフレアとイレーナの二人の横、その空中で手のひらを広げていた。

浮遊魔法で飛んでいたんだ!


次の瞬間には、二人に弾かれたシエルの『炎球』はその形を崩し、火の明るさだけがこの空間を支配した。

リアラは相対する二人の姿や周りを見渡しながら、何をしようか…



「俺を見ろ!!」


「………っ!!」



リアラは顔を上げ、シエルの動きだけに注目する。

何をしようとしているかなど、分かっている。

自分の、役割。


「…あんた、させない!」


「悪いが、通してもらう」


シエルが指でイレーナの方角を指さすと、猛スピードでまっすぐ、突っ込んでいく。

それを阻止するのがフレアだ。

イレーナはシエルの方へ体を向け防御の姿勢をとると、フレアは素早く立ち上がり、シエルの軌道を読むと、そのままシエルの体を捕まえる。


「やっぱり、その身体能力は脅威だな…俺が一人で戦ってたなら」


「なに?」


フレアが顔を顰めると、イレーナはそれが近づいていた事に気付く。


「フレアちゃん、ごめん!反応するのが遅れ…」

「…きゃああ!」


イレーナがシエルに気をとられている内に、リアラはくらくらとなりながらも、魔力のほとんどを込めて魔法を発現させ、フレアの元に送っていた。


「『百蝶火』。…今度は、ちゃんと痛いから、気をつけて」

「……っそ!」


百体の蝶は一斉にフレアさんを襲い、フレアは思わずその場に伏せる。

これでイレーナへの道が開けた。


「あなたなんかに…!」

「リアラさんと俺の、勝ちだよ」


シエルはすっかりなくなりかけていた自分の魔力を振り絞り、浮遊魔法に集中させると、その勢いでイレーナの肩を掴んで押し倒す。


その瞬間、緊張の糸がほどけたように、へたへたとリアラがその場に膝をつく。

そしてジャックは宣言する。


「シエル、リアラチームの勝ち!」


こうして、リアラとシエルの、ダンジョン演習に全く関係のない、何をしてるんだと問われれば何も答えることのできない、そんな私闘に幕が閉じられたのだった。


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