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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第5章 ダンジョン演習と逃げられない運命
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第31話 浮遊魔法と今できる最大限


「浮遊魔法って結局何なのよ」


ある日の昼休み、ジャック君と別れ一人教室に戻った俺に対してシャルロッテさんは問いかけた。


「何って言われても、風魔法でも火魔法でもない、新種の魔法って感じかな」

「だからなんでそんな新種の魔法使いがこんな学園でのさばってるのよ。私が国のお偉いさんだったら小さい時から、というか今すぐにでも捕らえて拷問掛けてでも魔法の秘密を聞き出すわよ」

「クラスメイトが過激派すぎる!?ま、確かにそうするのが国益っちゃ国益な気もするけど、俺が浮遊魔法を使い始めたのはこの学園に入ってからだし、この学園も大分外界とは遮断されてるからな。それに何でもありっていうのが魔法の魔法たる理由だろ?とやかく言われたら風魔法の応用、で押し通すよ」

「……っち、国に頼れないなら、私が拷問するしかないか……」

「すごい過激思想が完全に俺の耳に漏れ聞こえてきたんですけど!?」



するとシャルロッテさんはプイっと窓の方へ顔を向けてしまう。

俺は肩をすくめて、次の時間の教科書を準備する。


「……早く使いこなしなさいよ。あなたしか使う人がいないんだから、完成形を見せる前に死なれたら困るのよ」

「……俺ができなくても、きっと他の奴が完成させるよ」

「何?自信無くしたの?」

「いや、逆だな。あいつに先を越される前に俺がこの魔法を完成させる。絶対に。まぁ見てなって話だよ」

「あいつ?」


シャルロッテさんは振り向いて首を傾げるが、俺は教科書を揃えて机に置くと、背筋を伸ばしてアレクを見る。

俺なんかよりずっと適性のある奴は、いる。


俺は所詮凡人で、モブなんだ。

だからこそ、負けられないんだ。






今現在、フレアさんとイレーナさんを見下ろす俺は、浮遊魔法をある程度使いこなしていると言えるのかもしれない。

急アクセルと急ブレーキで戦うのではなく、ふわふわと空を浮かびながら魔法使いらしく魔法を使って戦う、これこそが本来の浮遊魔法だ。


(でもやっぱり、急ブレーキと急アクセルで突撃した方が強くない?)


正直今ぷかぷか浮いているわけだが、魔力の消費も馬鹿にならないし、結構ぐらついたりもする。

この火の玉だって正面から放っても、どうせ防がれて終わりだろう。


「ちょ、ジャック君、俺こっからどうすりゃいいのかな?」

「知るかあ!?」


ジャック君が大声で叫ぶと同時に、フレアさんがリアラさんに狙いを定めて動き始めたのが見えた。

俺はリアラさんの方へ体を傾けながら指で方角を指し示す。


(浮遊魔法・ベクトル斜め左下)


思い切り魔力を込めて地面に着地すると、目の前にはリアラさんとフレアさんがいる。

リアラさんはすぐに俺が飛んできたことに気付き、ステッキを握る手に力を込めると、フレアさんの前でステッキを振るう。


「『百蝶火』」

「なっ!?」


次の瞬間にはリアラさんの前に小さな蝶が何匹も一気に現れる。

そのどれもが火の魔法でできている為に、フレアさんは思わず目を瞑る。


(ここだ!)


リアラさんの狙いはまさにそこにあり、実際この蝶にはほとんど攻撃能力はない。

ただフレアさんの目を潰すため。

だからこそここで俺が動かなければいけない!


俺が指を振りかぶった時、俺達の作戦に気付いたイレーナさんが手を広げてこちらに風魔法を放ってくる。


「『ウィンドストーム』!」

「さ、せない!!」


だがリアラさんはステッキを動かして今度は風魔法をイレーナさんの魔法にぶつける。


この切り替え速度と的確に魔法をぶつける能力、やはりリアラさんも非凡な才能を持っているが、本来魔力の量に自信のないリアラさんがイレーナさんの魔法に対抗する事なんてできないはずなのだ。

相当に無理をしている。


「『炎球』!!」


俺は渾身の魔力を込めた火の玉をフレアさんに向かって投げる。

その火の玉は蝶達を飲み込みながらまっすぐにフレアさんの元に向かう。


「っまずい!!」


イレーナさんは咄嗟に判断すると、開いていた手のひらを握って、自分の方へ引き寄せる。

すると風向きは変わり、フレアさんの体はイレーナさんの方へ吹き飛んでいく。


「うっ!」

「大丈夫!フレアちゃ…」

「逃が、さない!!」


しかしこれを逃さないのがリアラさんだ。

イレーナさんの魔法に対抗する必要のなくなった風魔法を俺の火の玉にまで向かわせ、最後のダメ押しをする。



「「当たれぇ!!」」


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