第23話 宣戦布告
どうも、ポイント乞食です。
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学食の一角は、もはや健全な学校とは言えない程のぴりついた雰囲気と険悪な様相が漂っていた。
「なに、リアラさんいたんだ」
「教室の時みたいに地味だから気付かなかった」
「……そ、そっちだって私と違って教室でもここでも目立ってていいですよね。……もちろん悪い意味で」
「は?調子乗ってるの?リアラさんの癖に」
リアラさんは目を伏せながらであるが、さっきから二人に対してとんでもない事、言ってる。
もっとやれ、もっとやれ、と応援したい気持ちよりリアラさんの今後が心配になる。
「ちょ、ちょっと待って三人とも、落ち着こう!」
「リアラさんさ、ヘンリ君と同じ班になったらしいね。よかったじゃん、また他人に寄生するだけでやっていけて」
「あー、やだやだ、全部ヘンリ君のおかげなのに自分の力だと思って思い上がっちゃったのかな」
「………そ、そちらこそあなた達の好きなヘンリさんに班決めの時断られて……ご愁傷様です」
「マジで何なの!今すぐ……」
「ちょ、待て待て待て!もともと俺の話だっただろ?リアラさんも、助けようとしてくれて嬉しいけど……」
「そ、それは!……えーと、私も、この二人にはいつも、こういうこと言われてて……」
リアラさんが女子から、いじめみたいなことされてるって言ってたけど……お前らかあああ!!
そうと分かれば、自分を変えようと努力しているリアラさんがここまでやり返そうとする理由も分かる。
しかし二人に対して言い返そうとするとき、毎回目を合わせようとせずに顔を伏せているのは、言い返し慣れていない証拠だろう。
「とにかく、両方落ち着こう。フレアさんもイレーナさんも。俺ならいくらでも謝るから……。っていうか、ジャック君達も何か言ってよ!」
「いや……女子って怖いなって」
「入ってけねえよ」
「…唐揚げうま」
眼鏡てめえ……。
俺は再び女子たちの方へ向く。
このフレアさんとイレーナさん、原作ではヘンリ君のパーティーとしてやっているほど、腕自体は確かだ。
あまり敵に回したくはない。
「今回は俺がちゃんと謝るから。これで手打ちに……」
「するわけないよね、ここまで言われて」
「謝ってこられても、私たちに何も得ないし」
「……………」
俺は頭を下げながら眼鏡の方へ顔を向けて目で圧を送る。
(…聞こえてんだろ、てめえ)
(…巻き込まれたくないんですけど……)
(…こいつらと同じ班だろ。案出せ、案。何のための眼鏡だ)
(…眼鏡に対する偏見がひどいですよ…)
すると、眼鏡という愛称でお馴染み、カンザスは溜め息をつきながら立ち上がる。
「…ではこういうのはどうでしょう?明日はダンジョン演習があるという事なので、そこでの成績で勝負して負けた方が勝った方の言い分を受け入れる、みたいな」
「………正直ダンジョン演習で直接的な勝負みたいな事はしたくない。絶対こいつら妨害してくるし……」
「いいじゃん、眼鏡にしてはいい案だよ」
「私もその案でいいかな」
なんで終始俺の意見を無視してくるんだ、こいつら!
こうなったら勝負するという流れになるんだろうな…
クラスでもヘンリ君、シャルロッテさんに次ぐ強さを持っている二人だからこその自信なんだろう。
ふっと息を吐いてリアラさんの方を見ると、不安そうな表情でこちらを見守っていた。
自分のせいでここまで発展してしまった、という自責の念でもあるんだろう。
どっちにしろ、ヘンリ君に好意を寄せているこいつらは遅かれ早かれ俺達にちょっかいをかけていた可能性は高い。
原作の拘束力というものが本当にあるんだとすれば、なおさらだ。
俺は再び二人の方を向く。
ここはむしろチャンスだ。
「もし…本当に勝負するって言うんだったら、絶対俺達に妨害を仕掛けてこないと約束しろ。それが条件だ」
「妨害なんてするわけないじゃん」
「そっちこそズルしないでよ」
「なら……」
「それから、私達が勝ったら、あなた達はもちろん、班全員私達の言う事を聞くっていうのはどう?」
「いいね、それ!ヘンリ君以外皆こんな風に調子に乗っちゃってる班かもしれないしね。いい機会だし教えてあげないと、出る杭は打たれるって」
「……………」
笑い合う二人に対して、俺は目を閉じて、考える。
俺が班のリーダーとして、この世界にやって来た、ただのモブとして……本気で未来を変えるために、俺は何がしたくて、何を守りたいんだ。
その答えはもう分かりきっていた。
この二人を、メインキャラクターのあいつらにこれ以上近づけさせちゃいけない。
原作ルートへの回帰だけは、俺が絶対に阻止する!
「……そうか。なら俺達が勝ったら、リアラさんにも、シャルロッテさんにも、ヘンリ君にも、アレクにも、俺にも、二度と俺達の班に、俺達の日常に、ちょっかいを出してくるな!俺からはこれだけだ」
「へえ、随分な自信じゃない?」
「そうだな、俺達はお前らごときに負けるわけがない」
「……そう。じゃあ、私達は教室に帰るわ。明日が楽しみね」
「じゃ、精々班で仲良しごっこ楽しんでて」
二人はひらひらを手を振りながら、学食を去っていく。
俺は息を吐きながら椅子に腰を下ろし、顔を見上げる。
「……午後の授業、教室帰りにくいなあ」
「「「そこ!?」」」
「眼鏡、てめえだけは許さねえからな!!」
「なんで僕だけ!?」
リアラさんは今にも泣き出しそうな顔でこちらを心配して見ているが、もうこうなってしまった以上引き返せない。
「勝たないといけない理由、また増えちゃったな」
「……うぅ、シエルさんん!……ご、ごべんなさいぃ!」
ついに泣き出してしまったリアラさんを介抱しながらその日の昼休みは終わった。
ダンジョン演習当日まで、すでに半日を切っていた。




