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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第4章 主人公パーティーの結成は波乱の予感と共に
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第22話 土下座させて


5月の1日、この日は元の世界ではゴールデンウィークにも足を突っ込んでいるはずだが、もちろんこの世界でゴールデンウィークなんてものはない。

明日に控えたダンジョン演習へ向けた講習がひたすら続き、昼休みにはすでに頭はパンク寸前だった。


「どう、ジャック君授業全部覚えれた?」

「まぁ地図も渡されるようだし、それに従ってれば何とかなるだろ……ってか何お前馴れ馴れしく話しかけてきてんだ!」


学食の定食を口に運びながらキレるジャック君をしり目に、俺は持ってきた弁当箱を開く。

中にはご飯ともやしが半分ずつ入れられている。


そこに先ほどジャック君に奢って貰っただし巻き卵を投入すると、なんとびっくり、普通の弁当に変身するじゃないか。


「シエル氏、まだそんな弁当持ってきてるんですか?」

「もやしばっかり、俺だったら二日で飽きる」

「よくよく親からの生活費を計算してみたら俺が生存できるのあと三か月くらいの金しか入ってなかったからな。多分金くらい学校のバイトでもして自分で稼げって事なんだろうけど、もちろんめんどくさいから、現存資金でやり繰りするにはこれしかないんだよ」


俺はだし巻き卵をちびちびつまみながら答えるのは、これまでジャック君の取り巻き、と説明していたあの二人である。


眼鏡をかけてガラの悪そうな見た目をしている癖に、俺の事をシエル氏、なんて丁寧に呼ぶ男はカンザス。

ジャック君の横で山盛りのご飯を嫌味たらっしく見せつけてくる金髪小太りの男がヨークだ。

原作でもあまり語られなかった男達なので、覚える必要は多分ない。


「働け」

「ジャック君にだけは正論言われたくなかったよ」

「んだと、おらあ!」

「やんのか、おらあ!」


と、口で言いながらお互い立ち上がって掴みかかるようなことはない。

日常茶飯事なので、いい加減お互い慣れてしまったのだ。


「でも、そういえばジャック君、シャルロッテさん勧誘しに来なかったよな?親衛隊として怠慢じゃないのか?」

「それは……同じ班にあのシャルロッテさんって、なんか照れるだろうが!」

「うちのボスはこう見えて滅茶苦茶女々しいんだ、なんか文句あるか、おらあ!」

「そうですよ、シエル氏。ジャック氏はこう見えて捨て猫をほっとけない様な変に古臭いタイプの不良なんですから」

「……お前ら殺すぞ!」


そんなやり取りをしながら、楽しく?昼食をとっていた俺達であったが、ふと顔を上げると、ジャック君たちが何かを見て顔を顰めていた。

ぱっと振り返ってその目線の先を追うと、


「……あぁ、なるほど」

「…お前、あいつら知ってんのか?」

「まあ、人並み程度には。……あぁ、ジャック君たち同じ班だったっけ」

「…なに半笑いで言ってんだよ」


その視線の先には、班決めの時ヘンリ君に断られていた二人の性悪女子がいた。

まだ原作ストーリが始まっていない為、現時点で性格もそれほど悪くはないだろうと思っていたが、この反応を見るに、ジャック君達も苦労しているんだろう。


「班の仕事全部丸投げですよ、丸投げ。ジャック氏が何か提案をしても『好きにして』みたいな感じで」

「正直嫌いなタイプ」

「…無下にはできんから命令には仕方なく従ってやってるが、正直班は変えたいぜ」


皆それぞれ苦労しているようだった。

しかしここでジャック君達が彼女たちを引き取ってもらわないと、原作ルートに乗ってしまう可能性がまた出てきてしまう。


なんとかしたいけど、性格変えろ、とか言えねえよな。

女子のいじめは陰湿だって聞くし、ざまぁなんてできそうにないのに原作アレクの二の舞になるのは嫌だ。


そんな風に悩んでいる時だった。


「……あ、シエルさん!……と、ふ、不良!?」

「誰が不良じゃ、おらあ!」「舐めてんのか、おらあ!」「おらおらぁ!」

「ひいいいい!?」


一人いまいち乗り切れず『おら』しか言ってない眼鏡がいたが、リアラさんは涙目になりながら完全に固まってしまった。


「こらこら、クラスメイトをなに怖がらせてんだよ」

「クラスメイト?こんな奴いたか?」

「いましたよ、確か……名前はちょっと出てこないけど」

「地味だよね」

「やめたげて!?もうリアラさんのライフはゼロよ!」


涙目のリアラさんの肩を持って、隣の席に座らせると、リアラさんは持っていたお盆をゆっくり机に置いて落ち着く。

ちなみに、リアラさんの盛り付けられた料理はハンバーグ、オムライス、ポテトにイチゴのショートケーキ……うん、もう何も言わない方がいいだろう。



「こちらリアラさん。うちの優秀な班員だよ」

「い、いえいえ、そんな優秀だなんて……」

「そこまで褒めるとは、羨ましいですね。そっちの班はいい人材が揃ってて」

「だよな、うちの女子達譲ろうか?」


「絶対やだよ!そんな厄介そうな奴ら!話したことないから何とも言えないけど、そんな地雷臭しかしないとこに突っ込む勇気、俺にはないね」



「……ねえ、あなた達…」


「あの子たち可愛いよなあ!!俺達その話してたよな!!」

「「「あ、あぁ!!」」」


振り向かなくても、声の雰囲気で誰が後ろにいるのか分かったが、時すでに遅しか。

久しぶりにからくり人形のようにがたがたと首を曲げて後ろを振り返る。


「もしかしてだけど、私たちの事言ってた?」

「だとしたらひど―い。厄介そうとか、ひどいこと言ってたよね」


スポーツ女子でショートカットのフレアさん、文学女子でポニーテールのイレーナさん。

結構最初から聞いてたんですね……。

嫌な予感しかない。



「それに関しては…すいません!ただ、話した事も無い人に対するちょっとした恐怖感とか、ある、じゃないですか?だからあれはただの俺の誤った妄想といいますか……悪口では……」

「そういう話をしてるんじゃなくて、私たちが傷ついたって話をしてんの」

「今すぐ泣き喚いて大事にしてもいいんだよ」

「ま、マジですいません。土下座くらいならいくらでも……」

「こんなとこで土下座だって。プライドっていうのないの?」

「ないよ、ないよ。確かお金も全然なかったし」

「えー、何にもないじゃん。ははは」


言われ方は腹が立つ以外の何物でもないが、言ってる事ももっともだ。

何より俺の紙きれみたいに軽い口が呼んだ災いだ。


俺は席を立つ。

言い方に腹は立つけど、あとで気付かれない程度に仕返してやればいいだけだ、ここは穏便に…


「どうも、すい……」


「土下座する必要ない、ですよ。だ、だって……ほんとのこと言ってただけじゃないですか」


「「はあ?」」



俺がびっくりして隣を見ると、二人を睨みつけるリアラさんがいた。

二人とリアラさんはメンチをきりながら一触即発の雰囲気だ。

なにがどうなってる?


とにかく分かった事は、こういう非常事態に、俺を切り捨て黙々と食事を口に運ぶあの眼鏡野郎だけは信用してはいけないという事だ。



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同情するなら、ポイントをくれ!(迫真)

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