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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第4章 主人公パーティーの結成は波乱の予感と共に
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第20話 天才と厄介事の予感


「……すいません、私、やっぱり迷惑ですよね。昔から魔力の量に関しては全然で…」

「あの二人が特別なだけだから、そんなに落ち込まない、落ち込まない」


体育座りで顔を伏せるリアラさんを元気付けようと声を掛けるが、その成果は芳しくはない。

ちなみに他の3人はどこで何をしているかというと…


「おらあ、逃げんな、アレク!」

「なんで僕がヘンリ君とシャルロッテさんを相手に戦わなくちゃいけないのさ!?戦力のバランス調整絶対間違ってる!」

「私、弱い者いじめが好きなのよ」

「リアラさんを助けてた中等部時代のシャルロッテさんの召還を求めます!」


暇つぶしとばかりに、戦いから逃げようとしていたアレクを捕まえて、今もアレクを魔法で追い回して遊んでいるようだった。

とはいえ完全に遊んでいるわけでもなく、お互い魔法を撃って当てる訓練、そして魔法からひたすら逃げる訓練をかねているので、意味のない事とは言えない。

訓練か……あ、そうだ!


「そういえば、リアラさんに教えて欲しい事があるんだけど、いい?」

「教えて欲しい事?」


やっと顔をあげた少女に、俺は頭を下げる。


「実は俺、浮遊魔法の練習してて……全然コントロールがうまくいかなくてさ」

「…た、確かに、毎朝愚痴ってましたよね。というか浮遊魔法ってどこで…」

「それについては、ね」

「す、すいません、出過ぎた真似でした!き、気にしないでください…」


俺は1か月たった今でも浮遊魔法に関しては誰にもその秘密を打ち明けていなかった。

誰にも真似されたくなかったというのもあるが、一番はこの浮遊魔法自体、原作知識の先取り、いわばズルなのだ。

そんな俺に、我が物面で浮遊魔法を広めて回る資格なんてものはない。


「でも俺、そもそもろくに魔法の使い方って言うのかな、そういうの教えて貰ってなくて。魔法のコントロールさっきすごい上手かったから、コツみたいなの教えて貰えたらうれしいな、って」

「そ、それは、それは。私で、何か力になれるなら、なりたいです!」


そう言うとリアラさんは体育座りをやめて正座になって、懐から例のステッキを取り出した。


「ま、まずは正座になって、自分の中の魔法を感じ取るんです……」

「了解!」


俺は言われた通り正座になって自分の魔力というものを感じ取るべく、目を閉じて意識を集中する。

大丈夫、ここまではルーベルトさんとの訓練でやっている通りだ。


「……んーと、できた!」

「それじゃあ、えーと、これは私の方法にはなっちゃうんですけど……魔力を血液のようなものだって意識するんです」

「血液?」

「……はい、そしたら……」


リアラさんの言葉の続きを聞こうと、目を開くとそこには全く違う光景が映っていた。

リアラさんを取り巻くように現れた蝶の数々と、さっきの戦いには出てこなかったウサギ、そして草花が、静止しているとはいえ火の魔法一つで表されており、もはや芸術の域だ。


リアラさんがくいっとステッキを回すと、風の魔法が発生し、それに連動するかのように火の魔法で作られた草花は揺れ動く。

その真ん中で何かに集中しながら髪を揺らすリアラさんは、絵になっていてもおかしくない程、その景色の中で美しく映えていた。


俺だけではなくアレク達皆も息を呑んでこの光景を見つめる。

しかしその時間は長く続きはしなかった。リアラさんは何かに気付いたように目を開くと、その光景は一瞬で消え去る。


「ま、また魔力切れになるところでした…えーと、こんな感じでできるんですけど、分かりました?」

「い、いやぁ……できるかああ!?何あれ!!リアラさんの方法を学んでもあんなのできる自信全くないんだけど!」


「……私、ちょっと感動したわ」

「僕なんて見とれてたら、ヘンリ君の魔法もろに食らっちゃったよ!」

「美術の成績2の俺でも綺麗だって事は分かったぞ!」

「え、え、その、私……その……」


リアラさんはこうやって直接褒められるという経験がなかったんだろう。

顔を赤らめて困惑しながらも、嬉しさからの笑みを完全に隠せてはいなかった。


俺はリアラさんに教わった通りに正座をしながら集中する。


「魔力を血液のように……」

「そ、そうです……。自分の中で心臓から、足の先を通って、手の先を通って、頭を通るイメージです」

「……イメージ、イメージ」


俺は必死にイメージを浮かべながら魔力を血液に乗せたような感覚で、流す。

そしてそのまま循環させる。

循環、循環……頭の先から、足の先まで……


「……で、できてますよ!」

「できてる?あんまり実感分からないけど」

「そこは反復練習です。これが意識してできるようになったら、魔力のコントロールも…多少は改善すると……思います、よ?」


どんどん言葉尻がすぼんでいくリアラさんだが、その指導は確かなものだ。

あんな芸術を生み出すことのできるリアラさんを信じずして誰を信じろというのだ。


「悪いね、俺ばっかりこんな方法教えて貰って」

「いえ……こんなことで役に立てるなら…」


目を薄っすら開けると、リアラさんは正座からまた体育座りへ戻ってこちらを眺めていた。

そして何かを悩んでいるのか、何度も下を向いて顔を顰めていた。


「どした?何か悩んでるなら相談乗るぞ。教えて貰った借りもあるし」

「えと、その……じゃあ、聞いてもらえますか、私のお願いなんですけど……」


リアラさんは顔を上げると、何か思いつめたようなそれでいてどこか申し訳なさそうな表情で、こちらを見つめる。


「その…今度のダンジョン演習、クリアしたタイムとかどれだけ丁寧な探索ができたかとか、総合的な評価が順位で発表されるって知ってました?」

「らしいな、紙に書いてあった。あんまり意味はないと思って気には留めてなかったけど」


俺が答えると、少しの沈黙の後、リアラさんはとうとうそのお願いを口にする。


「わ、私、どうしてもこの班で、一番になりたいんです!だから……どうか、私に協力してくれませんか?」


リアラさんはいつものように自信のなさそうに、それでいて確固たる意志で俺に向かって頭を下げる。

どうやら皆が心配していた通り、俺は厄介事に頭を突っ込みつつあるらしい。



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