第18話 最強同士の戦い
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「わ、私、リアラって言うんですけど、私とシャルロッテさんは同じ中等部だったんです。シャルロッテさんはいつだって勉強も運動もできて魔法もできて、いつも俯いている私にとって見たら、キラキラしてて憧れだったんです」
「なるほどなー、中等部時代に実際の接点とかはあるのか?」
「……多分、ないわよね?」
「い、いえ、一度だけ……」
俺達は目を細めてシャルロッテさんの方を見ると、シャルロッテさんは顔を伏せて手をこちらへ向け、「もう聞いてくれるな」とジェスチャーで示してきた。
仕方なく俺はリアラさんの方へ振り返り、話に耳を傾ける。
「……えーと、私、その中等部時代は女の子からよくいじめられてたんです。でもある日、いつもみたいに皆から無視されてたら……
『あなた達、恥ずかしくないの、皆して弱い奴をいじめて、あなた達の人としての小ささがよく分かったわ』
って言ってくれて…」
「か、かっこいい」「見直した!」「あとは!あとは!あと何かカッコいいこと言ってなかった?」
「…もういいんじゃない?もう私も思い出したから…」
「あとは…
『あなた、また何かされたら、うずくまってるんじゃなくて誰かに言いなさい。…私だっているんだから』
って言ってくれました」
「あなたちょっと黙ってなさい!?」
「かっけえ!」「ファンはイチコロだよね!」「ちょっと照れた感じがいいんだよな!」
一斉に俺達がはやし立てると、流石に恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしてまたしても俺に向かって「もう聞くな」のジェスチャーを出すシャルロッテさん。
俺は再びリアラさんに向き直る。
「じゃあ、リアラさんは何の魔法が得意とかある?一応把握はしておきたいなって」
「あ、そ、それは……」
「それについては、今日の放課後もし暇だったら皆で訓練場とか行かね?やっぱり実際に見てみるのが一番だろ?」
リアラさんを遮って入って来たのはヘンリ君だ。
皆で顔を見合わせるが、だれも反対を口にする者はいなかったので、その案でまとめる。
「それじゃあ放課後、皆で東棟の訓練場に行くという事で!」
「了解!」「ういーす」「はい!」「…はい」
「それじゃあ、1時間目の授業始めるから席ついて」
俺達の案がまとまったところで、リゼ先生の手拍子によって授業の始まりが宣言される。
皆がぞろぞろと自分の席につくのを見て俺達も解散すると、教科書類を机に並べるのと同時に、1時間目を教えるチャイムの音が響き渡った。
放課後
「よっし、じゃあ俺が相手してやるから、そうだな……まずはシャルロッテさんから行こうか」
「……なんで私が一番手なのよ?」
「単純に興味があるからな。結局俺とシャルロッテさん、どっちが強いのか」
「はあ…私あなたみたいな戦闘センスも運動神経もないし、あなたが一番で文句ないんだけど」
ぶつぶつ文句を言いながらであるが、シャルロッテさんはいつもの木刀を肩に持つヘンリ君の待っている決闘台の上に登っていく。
「これは見物だな!ジャック君も連れてこればよかった」
「だね、こんな機会滅多にないよ!」
「……すごい」
俺とアレク、リアラさんは台のそばで座りながらその様子を見ていた。
確かにヘンリ君はアレク、シャルロッテさんの魔法を見たことがないはずだ。
あのイケメンの事だからリアラさんが緊張しないように、最初にシャルロッテさんを選んだんだろうが、全力のヘンリ君とシャルロッテさんの戦いは原作でも描かれることがなかったので興味深い。
アレクはこちらに目配せをすると、立ち上がって二人の間に入って仕切りの役を買って出てくれた。
「それじゃあ、二人共、準備できた?」
「おう!」「ええ」
その瞬間、緊張感がひしひしと伝わってきた。
二人共本気だ。
いったいどうなるんだ?
「始め!」
アレクの合図でまず動き出したのはヘンリ君だ。
木刀にはあらかじめ詠唱を済ませていたのだろう、水の魔法が纏われており、ヘンリ君自身もすごい勢いでシャルロッテさんに迫っている。
簡単にやってのけているが、武器に魔法を纏わせるなんて高度な事、実はこの学年では現時点でヘンリ君しかできていない。
原作からいくとまだこれで成長の余地をめちゃくちゃ残しているので、恐ろしい存在だ。
対するシャルロッテさんはその動きを目で追うと、ヘンリ君へ向けて手のひらを向ける。
「ん?………っとっとっと!どういうことだ?」
ヘンリ君が首を傾げると、シャルロッテさんの元へ猛スピードでやって来ていたヘンリ君の勢いが一気に落ちる。
「何を言ってるの?ただの魔力に決まっているじゃない?」
「やめてくれよ、呪文もなにも加えてない魔力なんて、多少何かあるな、くらいの感覚しかなかったはずだけど……魔力量えぐない?」
「そして……こっちの詠唱は終わってるわよ」
ヘンリ君に向けていなかった方の手を見てみると、シャルロッテさんは人差し指を立てていて、その上には……
「……っ!こんなの見た事ない!」
「シャルロッテさんの本気の魔法やばぁ!」
「ど、どうなってるんですか!?」
シャルロッテさんの発動した魔法は、俺もよく使うファイアー……の60倍くらいでかい火の玉だった。
対するヘンリ君はその魔法に苦笑いを浮かべると、木刀を握る手に力を込める。
そしてシャルロッテさんは躊躇なくその人差し指をヘンリ君に向ける。
「『炎球』」
「『水爆斬』!!」
ヘンリ君は火の玉へ向けて木刀を振るうと、木刀を中心に水流ができ、火の玉とぶつかり合う。
シャルロッテさんとヘンリ君の魔法の衝突がこちらへ伝える衝撃も半端じゃない。
水と煙で一瞬前が見えなくなる。
でも………
「はあ、はあ…」
「あら?」
俺がうっすらと目を開くと、そこには肩で息をするヘンリ君と余裕の表情でその場から一歩も動いていないシャルロッテさんの姿があった。
「……はぁ、はぁ……ちなみにだけどシャルロッテさん、あと何発さっきの打てるんだ?」
「あと40は余裕ね」
「モノホンのバケモンじゃねえか。ギブだギブ、あとちょっと俺が速くて力があれば分からんが、今の俺じゃ勝てる気がしん」
「そ」
ヘンリ君が手を挙げて降参を宣告すると、シャルロッテさんは制服の汚れを払いながら台を降りていく。
確かに成長途中のヘンリ君とは言え、すごい見ごたえのある戦いだった、確かに良かったんだけどさ……
「……よし、じゃあ次、アレク!」
「できるかあ!?あんな高レベルの戦い見せられた後に何すりゃいいんだよ!?」
リアラさんが震えながら、アレクの突っ込みに何も言わず首を縦に振っている。
緊張をほぐすという意味じゃむしろ逆効果だったようだ。




