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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第2章 むしろ俺にだけ厳しいヒロインのお話
12/129

第10話 決闘の末に 後 ー読者として、クラスメートとして、ヒロインへー

評価・ブクマ・応援、是非是非よろしくお願いします!


作者が喜びます!(/・ω・)/


「……で?」

「それで俺は……いや、ちょっと待って、衝撃のカミングアウトに対して冷たくないですか?」

「いや、またかー、って感じだから」

「ちょっと、羨ま死していいかな」

「じゃあ死になさい。はい、3、2……」

「ちょ、待て待て!その反応は絶対おかしいって!」




シャルロッテさんは表情一つ変えずに指を折ってカウントダウンを始める。

毎日謎に告白を受けてればそりゃそういう気持ちになるのかもしれないけれど…。

相変わらず真剣なのか冗談なのか分からない。


「それで……あなたは何が言いたいの?今から告白しようって訳ではないのでしょ」

「まあ、今このタイミングで告白なんてするバカはいないよ。……結局俺は、好きなシャルロッテさんに、独りになって欲しくないんだよ」

「どういうこと?」


シャルロッテさんの目付きが一瞬怖いものへ変化するが、俺は目を瞑って、思い出すように続ける。


「シャルロッテさんはこんな俺から見ても強くて、気高くて、カッコよくて、綺麗で、正直皆の憧れの的だよ。でもシャルロッテさんはそんな皆と距離を詰める事に怯えている。自ら進んで独りになろうとしている」

「……随分分かったような事を言うじゃない」

「隣の席にいると、分かるんだよ」

「……ま、いいわ」


一応、三日隣の席で同じ時間を過ごした仲だ。

もちろん原作知識を踏まえてだが、それでも注意して見ていれば、見えてくるものはある。


シャルロッテさんは怖がっているんだ。


生まれ持った魔法の才能……自分が特別な才能を持って生まれた事を分かっているからこそ、自らが普通になってしまう事を恐れている。

普通に皆と仲良く話したり、テストで間違えたり、誰かと競い合って泣いたり笑ったり……そういう事を全部諦めてしまっている。



「それで、どうして……」

「あの時、ジャック君がつっかかってきた時、俺は嬉しかったんだ。アレクは喧嘩腰で言い返してたけど、クラスの中にもシャルロッテさんと仲良くしたいと思ってる人がいたんだ、って分かってほっとした。シャルロッテさんがどれだけ突き放そうとしても、まだ皆は諦めてなかったんだって」

「……………」


原作のシャルロッテさんがなんでアレクと出会っただけで、ああも変わったのか。

それは多分、ずっと寂しかったんだ。


誰かに傍にいて欲しかったんだ。

ずっと、ずっと、ずっと。

普通になりたかったんだと思う。


そんな気持ちが溢れてしまったのが、原作のシャルロッテさんなんだ。

だからこそ今の俺が現実のシャルロッテさんに伝えられること。



「だからシャルロッテさん。俺が思うに、君は特別なんかじゃない。どれだけ周りから期待されているのか、俺にはまったく分からないよ。でも、俺達みたいな一般人と同じように笑ったり悲しんだり悩んだりすることは何も罪じゃない」

「……結局何なのよ」


「つまり、シャルロッテさんはもっと正直になるべきだって事!まだシャルロッテさんは独りじゃない。元々気付いていたかもしれないけれど、仲良くなりたいと思ってる人はいっぱいいる。俺やジャック君だけじゃない」

「……」

「それが分かってくれれば決闘の結果なんてどうでもよかったんだ。別に俺やジャック君じゃなくていいからさ、どうしようもなくなって独りで抱え込んじゃう前に、ほんの少しでいいから正直になれる誰かを見つける事ができる努力はした方がいい。きっとシャルロッテさんならすぐに見つかる。一人は寂しいし、シャルロッテさんも含めて人間てのは皆寂しがり屋なんだから」



俺は少し俯いて手をぎゅっと握る。


「……勝手な事言ってくれるわね。それにあなた、がっつり勝ちに行こうとしてたじゃない」

「それは、まあ折角隣の席になったのに、喋りかけられなくなるのは寂しいから、どうしても勝ちたいと思っただけだよ。俺だって寂しがり屋なんだ」

「……なによ、それ。そのために私の胸触ってたら、意味ないでしょ」

「まったく、その通りだ。……っていうかもう胸触った話しないって言ってたのに…」

「許したとは言ってない」


シャルロッテさんは目を瞑って、気のせいかもしれないけど、少しだけ笑顔でスツールから立ち上がった。

そしてそのまま保健室のドアへ向かって歩いていく。


「ちょっと待って…」

「でもまあ、私の為に色々考えてくれたって言うなら、すんごく妥協して…」


俺が急いで布団を剥がしてベッドから立ち上がろうとした時、シャルロッテさんは口に手を当て、何かを考えると、こちらに振り向く。



「見直した、って事にしてもいいかな」



その顔はニヤリと、イタズラな笑みを浮かべていた。



「……あ…」


『……私に何か見直した、と思わせるくらいの善行を何か一つでもできたら考えるわよ』



これは、そういう事、なのか?

俺が呆けた顔を浮かべていると、保健室のドアが開く。



「それじゃ、ここの鍵返しておきなきなさい。じゃ、また明日」

「ちょ、ちょっと待って!……っていうか鍵どこにあるの!俺職員室の場所も知らないんだけど、どこ返せば……!待ってって、シャルロッテさん!」




その日、俺とシャルロッテさんは、ちょっとだけ仲良くなった…のかもしれない。


原作『僕最強』の世界は、少しずつ、少しずつ変化し始めていた。

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