第98.5話 幕間 『俺は幼女を愛してもいいのだろうか』
やっぱりこの小説はこの幕間がないとね(´-ω-`)
溜め息をつきながら私は、教室の扉に手をかける。
「で?」
「いや、開口一番に突然『で?』って言われても……。俺達別にシャルを呼んだわけじゃないから、こっちが聞きたいというか……」
「はあ、分かった分かった。そこまで言うんだったら、この前言ってた宿題の件手伝ってあげるわよ。全く私がいないとこれだから」
「とりあえず一回帰ってもいいよ?なんか物凄く絡みにくい性格になってしまったようだから」
せっかく今日は私がツンデレキャラを演じて自主的に夏休みの宿題を手伝いにやって来てあげたというのにシエルに冷たくあしらわれてしまったので、とりあえずシエルの頭を一旦『ポコポコ』してから教室の席に座る。
「いや、擬音を可愛くしても誤魔化せないからな!思い切り『バシンッ!』って音しただろ!」
「私の地の文なんだからいくらでも改ざんしてもいいでしょうが!いつもあなたがやってるみたいに」
「なわけあるかい、冤罪だ!何を既成事実みたいに言ってんだ!!あとメタすぎるんだろ、この会話!」
「それで、宿題の進捗は?」
私が頬杖をつきながら問いかけると、シエルと向き合うように座っていたヘンリがノートをこちらに見せてくる。
「ほれ、見てみろ!なんとこの俺っちが現代文の問題全部終わらせたんだぜ!オイラ頑張っただろ、ゼハハハハ!」
「やっぱり帰った方がよかったわね、この空間にいる人物全員物凄く絡みたくない性格になってしまったようだから」
「夏休みを経ると人って変わるらしいからな、仕方ない」
「まぁ、まだ夏休みに入って1週間も経たないうちに変わり果てすぎな気もするけど……」
とか言ってやりたかったボケをかましたヘンリは満足したのか、今度はちゃんと夏休み前に配布された夏休みの予定表を見せてくれた。
「進捗としては絵日記と問題集は少し手をつけながら、自由研究のテーマを考えてたんだよ」
「へぇ、確かにめんどくさい宿題な分テーマを早いうちから決めてたら楽よね。案はあるの?」
「『俺は幼女を愛してもいいのだろうか』」
「ダメ」
私は即答した。
ヘンリはきょとんと首を傾げて眉を顰める。
「ん?別に俺は幼女を親や親戚視点で愛するという訳ではなく、女として見てもいいのだろうという事をだな……」
「それがダメ、っつってんのよ!法的制裁と社会的制裁と私からの鉄拳制裁が飛んでくると思いなさい!」
「シエルどう思う?」
「ま、多様性の時代だからなぁ」
「多様性という言葉を使えば許されると思ったら大間違いよ!」
なんだか現代社会への風刺ツッコミをしてしまった気がするけど、そんな私をしり目にシエルはヘンリに向かって言う。
「だから言っただろヘンリ君、俺の言ったやつの方がいいって」
「……あなたも考えてたのね。ちなみにどんなテーマなの?」
「『俺は他人の人妻を愛してもいいのだろうか』」
「だからダメに決まってんでしょうが!大体普通の研究テーマに一人称が入ってくる事なんてほぼないんだから!!」
「ま、シャルの言う事も分かる。確かに愛と恋の違いくらいに難しい難問だもんな」
「何も分かってないのよ!!ノータイムでダメって言ってるでしょうが、はっ倒すわよ!」
ツッコミながら立ち上がる私であったが、そんな私を宥めるようにヘンリは私へ問いかける。
「ちなみにシャルロッテさんはどんなテーマで書いたんだ?」
「私?何だったかしら」
私も思い出しながら心を落ち着け、再び着席して答える。
「私は『より少ない魔力で効率的に火魔法の威力をあげる方法』みたいなやつを書いたわよ。文献をいくつか読み込んでそれを実際に実践してからそのレポートを書くって感じで、すごい普通な自由研究になったとは思うけど」
「なるほど、なるほど。つまり『より効率的にパパ活で稼ぐ方法』みたいなやつを書けばいいって事だな」
「まさかの頂き女子!?絶対犯罪の香りがするからやめなさい!!」
「なんだと!この頂き男子ヘンリ君に向かって、言いやがったな!」
「頂き男子ヘンリ君!?絶対怒られなさいよ、あんたら!!」
というか今日は時事ツッコミが多い気がする。
二部に入って芸風を変えるつもりなのだろうか。
私はヘンリに向かって叫ぶが、シエルは意に介することなくノートを私に見せつけてくる。
「別に批判するのはいいけど、この中でどんなテーマだったらいいんだ?というかこれ『自由』研究って課題なんだから、自由でいいんだろ?」
「確かにそうだけど…自由研究の自由さにもある程度限度くらいあるわよ。他にどんな案考えてたのよ」
「えーと、『なぜ俺はパンチラが好きなのか』『俺がスカートをめくった場合の期待値』『まさか俺がパンツマンだったなんて…!』」
「だから謎の一人称縛りとパンツ縛りやめなさいよ!最後のやつはちょっと気になるけども!」
こういう真面目に考えないといけない時だからこそ完全にネタに走ってしまうこいつらのよくない癖を見せつけられた気分だ。
こんな研究テーマ達の提出を許してしまえば、リゼ先生が泡をふいて卒倒する未来がくっきりと見える。
添削のしようがない案ばかりであるが、シエルの言う通り代替案もなく批判ばかりするというのも忍びない。
私は頭を捻って、何とかヘンリの性格に合うような研究テーマを絞り出す。
「ヘンリの性格を考えたら、そうね……『うんこ味のカレーとカレー味のうんこ論争を終わらせてみた』とか『犬がうんこに要する距離と時間を測ってみた』とかかしら」
「俺を何だと思ってる!?」
「絶対ヘンリ君を二重の意味でクソだと思ってるよ、この人!確かにどっちのテーマもそれなりに気になるけどさ!」
二人から一斉に叩かれる私は、狼狽えながら苦し紛れに呟く。
「……ま、まぁ多様性の時代よねぇ」
「「多様性という言葉を使えば許されると思ったら大間違いだからな!」」
その時ガラガラと教室の扉が開く。
「あら、あなた達勉強中?どんな話をしてたの?」
「「「多様性の話です!!」」」
「へ、へぇ。それにしてはクソとかうんことか聞こえたけど」
「「「………」」」
誤魔化せなかった。
そしてノートを取り上げられるだけでなく、書き出していた自由研究のテーマ案も見られた後の話は読者諸兄の想像通りだと述べておこう。
こうしていつもの夏休みは過ぎていく。
ちょっと更新頻度上げる事できそうです!
次回お楽しみに!




